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コミュ間トンネルほりほりおじさんの話

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っています。

 2023年のうちに一年のまとめをする予定だったのが年明けに延びてしまったので、今年の予測(?)と併せてアウトプットしておこうと思います。まとめを一言でいうと、関わる領域が増えたという事なのですが、それゆえに他の人に活動を説明するのがより一層難しくなったという事でもあるので、分かりやすくしておきたい気持ちがあります。


Community Relations

 去年の4月に、新しい語を考えてみました。これは、2020年の時に目指した六方良しの考え方をもう少し拡張して、私→各コミュニティのコミットの片矢印を増やす方策ではなく、コミュニティ⇔コミュニティのコミット両矢印を増やす方策について表現してみたものです。最初は私がいろいろなコミュニティイベントに足を運んだりして参加者としてコツをつかんでいくのですが、それを私だけに留めずアウトプットすることで他の人も同じような動きができるようにしていく活動にシフトしてきています。運営者としてもアウトプットしてきたので、コミュニティの新設についても多少の貢献があるようです。
 分かりにくいので過去図を踏まえて新しく描いてみました。

一石六鳥システム→Community Relations?

 大学・研究機関・xR・DevRel・音楽・ビジネスの6領域を瞬間的に行き来しながら影響を及ぼし続けていました。研究機関の領域でVRコミュニティの成長をサポートした経験を、他の地方のコミュニティの立ち上げ時期のサポートにつかってみたりという事が今年は新たにありました。前は「参加者」としていろんなコミュニティに出入りするだけだったものが、この場合は「運営者」の属性も持って活動できる状態になっていて、役割の変化を感じています。これをもうちょっと突き詰めていくと、コミュニティとコミュニティ同士を結びつける案内人的なポジションが出来たりしないかな?と考えています。

https://note.com/jun_vr/n/n4780b7d52118#88b44903-d7cb-4aca-b11a-194778078329
過去の図ここまで

いい感じの図

自分のコミットが一方向でたくさん
最近の図 他の人が別のコミュニティに出入りすることを支援する

 上の図が当時やっていた活動の概要で、下の図が最近の活動の概要です(たぶんもうちょっと書き換わっていくと思います)。下の図では点線の内側の私を省略しましたが、"コミュニティの外へ出て情報を媒介する人"の役割で↔の一部としてもちゃんと活動しています。それに加えて、コミュニティ周りの他の人・組織などに働きかける存在として点線の外側に自分を書いてみています。その時に、①対個人、②対コミュニティ、③対アカデミア・企業、④対全体でそれぞれに合わせた支援みたいなことをやっている構造になります。
 〇が多いと矢印でごちゃごちゃするので省略していますが、実際はこれら以外にも、東京の各種コミュニティ、#JAWSUG、#CMC_Meetup 、VRARA、#NT札幌 、#コミュ勉、#MIERUNE など私の行き先の分だけ〇があります(良好な関係を作れているかはまちまち)。

①対個人

 何かを始めてみるためのハードルを下げるためのアシストは多岐にわたります。個人がxRで何かを始めるとして、自分だったらこれが欲しいなと思うのは以下です。
・xRの情報を知ることができる場
・xR関連のガジェットを実際に触れる場
・xRの開発をする機会
・開発したものを見せびらかす場
・仕事につながる機会

 知る場・しゃべる場としては、XRミーティングを有効活用するように維持してきました。エンジニアが何かを作るところまでやれれば、その成果物を認めてもらえそうな場に案内すると機会に結びついていきそうですので、発表の練習みたいな段階をXRミーティングでやってもらう流れをイメージして運営しています。初登壇のサポートを私がやることで、ツイート実況の精度も上がって、色んな人がその人を正しく見つけるようになる効果もあります。
 今年度は #Engineers_LT コミュニティにLTのコツのテーマで寄稿するなども出来ました。発表で困ってる人に対する支援もバリエーションが増えそうな気配があります。

 ガジェットを触る機会については、手持ちガジェットの体験行商なんかをやったり、レンタルで借りられたガジェットを地元エンジニアでお触りしたり、自分がガジェットの展示場所に行ってメーカの人と関係を作ったりしていました。また、今年度は道総研のXRイベントで体験会を現地開催したので、そちらにもDoMCNで展示協力して、ガジェットに触る機会を提供しました。大学にも非公式ながら時々体験スペースを作れるようになりました。

