音楽史note[JUN]

各音楽ジャンルの分断や価値差別意識に疑問を感じ、そこから音楽の歴史に興味を持つ。まずは…

音楽史note[JUN]

各音楽ジャンルの分断や価値差別意識に疑問を感じ、そこから音楽の歴史に興味を持つ。まずは固定記事にしている「クラシックとポピュラーを繋げた音楽史の図解年表」をご覧ください。西洋音楽史編はある程度のゴールに辿り着けたので現在は日本音楽史を勉強中。いずれすべて接続して把握するのが目標。

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  • 分野別音楽史

    各ジャンルの音楽史をまとめました。特定の1ジャンルの記事だけではなく、是非とも全体を読んでいただけると、今この世にある様々な音楽のことを広い視野で知ることができると思います。

  • メタ音楽史

    ただただ音楽が好きで、音楽について知ることに興味があって、「音楽の歴史を知りたい!」「音楽史に興味がある」という人はたくさんいると思います。しかし、調べて出てくるのは"クラシック音楽史"ばかり。現在の音楽にどう繋がるのかはわからないまま。 そこで今度は「ポピュラー音楽史」を調べてみると、出てくるのは主に「ロックの歴史」。しかしロック以外にもポピュラー音楽はたくさんあるはずですよね? 思い付くジャンルで「ジャズの歴史」「ブラックミュージックの歴史」「クラブミュージック史」「ミュージカル史」などと個別に調べればそれぞれ詳しく出てくるけど、どうも繋がらない。クラシックから地続きなはずなのに、その関わりも見えてこない。 そこで、純粋に「クラシックからポップスまでの諸ジャンルの歴史を並列で書けないものか」という疑問から、それぞれの歴史を繋げる試みを行っていきたいと思っています。

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クラシック音楽史とポピュラー音楽史を1つに繋げた図解年表 (PDF配布)

従来の学問的な「クラシック音楽史(西洋音楽史)」と、各ジャンルを個別に追うことでしか情報が分かりづらかった各「ポピュラー音楽史」を、一つの時系列に並べてみた図解年表です。 クラシック、ジャズ、ロック、ヒップホップ、クラブミュージック、映画音楽、ミュージカルなどを網羅した、今までにない視点の表が完成できたと自負しています。 この記事をPDF置き場にして最新改訂版を随時更新することにします。 初版よりかなり加筆・修正していますので是非こちらの最新版をチェックしてみてください

    • にほんのうた⸺音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史/みの

      音楽評論家/音楽系YouTuber・みの氏(みのミュージック)による新著『にほんのうた⸺音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史』が、2024年03月04日に発売になりました。帯には「縄文楽器から初音ミクまで」と書いてあるとおり、日本の音楽史を概観した内容になります。 当noteではこれまで、クラシック音楽史と各ポピュラー音楽史を接続した西洋音楽史を記述してきましたが、その延長で日本の音楽史についても勉強を進めているところでした。そのため、問題意識・興味関心・先行文献などがぴった

      • クリエイティブというものに、もっとリスペクトのある社会を

        あらゆる作品づくりの多くは、人間一人では実現できないことばかりで、たくさんの業界が関わってチームで動かざるをえない。チームみんなで何かを目指してモノを創り上げるということは、本来とてもかけがえのなく素晴らしいことであるはずだ。 しかし、その構造にあぐらをかいて尊厳を踏み躙る大人が利益を儲け、根本の表現者がバカを見るという事案があまりにも多い。 クリエイティブって、一体何なのだろう。 昨今話題になっている、漫画原作のドラマ化をめぐる悲しい出来事の件だけでなく、東京オリンピ

        • 「演歌=日本の心」が嘘なのは十分解ったよ。でも「演歌は洋楽だ」「邦ロックを邦楽と呼ぶな」でいいの? ・・・んなわけねーだろ。

          演歌と言えば、日本にずっと昔からあるような、ある種の伝統芸能のようなジャンルのイメージとして捉えられていました。 「演歌は日本の心」 というキャッチフレーズは、あらゆる場所で用いられて常套句として通用してきました。 しかし、日本の音楽の歴史をよく紐解いてみると、演歌という音楽ジャンルは伝統的なものでは決してなく、1960~70年代という限定的な時期に流行した、極めて新しいジャンルだということが分かってきます。 この事実は近年になって指摘されるようになり、一部の音楽ファ

