マガジンのカバー画像

親のハダカを見て育つ

32
母はストリッパー、父は男優。 毒親との対決、借金まみれになり嫌悪していた夜の世界へ・・・ そんな私の今までのお話。実話。
運営しているクリエイター

記事一覧

32.サボり娘の担任

前回はこちらから↓

いくら私が不良娘でも、夜遅くに町をうろつこうとは思わなかった。
私も朝子同様に家にいたくないという気持ちは強かったけれど、自転車が乗れなかったのもあるし、バレたらもっと面倒くさいし、出不精だったのもあるかもしれない。

私の自堕落なズル休みも、朝子の家を抜け出す件も、おそらく担任の先生は気付いていたけれど何も言ってこなかった。
先生は30代前半の男性で、まぁ爽やかな方だった。

もっとみる
31.深夜に家を抜け出す小学生

31.深夜に家を抜け出す小学生

前回はこちらから↓

小学三年生にして既に学校をサボり始めていたけれど、親にバレないはずがない。
祖母もおそらくサボりだとわかって、父に相談したようだった。
ストリップ劇場の巡業から帰ってくると、母に殴られた。
そして、裸で外に出された。

怒られて当然の事をしたのかもしれないけれど、私には学校に行く意味も楽しみもわからなかったので、「またサボるだろうな」という自覚はあった。
それでも泣きながら母

もっとみる

30.小3にして自堕落に不登校

前回はこちらから↓

両親と小さな弟がストリップ劇場の巡業へ行くと、また祖父母と食事を共にする生活になる。
それ以外はだだっ広い一軒家に一人ぼっちだ。
初めて”自由”だと感じられた。

小さな弟は可愛かったけれど、性別も違うし年齢も離れていたし”一緒に遊ぶ”という感覚は程遠かった。
それにお世話はよくしていた方だと思う。
自我が出てくるまでは、私の後をくっついてきて可愛かったけれど。
弟は無条件に

もっとみる

29.初めての男友達は、父の...

前回はこちらから↓

いつも疾風のような朝子の独断で交換日記を始める事になった。
私と、朝子と、朝子の幼なじみのアキちゃんの三人で。
アキちゃんとは話したこともなかったけれど、朝子の独断なので逃れられない。

朝子もアキちゃんも兄がいるらしく、読むマンガはもっぱらジャンプだった。
男子の文化に触れた事がなかったので新鮮だった。

そんなタイミングで隣の席になった男の子・山田君もマンガが好きらしい。

もっとみる
28.小学3年生

28.小学3年生

前回はこちらから↓

破天荒な朝子に目をつけられた、いや気に入られた私は朝子と過ごす事が多くなった。
朝子には遠慮というものがなかった。
"竹を割ったような性格"って朝子の事かもしれない。
「七海はとろいんだねー!」
「何でこんな事もできないんだろ?」
と、純粋な眼差しで私の心をグサグサ刺してきた。
だけど今までのようにヒソヒソ言われたり、プークスクスされるよりは何百倍も心地よいものだった。
「七

もっとみる
27.君の名は

27.君の名は

前回はこちらから↓

話が少し前後するが、小学二年生のある日、クラスメイトの女の子たちがヒソヒソ話しているのが聞こえた。
「ねぇ聞いた?
朝子ちゃんまた男子を殴って泣かせたらしいよ・・・」
「うわ、怖いね・・・
まぁあの子本当に凶暴だからね、ゴリラだから近付かない方がいいよ」
私はたまたま聞こえてしまっただけなのだが、内容が強烈だっただけにこの噂は記憶に残った。
でもクラスに馴染む事ができていない

もっとみる
26.ストリップ劇場で全国制覇?な小学生

26.ストリップ劇場で全国制覇?な小学生

前回はこちらから↓

私が自分の世界を広げていく中で、両親はまだ幼い弟を連れてストリップ劇場の巡業へ行ったり、母だけが行って父は主夫に徹したり、相変わらず”普通”ではない生活を送っていた。
巡業がない時は、母は「家族で」買い物に行こうとかお出かけしようとか、とにかく「家族で」という形にこだわった。
でも小さな弟を連れているし、父は渋滞や混雑が大嫌いで母と喧嘩になるし、私はできれば一緒に行きたくなか

