もっともっと理解したい
引っ越しが一通り落ち着き、なんてことない日常が戻って来た。
少し前の記事でも書いているけれど、家で独り過ごす時間が長くなると、知らず知らずのうちに思考がよくない方に向いてだめになってしまう。
新しい環境に翻弄されている夫もまた、目には見えないストレスにやられていたようで元気がないように見えた。どことなく心在らずな、遠くを見つめるような。
夫は自分がストレスを抱えていることに気づいていないときがある。本当は気づいてるけど気づかないフリをしているのかもしれない。空気を孕んだ風船のように、パンパンになっていつか破裂してしまわないか心配になる。
一見、機嫌が悪いなぁとか、結婚生活に嫌気がさしたか?とかそんな風に見えるけれど、そうじゃないのだと結婚3年目にしてやっとわかってきた。
一番近くにいる人間(つまり私)が、夫の変化に気づけないようではこの先が思いやられる。
くすぶってるときはつい自分にばかり矢印が向いてしまいがちだけれど、そういうときこそ家族の変化にも敏感でありたい。
「映画が観たい」という夫の一声で、最近公開されたばかりのジブリ作品『君たちはどう生きるか』を観にいくことにした。
宣伝一切なしということで正直公開されることすら知らなかったのだけれど、ジブリの新作と聞けば興味がわくし、どんな内容でもお金を払って観る価値がジブリ作品にはあると私は思っている。
あらすじも読まずまっさらな状態で観ただけあって、ある意味刺激的だった。同時に、広告がもたらす影響や効果がいかほどのものかも思い知った。(最近はどこも広告ばかりで少しうんざりしていた)
上映後に近くのカフェで夫とああだこうだ思考を巡らせてみるけれど、どれも腑に落ちない。むしろ迷宮入りしていくばかり。でも、こうやって空想したり議論したりする時間が楽しい。
ついにネットで口コミや考察を検索し始める。「なるほど」とか「そうだったら面白い」とか、さまざまな人の意見から新たな発見を得て、この映画がとんでもなく面白いものなのではないか、と軽い興奮状態に陥った。
もっともっとこの物語を理解したくなる。こういう楽しみ方ができる作品って、やっぱり面白いのだ。
夫は、劇場内で販売されていたレコードを手に取っては戻し、悩んだ末に魔女の宅急便のイメージアルバムを購入した。
我が家にはオークションで手に入れた古いレコードプレーヤーがある。夫曰く、引っ越しで動かしたから調整が必要らしい。
早く聴きたい気持ちをなだめながら、調整が終わるのをひそかに心待ちにしている。
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