        • 固定された記事

        クラシック音楽史とポピュラー音楽史を1つに繋げた図解年表 (PDF配布)

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          「西洋クラシック至上主義 vs 文化相対主義」と「ポピュラー音楽」

          つい最近まで、学問において「音楽」といえばそれは当然「西洋クラシック音楽」のことを指していました。音楽を取り扱う専門家は、言及対象としてクラシックのみを対象とすることが自明の理でした。音楽の専門家にとってクラシック外の分野は眼中になく、卑俗で扱うに値しない対象外のものだとされたり、批評対象になった場合でもクラシック美学のルール・基準でのみ良し悪しが判断されるという、価値の押し付けがあったのです。 しかし、21世紀に入り、これが「西洋中心主義」だったとしてようやく批判されつつ

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          自分のアイデンティティとマイノリティ問題について考えてみる

          以下の色を目に焼き付けてください。 この色が、自分だとします。 自分のこの色を、何色だと名乗りたいですか? ●段階1. 赤か青かの2択で選んで名乗らなければいけないのが社会のルールだとする。それだと、自分は完全に「青」だ。 しかし、そんな自分に対して、周囲からは「青っぽくないなお前」「青なら普通こうするよね」「もっと青っぽくしろ」などと言われたりする。 ●段階2. そんな中で、赤でも青でもなくて悩むマイノリティーの人が、何か社会運動を起こした結果、「紫」という概

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          「見て見ぬふりをしていたやつも同罪」に思うこと

          学校でのいじめ問題や、ネットでの誹謗中傷、BLM運動など、現代社会に延々と続く様々な問題や悲惨な事件に関して、よく見る意見。 「見て見ぬふりをしていたやつも同罪」 ごもっともです。 ごもっともなんだけど、この意見をナチュラルに主張できちゃう人って、どこか当事者じゃないから言える部分があるというか、外野からモノを言っているよなあ、とも、思ってしまう。自分が被害に合う可能性が無いから、自分がその「周囲」にいないから、実際の痛みを知らないから、強い立場にいるから、堂々と指摘で

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          音楽と知識とカーストと

          自分は音楽が好きで、小さい頃から息をするように鍵盤と触れ合ってきた。 それなのに、どの界隈に対しても知識が足りず、話に入れず、共感できなかった。 流行りの音楽、マニアックな世界、サブカル、ハイカルチャー、、、それぞれの場所に、それぞれの聴き方・楽しみ方があって、それぞれの「良い音楽」という「正義」を盲信している。僕はそのどれにも染まりきれない。 どれが「正しい音楽」で、どんなものが「良い音楽」なのか。そんな問いに、1つの正解なんてものはあるはずがない。けれど、自分が「音

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          明治政府の西洋音楽導入施策(唱歌教育)におけるキーパーソン・伊澤修二を探る

          当noteでは約2年前から記事を書き始め、音楽のジャンルや価値観の違いに関する疑問を出発点とし、クラシック音楽史と各ポピュラー音楽史を並列で論じていくことを大きな指針として記事を投稿してきました。 メタ音楽史のシリーズや、分野別音楽史のシリーズで、従来バラバラに存在していた各音楽史の系譜を並べて書くという目標はひとまず達成でき、その系譜を詰め込んだ音楽史図表も多くの方に見ていただけました。 が、これだけでまだゴールではありません。上記の系譜はすべて「西洋音楽史」であり、日

          明治政府の西洋音楽導入施策(唱歌教育)におけるキーパーソン・伊澤修二を探る

          音楽ジャンルを「商業的/芸術的」「低俗/高級」「幼稚/精巧」というレッテルで判断できるのか。

          いつの時代も一般的感覚として、「権威側」に関連する音楽は「仮想敵」であり、「被支配者側」に属する文化は我々の味方であり大切にされるべきだ、という感覚がある。そのような暗黙の前提により論が展開される音楽批判が非常に多いと思う。 しかし、そのような価値判断は果たして本当に正しいのだろうか。「卑劣な権威側に牙を剥く正義の市民側」というスタンスの批評が、逆に差別的な視線へと繋がってはいないだろうか。 クラシック音楽史では、次のような捉え方が一般的である。 と。 しかし、クラシ

