マレーシア就労で長期在住予定 (今後の転職可能性)のある方:リリースレター発行しない会社を避けるべし
前回記事:
で少し触れましたが、私はまさにこの「リリースレターを発行しない会社」にて就労していたため、転職において甚大なコストと手間と不便と期間を強いられました。
リリースレターとは?
リリースレターというのは転職時に国のイミグレーション(移民局)が要求する退職書類の一種で、レターのフォーマットはイミグレーションが指定している様式です。
これがあることで、出国することなくスムーズに転職することができます。
しかし、マレーシアのBPO企業において、退職抑止の手段として、これを発行しないという悪行が横行しています。政府が要求する書類ですが、発行しなくとも罰則がないからです。罰則がないのをいいことに、これを発行しないという、嫌がらせとも取れる行為をして、退職の抑止手段としています。
今回、リリースレターの発行有無によって、何がどう違ってくるのか?について、経験から記してみたいと思います。
そしてなぜ、リリースレターを発行しない会社を避けるべきなのかについても記します。
リリースレターがないと何がどう違ってくるのか
では、まずリリースレターがないと、転職時に何がどう違ってくるかについてです。
1.転職時に、マレーシアからかなり長い期間(1ヶ月など)出国しないとならない→費用面が莫大にかかる
リリースレターがないと、転職時にマレーシアに滞在し続けることができません。日本に帰る予定があったり、そもそも帰る前提でいるならば、大きな問題ではないかもしれません。また日本に帰国する際も、帰れる実家などがある人もまだ良いでしょう。
中には、日本に帰る家がない人や、実家がない人もいると思います。そうすると、1ヶ月レベルの期間となることでホテル等の宿泊費がかかってしまいます。言わずもがな、滞在費や交通費等も。
何より、帰る先がない人にとっては、そういった状況になるにもかかわらず日本に行かなければいけなくなり(近隣諸国でも大丈夫とも聞いていますが確認要)航空券の出費がかかります。
実家などがあって滞在費が無料になる場合であっても、転職で収入なき状況で、日本の物価における滞在費というコストと航空券代もかかります。
また、マレーシアの家も、その間は住んでないのに家賃だけかかってきます。
リリースレターが出れば、マレーシアに残れるのでこれらがかかりません。
2.ビザ申請から承認までの期間が大きくかかる
ここからは私の記憶ベースですが、リリースレター発行あり転職の時は、次の会社のビザ申請→承認までの期間も、短くて済みました。2週間程度で転職できたと思います。
リリースレターあり、すなわち出国しなくていいので、新ビザ手続きのための出国記録の提出も不要となり、提出書類等も簡略化されたかと思います。税金然り。
ところがリリースレターがないと要出国の上に、期間が1ヶ月などかかります。承認までの期間が不必要に伸ばされてしまうのです。
なぜリリースレターを発行しない会社を避けるべきなのか
これは私が考えるところの2つの理由があります。
1.BPO(マレーシア現地採用職の多くがこのBPO形式)はマレーシアKL(クアラルンプール)にはそもそもたくさんあって、リリースレター発行する会社もたくさんある
マレーシアには多くのBPO企業があります。そして最低限の条件を満たせば(勤務1年など)リリースレターを発行してくれる会社が多いです。(試用期間内や勤務1年未満は逆に出してくれないところが多い)
他に多くの採用BPO企業がある中で、あえてわざわざ、リリースレターを発行しない会社を選ぶ必要がないのです。1つのプロジェクトには、複数のBPO企業が入っていることもけっこうあります。なので他の会社を選ぶこともできます。
おそらく、複数応募して、複数面接を受ける人が多いでしょうから、面接の内定が口頭で出た地点で、リリースレター発行の有無を尋ねてみるのがいいと思います。
2.リリースレターを発行しない、という姿勢・行為がそもそもブラック性がある
これも前記事で触れた通りですが、
リリースレターを発行しない、という姿勢が、企業体質としてそもそもブラック性があると考えているためです。
企業モラル、人事モラルが低い。