 開発の機会も↑に関連して、もくもく会を開いたり、#AR_Fukuoka のハンズオンイベントをサテライト化して札幌の小会場でも対面形式で開いたり、ハッカソンに拠点協力して装置の拠出をしたりして( #MRHack)、北海道外にある技術にアクセスできる機会を維持しました。

 仕事につながる場というのは、地元の構造による部分が大きかったりするので、なんとも言えないところです。札幌では残念ながらいい機会を作れていないのが現状で、道外の企業のニーズをよく聞いて紹介したりというのが今後もしばらく続きそうです(自分自身もあまり仕事にはなってないですしね)。

②対コミュニティ

 開発者コミュニティを新たに始める場合、やはり自分だったらこれがあると嬉しいと思うのが以下です。
・リアルイベントを行う場所
・イベントを行う仲間
・(イベントを行うための機材(XR特有))
・イベントの中身を発信してくれる参加者
・イベントのまとめ

 北海道においてはイベント参加人数に合わせて、@s_haya_0820 さん所属の会社のオフィス、13LABO、Microsoft Base Sapporoをお借りする事が多いです。コロナ対応が終わらないので今は少人数部屋に偏っていますが、瞬間的に利用の打診ができるところというのが共通点です。
 xR以外の技術のコミュニティからの相談や道外からのお客さんへの対応もできるように日々いろんなイベントに行きつつ会場のオーナーともお話しするようにしていました。
 道外のイベント会場にも出張の際に見に行き、現地の場所の状況を調べています。福岡エンジニアカフェや、倉敷ブリリアントスクエア、名古屋コラボベースNAGOYA、新宿の紀伊國屋書店アカデミックラウンジなどを訪問して、活動内容の共有などしてきました(利用できるかはまちまち)。

 地方では運営仲間を作ることがかなり難しく、その維持も困難であることを体感してきました。ですので、初めから5人とか必要なイベントではなく1人から始める事のできるシステムを考える事にしました。その結果、地方サテライトを複数結んだ運営方法にいったん巻き込まれてもらって、運営の練習をやりながら仲間が増えるまでのイベントも実績化していく仕組みを作ってみました。

 機材については、①でも開拓していったハードウェア提供企業への交渉ルートを↑の運営陣に共有していくことによって、他の地方の人も必要な機材へアクセスできる方法を提供してきました。

 発信については事前の共有と開催中の発信をする文化が地方にはほぼありませんので、私が代わりにやってみるところから始まりがちです。参加したイベントのツイート実況をしてフォロワーの皆さんに何がおこなわれているのかを共有していく習慣になっています。関心の近い他地域の人もイベントに気づいて合流したりしている様子が結構見られます。また、togetterまとめにしてもらえれば、イベント説明用資料にそのままなるように実況していたりもするので、あとから活用してもらうこともできると考えています。

 イベントの告知を共有するグループの共同運用も続けています。普段TLで埋もれがちな勉強会の開催情報をストックしておくことで、ネタがある人の登壇先が見つかりやすくなるなどの効果や、イベント同士の日程被りを防ぐ効果を期待しています。悪質なECサイトの宣伝投稿が一時はびこり、承認制に切り替わっているなど運用方法は多少変わりました。

https://twitter.com/i/communities/1497522888874000387


③対アカデミア・企業

・アカデミア

 私の専門領域では、クローズドな領域内に留まる研究者の方が伝統的に多く、その原因は外部の情報収集時間の無さだったりもします(自分も死ぬほど忙しかった)。自分自身は学会に通って領域のトレンドを学びながら、ブースで出会う人々に外部コミュニティでの面白い出来事や文化などを地道に伝えたりを続けています。

 科学に関わる人達の中でコミュニティ文化に興味ある人が出てきてくれた時にはかつての応物のKOSENチャプターの皆さんの時のようにサポートする準備はしています。
 一般的な業界と違って、科学の業界では共同研究が走るかどうかもメリットを判断するうえで重要なファクターだったりもしますので、できるだけ関心軸の近い二者をうまくめぐり合わせる事が出来ればコミュニティのいいところが伝わるかもしれません。去年は全天球ストリーミングをキーワードに研究機関と企業の橋渡しを試しました。