          音楽ジャンルを「商業的/芸術的」「低俗/高級」「幼稚/精巧」というレッテルで判断できるのか。

          クラシックやジャズが「わからない」という意見に対する「わかる/わからない論争」について

          いきなりですが、以下をお読みください。 上記の作品は、有名な漢詩です。 これを読んで、どう感じますか? 「どう感じるかと言われても・・・」 「・・・“わからない”」 そう思いませんでしたか? では、今度はたとえば、漢文のおもしろさを知っている側になったとして考えてみてください。「漢文の鑑賞をもっと広めたい、漢詩の世界を伝えたい!」という場合、 「漢文は難しくてわからない」という学習者側の意見に対し 「まずは読み方、読むために必要な書き下しの方法や、押韻など使わ

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          オペラが音楽史に入るのにミュージカルが音楽史に入らない理由【ChatGPTに質問】

          今回は音楽史について個人的に問題に感じている疑問点をChatGPTにぶつけてみました。 Q. ミュージカルは通常音楽史で触れられませんが、何故ですか?オペラは音楽史で触れられるのに。Q. オペラも物語を表現しているし、ミュージカルも音楽性によって評価されてもいいでしょう。おかしくないですか?んー。屁理屈ですね。 でも実際、20世紀にヨーロッパのブルジョワ階級的価値観を保持したい芸術音楽論壇は、このような論理でミュージカルや映画音楽を「非・クラシック音楽」として差別し、「ク

          オペラが音楽史に入るのにミュージカルが音楽史に入らない理由【ChatGPTに質問】

          話題のChatGPT先生に音楽史を解説していただきました。が・・・

          ChatGPT先生に音楽史について聞いてみました。 当noteの過去記事や他の様々な情報と照らし合わせながら、この出力結果の音楽史の整合性はどの程度か、この物語の視点がどのようなものなのか、皆様も是非考えてみると、おもしろいかもしれません。 はい、いかにも「優等生」的なまとまり方で、一般常識的な基礎知識として非常に妥当なまとまり方だと思います。典型的なクラシック中心視点であり、やはり多くの学術書と同じく、単に「音楽の歴史」とだけ言えばそれは自動的に「西洋芸術音楽史」のこと

          話題のChatGPT先生に音楽史を解説していただきました。が・・・

          【分野別音楽史】#番外編② メディア史

          『分野別音楽史』のシリーズです。 今回は音楽に関わるメディアの歴史になります。あらゆる音楽ジャンルの発生や流行現象は、それを伝達する「メディア」と密接に関わっており、音楽史においてメディア史は切っても切り離せない非常に重要な要素です。 にもかかわらず、メディアという要素は通常の音楽史では副次的な要素となってしまっており、音楽ジャンルの出現や音楽史のストーリーは「神的・呪術的な"才能"や、人間の思想や感情、あるいは政治的な社会状況の反映によって、新しい音楽や芸術運動が生まれ

          【分野別音楽史】#番外編② メディア史

          【分野別音楽史】#番外編①-2 楽器史 (後編)

          『分野別音楽史』のシリーズです。 今回は楽器史の後編になります。19世紀後半以降、主にポピュラー音楽に関わる内容となります。古代からクラシック期までを紹介した前編も併せてご覧ください。 ◉現在のポピュラー奏法に繋がる発想の萌芽 19世紀は吹奏楽・ブラスバンドが発達した時代でしたが、そんな中で1860年代、小太鼓と大太鼓を一人で同時に演奏する人が登場します。「ダブルドラミング」と呼ばれました。これはまだ小太鼓・大太鼓ともに手(スティック)で演奏されるスタイルでしたが、現在

          【分野別音楽史】#番外編①-2 楽器史 (後編)

          【分野別音楽史】#番外編①-1 楽器史 (前編)

          『分野別音楽史』のシリーズです。 今回からは切り口を変え、楽器に注目してまとめていきたいと思います。 音楽史まとめ「本編」としては前回の記事までで一区切りのつもりであり、番外編のような感覚で書きたいと思っています。より深く知りたい方は、この記事をきっかけにして、各自さらに調べていかれるのが良いかと思います。 まずは概ねクラシックに関係する部分、19世紀中盤あたりまでです。 ◉古代人類の出現当初から音楽は存在していたと考えられており、狩りに使う弓は弦楽器へ、動物のツノや

          【分野別音楽史】#番外編①-1 楽器史 (前編)