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『鬼時短』:小さな成功を積み重ね、やがて大きな目標を達成する #19

元電通「労働環境改革本部」室長の小柳はじめ氏の著作『鬼時短:電通で「残業60%減、成果はアップ」を実現した8鉄則』を読みました。

https://x.gd/HAkoi

この本は、電通の時短改革(1ヶ月当たり10万時間の削減)に成功した著者が、その経験を元に、主に経営者や経営者をサポートする幹部に向けて、真剣に「時短」を考えるきっかけとするために書かれたものです。

経営者や幹部職員に向けた本ということで、「一般的なサラリーマンが読む本ではないのかな?」と思われるかもしれませんが、経営陣から見た現場の時短を成功に導く鉄則や考え方、方法などを分かりやすく知ることができます。

また、本書は会社という組織の「時短」の鉄則が書かれたものではありますが、その中には僕個人でも実践できることが幾つか見つかりました。

「DXによる業務効率化」が嫌がられた理由

本書では、少し前に、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という掛け声で、様々な企業が時短を試みましたが、著者が関わった企業でいくつかの企業で「現場が反対した」ため、DX化が中止したと紹介されています。

その理由は、著者によれば、経営者が安易に以下の思考に陥り、自分を納得させたからだと説きます。

「これが雇われ使用人根性だ。とにかく何かを変えることには、すべて反対なのだ」

しかし、経営者が本当に心から時短を成功させたいと思うなら、そのような思考に安易に陥ることなく、社員が何をそんなに嫌がっているのかを真剣に掘り返すよう勧めています。

実は掘り返せば、社員が反対する真の理由は、パソコンの操作能力など、DXツールを使いこなすための基礎能力の欠如にあると言います。

本当にOAソフトを業務に使うなら、ある程度はショートカットキーを暗記していないと使いものになりません。右手がマウスとキーをいったりきたりしているようでは、遅すぎて話にならないからです。
ところが、このようにキーボードを自在に使える社員は、驚くほど少ないのです。

『鬼時短』

そのため、現場の社員は負い目を感じ、自ら「私たちはパソコンができません。だからDXツールを駆使することもできません。」と経営陣に打ち明けることはせず、「DXの進め方が乱暴で、協力できません!」と、真の原因は説明せずに反対するそうです。

電通の社員でもパソコン操作が苦手な人が多かったという話には驚きましたが、そのため、キーボードの技術など、時短の土台となる技術を徹底的に社員に身につけて貰ったことが、時短改革を成し得た要因となったのです。

小さな成功が生み出す「熱」

時短改革というと、何か壮大なビジョンを経営者が打ち立てるかと考えてしまいますが、著者は「本質的価値を訴えるよりも、少しずつ小さな成功体験を積み重ねることが大事」と説きます。

例えば、タッチタイピングを習得したことにより、今まで30分かかっていた書類作成の時間が5分短縮でき、社員の自信が沸いたというものです。

組織全体から見れば小さな変化かもしれませんが、このような、小さな自信の積み重ねが発する「熱」こそが、組織の変化を阻む永久凍土文化を溶かす一歩となるのです。

そして、小さな成功体験を経験すると、次はまた一歩進んだ挑戦を行い、また成功を収めれば、更にもう一歩といった具合に小さな成功体験が積み重なり、やがて大きな変化が生まれます。

これは、組織改革の話ですが、個人として当てはめてみても、何か壮大な目標に向かって努力するよりも、目の前に小さな目標を段階的に設定することが、自己の成長プロセスにおいて重要だと感じます

まずは自分自身の小さな変化を

冒頭にも書いたとおり、本書は経営者に向けて書かれていますが、僕個人にも参考となる点が多々ありました。

今回は時短の8鉄則の中で、一人の会社員でも取り入れることができる要素は何かという視点で読み進めていきましたが、本書は読む側の立場(一般職、管理職、経営者等)が変われば、参考になる部分も変わる気がします。

そのため、企業における自分の立場が変われば、本書から影響を受ける部分も変わると思うので、また今後も繰り返し読み返したいと思います。

現在の自分は、組織を変える大きな力はありませんが、本書に書かれているような小さな変化を、自分自身に起こしていきたいです。

まずは、電通で行われた時短の土台となるPC技術、自分の場合はキーボード操作技術(今はそれ程出来ません…)を少しずつ習得し、やがては自在に使えると言えるレベルに到達したいと思います。

その結果、「個人の時短」を押し進め、その時間を育児や自己投資の時間に充てることを目標とします。

この場で宣言することで、より自分が頑張ろうと思える環境を作りたいと思いました。

ここまでお読み頂きありがとうございました。


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