・企業

 一般的な企業の人にとっては開発者コミュニティって何?みたいな認識がまだまだ根強いです。一方で東京のベンダーさんを中心にコミュニティ文化への理解のあるところもあったりして、そういう会社さんとは仲良くなれる可能性が上がってきました。機材レンタルなんかのお話しも、そういう波長の合う人を見つけて今まで実施につなげていきました。
 また、科学方面の人と製造業の人という、学会以外ではあまり接点のない両者を橋渡ししてみたりもしました。関心軸が近いけど居場所が違うので常時すれ違っていて会えない、という例があります。私のような外の人になってみるといくらか見つかるようになっているので、そのような人たちを繋ぐと何が起こるかには興味があります。

 純粋なビジネスサイドの人たちは事例を求めていたりもするので、コミュニティマーケティングコミュニティ (#CMC_Meetup )や #コミュ勉 の勉強会イベントで活用事例などを日常的に学んだりして、運営法だけでなく具体施策の効果などについても即時提供できるように準備しています。


④対全体

 私の活動の全部に追従してきてくれる人がいるとは思えませんが(活動のリターンはあんまりないし)、自分の活動の内容や意味については随時アウトプットして公開しています。誰かしら参考にして役立ててくれるトピックが断片的にはいろいろあるのと、1年後とかにまた振り返りの記事を私が書くときに楽になる点で重要だと考えています。
 今年もnoteの媒体と、docswellの媒体で公開しています。XRミーティングで発表者がいない時などにLTで発表したりしているものを改めてまとめなおしたりするスタイルが多いです。
 言語化することで、今現在活動されている他のコミュニティマネージャー職の人とどの点で共通でどの点で異なっているのかを自分の中で整理したりできます。


なぜ単一コミュニティの盛り上げだけに注力しないのか

 地方コミュニティ単体だと衰退が運命づけられている環境だから、というシンプルな答えです。札幌の歴史的には、初代HoloLensが出たときに一度界隈が盛り上がり、xRの開発に乗り出した企業・開発者ともにそこそこいました。
 技術が扱えるようになったエンジニアは東京圏に転職し、物理的に遠い北海道に戻ってくることはありませんでした(みんなが合理的に考えて行動した結果なので当然)。地元で参加者を集めることは今でも可能ではありますが、イベントのお知らせ活動を昔以上にたくさんやる必要があります。そのうえ、興味をもってくれた人が出てきても結局地元で活動する間に機会格差を突きつけられ続ける事になるので運営者としてはジレンマを抱えます。若い人に対しては、サクッと東京に行って修行できるようにした方がよいよと伝えているほどだったりします。なんのために勉強会やってるのか分からなくなるのもしょっちゅうだったりします。
 
 六方良しの図の時には自分自身のコミット量を増やしたりしていましたが、DoMCN自体の情報生産力の増加にはつながらないため、3年前くらいに考え方を変えました。
 人の行き来の↔の量を増やすことにしました。コミュニティから別のコミュニティに出かけるというのは結構エネルギーの要る事なので、そのエネルギーをいかに下げてヌルっとよそに遊びに行ってもらうかという事を日ごろ考えています。知っている人が実際に行ったり来たりしてる様を見ているだけでもハードルは下がる様なので、自分自身も実際に行ったり来たりを繰り返しています。
 行き先を発見して共有することも大事だと考えていて、2拠点だと↔1本、3拠点だと↔3本、4拠点だと↔6本、5拠点だと↔10本、と n(n-1)/2の感じで増えます。これをやっていくと、行き先の組み合わせに応じたスキルセットが出来て行って、やってる人のオリジナリティが上がっていきます(タコつぼ型コミュニティに吸い込むだけだと逆に希少性下がる)。
 
 経路を確保して、流量を増やす。これをやることで私の周辺領域が活発になって持続するので、私が楽しいだけでなく、DoMCNのイベントにも時折立ち寄ってくれるようになります。そういうシンプルなストーリーを目指して実験しているのでした。

