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さよならなんかじゃなくて|Yogee New Waves A.Y.A TOUR 2023 SECOND

6月9日の早朝、まだ薄暗い部屋の中で目が冴えて眠れなかった。

今日はYogee New Wavesツアーライブの日。

夫の転勤先に来てから初めて1人でライブに参戦するということもあり、そわそわしている。

そして、このツアーが終わればドラムの粕谷さんは脱退、バンドは活動休止。

楽しみやら寂しいやら緊張やら、うまく表現できない感情が、頭の中をひたすらぐるぐるしていた。


お昼過ぎの高速バスで博多を目指す。

博多には訪れるたび「いい街だな」と思わせる何かがある。それが何なのか具体的にはわからないけれど、都会的なのにどこか懐かしくて人情味のある空気感や、それらがぎゅっと凝縮されている街並み(例えば丸の内と吉祥寺が隣り合うような)が好きなのだと思う。

もし福岡で生まれ育っていたら、博多で多くの時間を過ごしていたかもしれない。そんな想像を膨らませていると、ふと見知らぬ土地にいる自分を客観視すると同時に、この街が私にとってアウェーなのだと実感させられるのだった。


A.Y.A TOUR 2023 SECOND
@ DRUM LOGOS


『Haru no Umi』で会場が一気に歌声に包まれる。ゆったり揺れながら、全身で彼らの音楽を浴びた。

かすかに張り詰めた空気を感じたのはつかの間、どんどん和やかなムードになる。

時折色気がちらつく角舘さんの優しい歌、メンバーとアイコンタクトを取りながら調和するボンさんのギター、気持ち良さそうな表情を浮かべる粕谷さんの力強くも繊細なドラム。初めて彼らのライブを目の当たりにし、胸がいっぱいになっていくのを感じた。

『HOW DO YOU FEEL?』のなかなか終わらないアウトロで、感情がグッと押し寄せる。いつまでも終わらないで欲しいと思った。

そんな想いをダブルアンコールに乗せる。

「また会いましょう!」

再び姿を見せた彼らが爽やかに言うもんだから、寂しさよりもほっとした気持ちが上回る。それぞれの道を進んでいくことは、新たな"始まり"で、寂しいことなんかじゃない。そんな風に思わせてくれた。

笑顔でステージを去る彼ら見届けて、私もライブハウスを後にした。

ありがとうYogee New Waves。
粕谷さん、お疲れさまでした。


賑わう街と食欲を誘う屋台を横目に、バスターミナルへと急ぐ。次博多へ来たときは、屋台で一杯嗜もう、なんて思いながら。

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