引くに引けないのよ。
昼間、街で知らないおじさんにスッと声をかけられた。
50代くらい。
いかにも休日なファッションをしている。
しかも、その人は僕の名前を呼んだのである。
思わず頭にハテナが。
すると、そのおじさんは、
「社長の運転手の◯◯です」と言った。
そうだ、そうなのだ。
ようやくピンときた。
心の中で、「あー!!!」と叫ぶ。
いつも偉い人の送迎をしているドライバーさんだったのである。
ウチの会社の社員ではないが、すごくよく見る。
なんなら、夜中に家まで送ってもらったこともあった。
その人がたまたま休日で、声をかけてきてくれたのだ。
なぜ僕が気づかなかったのか、理由はすぐに分かった。
まず、会うのは基本夜なのである。
暗い状態でしか見ていない。
そもそもの顔を知らないのである。
そして、いかにも休日なファッションで出くわしたこと。
「車」「スーツ」「手袋」がなければ、ぶっちゃけイコールで繋がんないのである。
だから気付かなかったのだ。
それを察して、向こうから名乗ってきたというわけ。
本来ならそこで、
「あー!そうでした!!失礼しました!!!いつも夜に会うのでビックリで…」と言うべきなのだろう。
でも僕は、あからさまに、
「お前誰だ?」な顔をしてしまったのだ。
ここで取り繕ってもウソくさい。
引くに引けなくなった僕は、
「あぁ、そうっすか」とピンとこないフリで押し通した。
いやもうホント、引くに引けなかったのである。
だってピンとこなかったのは事実なんだもの。
フォローしたとて、ただ誤魔化すことになるだけだ。
ならいっそ、押し通したほうがいいと判断したのである。
間違ってるのは重々承知だ。
というわけで、ここで謝りたい。
ドライバーのオオキさん、
すみませんでした!!!
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最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!