これ

 一般的なコミュニティマネジャーは自分の運営しているコミュニティにおける参加メンバーの発信を最大化するように努めると私は理解していますが、私自身はDoMCNにおける発信を増やさなくてもよいと割り切っており、そこが最大の違いかもしれません。

反応が変わってきつつある

 よそのコミュニティを目立たせるように発信内容を変えてきた結果、界隈の人が集まるイベントに行った時の反応が変わってきたように感じています。2021年の東京出張の時はごくごく限られた一部の人から見つけられて話しかけられる感じで、いち参加者として自由に展示を見て回ったりしていました。2023年の出張の時は、私の知らないところで会場内で探されているという事がいくつかありました。応用物理学会でも2件くらいありました。
 イベントなどではエンジニアの邪魔をしたくないので私からはあまり声をかけないようにしていますが、今回は普段の活動に関してとてもいろいろ言われました。以前より関与してる地方が増えたりもして、より向こうの人たちに刺さる活動をしているのだろうと思っています。

適切な名前はまだ考え中なのでゆる募

 Community Relationsで検索をかけると、実はすでに意味が存在していて以下のように書かれています。

企業が、周辺のコミュニティ(地域社会)との良好な関係を保つこと。企業施設を地域に開放したり、あるいは周辺居住者を優先して工場に雇用する、地域と共同で催しものをやるなど、多様な活動が考えられており、パブリック・リレーション活動の重要な活動の一つとして設定されるようになっている。企業全体を売り込むことによって、経営や営業活動を円滑に進めようとする、総合戦略の一環として行なわれるもの。

Weblio辞書

 都市計画の企業などが地域の人々と仲良くする活動を指しているようなので、私が意図している活動の中身とは異なる意味をすでに持っています(印象としては六方良しを目指してた時の形態に近い)。私の場合は、Developer Relationsがエンジニア複数との良好関係作りの職名だったことから、コミュニティ複数との良好関係作りの活動を以って安直にCommunity Relationsと言ってみたという感じです。

@tomio2480 "ITコミュニティは駅であれ" https://www.docswell.com/s/tomio2480/5RXM79-scrumfestniseko#p16 より

 さて、勉強会支援の先人である @tomio2480 さんが去年の秋にITコミュニティは駅であれという提言をしました。このスライドの中で、ITコミュニティそれぞれを駅と捉えてその充実度について論じています。ITコミュニティのマネージャーは駅長という感じになりそうです。
 私の活動についてこのたとえを利用すると、駅と駅の間を最短で移動する経路を開拓することに当たるんでしょうか。どの駅からでも好きな駅に1ホップで行けるトンネルを掘るみたいな感じですので、だいぶ駅長からはかけ離れており、むしろちょっと犯罪っぽい感じもしますね。
 来年までに適切な表現を思いつかない限り、私の新たな肩書きが"コミュ間トンネル掘り堀りおじさん"になってしまうので、早めに何とかしたいところではあります。

今年は本州勢とのコラボ能力の差が出る年

 大規模なITカンファレンスなどが地方開催され始めるようになってきて、カンファレンス運営の人たちが北海道に訪れる動きも良く見かけるようになりました。地方の運営勢がカンファレンスの関心軸のトピックの方で良さを発揮できるか、あるいは単なるご飯ナビゲーターとして終わるのかで今後の展開が変わっていくだろうと考えています。ご飯ナビゲーターであれば、道外勢としてはわざわざ時期を決めてまで北海道に来なくてもよいので、カンファレンスなどの同期イベントは無くなるでしょう。
 私は札幌情報に疎く、ご飯ナビゲーターができるかどうかも怪しいので、来客駆動イベント方式を選択します。小さくたくさんイベントを起こせる体制で臨みたいと思っています。

まとめ

 今年1年の活動をざっくり振り返りつつ、コミュニティマネジャーではなくCommunity Relationsと言えそうな活動内容であったことをまとめてみました。12月中にたくさん書いた記事の総まとめをようやくできました。
 2024年も楽しい事に関われる1年になればよいなと思っています。今年もよろしくお願いします。

以上です。

(2024/01/08 初稿 7471字 2days
 2024/01/10 英語版の図も追加)