人事は本来社員のためのサービス職です。入社も退社も円滑に進むよう、必要とリクエストされた書類を必要な期日までに発行する、それが人事の仕事であり、リクエストに沿える努力義務を果たすのが人事というファンクションです。(人事経験者です)
人事プロセスを滞らせたり拒否することをもって、退職を阻止するというやり方が、職権乱用的な行為であり、そこにそもそもブラック性がある。
残念ながら、マレーシアのBPO全体的に、ブラック性がある面が大なり小なりあることが多いと思います。BPOがそもそもそういう位置づけというか。
そして非常に多くの人から聞くのが、そもそも人事の仕事ぶりや対応がまるでなってない所の多さ。
マレーシアのコールセンター(BPO職の1つ)は底辺職だなんていう言葉がネット上でも定期的に出現します。
私は決して底辺職なんて思わないどころか、かなり大変な仕事であり、その仕事をするためのスキルや技量は大きく必要です。
けれど、BPO数社を経験しての個人の感想ですが、BPO企業側が社員に対して底辺職のような扱いをしている、というのはある意味その通りだと感じました。すべてにおいて個人レベルの裁量がまったくなかったです。BPOなんだからそんなのなくて当たり前!と突っ込まれてしまいそうですが。苦笑
仕事のKPIが分刻みレベルでチェックされるなどは当然で、スクリーン上を監視されたり、録音されている対応内容を抜き打ちで検査して一字一句直されたり、といったチェックも普通にされています。
でもちょっと振り返ってみてもらうとわかるのですが、他の外部顧客と接する職業、たとえば営業やコンサルタント、ショップのスタッフ。
彼らの対応が日常的に横で録音されていたり、顧客の前で日常的に対応をチェックしてるなんて話は聞いたことがありませんよね。(新入社員時の研修などを除けば)
でも、研修ではなく新入社員でもない社員に対して、それが当たり前のように「日常的に」行われているのがBPO職(←顧客対応職の場合は顧客対応チェック)。 どこのBPO職にもQAという部署があって、そこでチェックしています。(例外を除けば)
非BPOにどっぷりの状態からくると驚きの縛られぶりだし、逆にBPOにどっぷりだと、BPOの常識や価値観に染まってしまい、考えなくてもロボットかのように仕事をするのが当たり前になってしまう。(私自身の経験談と感じた感想として)
もちろんそれが我慢できる人なら良いでしょう。考えなくていいので、楽ではあるのですから。そしてもちろん、良いこともあります。通常、残業もないですし、仕事を家に持ち込むこともありません。この良さを享受して、プライベートライフを充実させるのは全然ありです!割り切れるのであれば問題ないのです。
私は、その良さを享受した上で、享受してきたからこそ、割り切って我慢や許容してきました。けれど一字一句監視され訂正される・・・という世界は、本来は自分には合わないとずっと思い続けてきたのも本当です。前職はまだ良かった方ですが、過去のQAには酷いレベルのところもありました。
私は、前職はいろいろと良い面もあったことから、BPOの中ではホワイト企業だと思っていましたが、リリースレターの件で感じたブラック性や、前職に限らずすべてのBPOにおいてですが「非BPOでは当たり前の常識」(=人事は本来社員のためのサービス職、というのも含め)が存在しないことにも嫌気が指してました。
私の転職の直接のきっかけとしては、前職が嫌で辞めようとして転職したわけではなく、転職は考えていなかったのに破格のオファーがきたので転職を決断しており、冷房が極寒等を除けば、おおむね満足で円満退社でもありました。
唯一リリースレターという点で多大な手間と出費と期間を発生させてしまったのと、BPO企業はいくらでもあるので、「リリースレター発行しない会社を避けるべし」というのが、声を大きくしたい点となったわけです。
複数面接を受けて、リリースレター発行しない会社だとわかったら、リリースレターを発行する会社で検討した方がよいです。ないよりある方が絶対いいからです。
もちろんリリースレターだけでなく、有給が取れるかどうか等、いろんな要素はありますが、また別の機会に書きたいと思います。
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