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【映画評】ジェイ・シェル監督『スキャンダル』(Bombshell, 2019)

 男性的な役を好んで演じるシャーリーズ・セロン。単なる「男並み」で終わらなかった(女性性を捨てなかった)今作では久々に格好良かった。
 FOX ニュースのキャスターであったメーガン・ケリーが実際にセロンが演じたような好人物であるとも思えないが、白人(男性)優位主義の殿堂においてすら(おいてこそ?)看過できないセクシャル・ハラスメントが横行しており、これに対して女性たちが異議申し立てを行った、という事実をもとにこのような映画が作られたことは大いに喜びたい。
 各女性キャスターはエレベーターでの描写が的確に伝えるように、基本的にはスタンド・アローン状態にあり、レズビアニズムも描かれこそするものの、それが女性たちの紐帯の根本思想として前面化されるわけではない。畢竟、問われているのは女性の尊厳、いや、それ以前に人間の尊厳なのである。
 まぁ、でも、それが「白人(女性)」の尊厳に留まってしまうかもしれない可能性はFOXニュースの話だけに、あるんだけどね。
 とはいえ、2020年の『チャーリーズ・エンジェル』が女性間におけるバランスを意識しすぎて失ってしまったものが、ここにはある。

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