もっとみる
25.叔父からの性被害

25.叔父からの性被害

前回はこちらから↓

従姉妹とは適切な距離を模索しながら上手くやっていけるようになっていたけれど、従姉妹の父・叔父の事は大嫌いだった。
叔父は叔母の死後、一緒に住む事になったわけだけれど、しょっちゅう酔っ払っては家の鍵をなくしていた。
深夜、従姉妹たちが寝ている家に入れずに、こっちの家のインターフォンを連打したり、ドアを叩いて「開けてくれよ~」と叫ぶ。
なぜこっちの家なのか。
両親が家にいる時はほ

もっとみる
24.子供の私の世界を広げたのは漫画という文化

24.子供の私の世界を広げたのは漫画という文化

前回はこちらから↓

近所の同級生・ユキちゃんと親しくなって、色んな発見があった。
例えばテレビ番組もその一つだ。
うちの場合、父が野球を見るかプロレスを見るか大人向けのバラエティー番組を見ていた。
母はあまりテレビを観る時間もなかったけれど、歌番組は好きだった。
曲を気にいると自分のストリップでのステージでも使うためだ。

ユキちゃんの家は子供が三人いるので、夕方はアニメの再放送。
当時はドラゴ

もっとみる
23.同級生を通して知っていく"普通の生活"

23.同級生を通して知っていく"普通の生活"

前回はこちらから↓

母もAV女優だった事を知って、ものすごくショックだった。
でも父がAV男優だった事は知っていたけど、「なんか嫌だな」くらいの感想で、その差が何故なのかは今でもわからない。
正直、母の事は嫌いで、父の事は好きだった。
その気持ちのせいかもしれないし、全く別の原因があるのかもしれない。
大人になった今でもわからない。

そんな事、誰にも言えずに私は今まで通りの生活を送っていた。

もっとみる
22.母がAV女優だと知った日

22.母がAV女優だと知った日

前回はこちらから↓

夏休み、従兄弟たちの帰省は10日間ほどで終えて帰って行った。
嵐のような毎日だった。
うるさいし、従兄弟たちは喧嘩も多かったし。
父の弟・いわゆる叔父に連れられて近所の森に探検に行ったり、肝試しに行ったりもした。
祖母の畑の手伝いはほとんどが砂遊びと化していて楽しかったし、とうもろこしは一生分皮を剥いたし、一生分食べた。
叔母からは突き刺さる視線を感じたし、従兄弟・弟とはぎく

もっとみる
21.従兄弟に父がAV男優だと知られた記憶

21.従兄弟に父がAV男優だと知られた記憶

前回はこちらから↓

長期連休になると、遠方に住んでいる従兄弟たちも遊びに来ていた。
父の妹の子供たち3人だ。
これがまた容赦がない。
父の書斎には入ってはいけないルールになっていたけれど、従兄弟たちは私の静止を振り切って父の書斎の扉を開けた。
私もじっくり見たことがなかった部屋だった。

そこには父が出演した作品、関わった書籍や雑誌などがずらりと並んでいた。
「うわ~エッチなのがいっぱいある~!

もっとみる
アダルト業界の夫婦に生まれた私の"壁"

アダルト業界の夫婦に生まれた私の"壁"

✄-------------------‐✄

こちらは #創作大賞2023 応募作品です📖´-
「親のハダカを見て育つ」のダイジェスト版です✍️

拡散いただけると幸いです🙏♥️

✄-------------------‐✄

両親とストリップ劇場を転々と巡業しながら育った私は、ずっと退屈だった。
大した娯楽もなく、ステージの時間に沿って生きる生活。
ステージの合間に買い物に行ったり喫茶店

もっとみる
20.父の逮捕・胎児の夢

20.父の逮捕・胎児の夢

前回はこちら↓

母の出産があり、父一人で地方へ仕事に行くことが増えた。
具体的に何の仕事だったかは知らないけど。
アダルト関連のイベントだと思う。
そんな中、父が逮捕された。
その罪状も子供だった私にはよくわからないけれど、おそらく風営法違反とか?じゃないだろうか。

母の反応は覚えてないけれど、祖母はとにかく泣いていた。
「だからマトモな仕事をしろって言ってるのに!
裸の仕事だけでも白い目で見

もっとみる