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【読書】からゆきさん、という悲しい歴史がありました。

今日は東京は、蒸し暑い。
ムシムシとして夏みたいだ。
こんな日には、
自然と戦争小説が読みたくなる。

何十年も繰り返されてきた
習慣かしら?
夏といえば、太平洋戦争、
という読書体験。

大岡昇平『野火』
原民喜『夏の花』
北杜夫『楡家の人々』
井上ひさし『ラビアンローズ』
野坂昭如『火垂るの墓』
堀田善衛『方丈記私記』

以上は、
自ら、太平洋戦争時代に
生きてた作家たちで、
力も入っているから、
戦争に対する怒りや悲しみ、
無常観がみちみちています。
若い世代には、読みやすいかなあ?

でも、
上記より更に若い世代が書いた
戦争時代を舞台とする小説は
ディープさ、残酷さが
ライトになり、相対化され、
読みやすくなります。

角田光代『ツリーハウス』
赤坂真理『東京プリズン』
乃南アサ『水曜日からの凱歌』
深緑野分『ベルリンは晴れているか』

こうした現代作家が
戦争を舞台にしている。
本当、欲を言うと、
もっともっと、
こうした作品が出てきて欲しい。

たぶん資料の勉強などが
大変なんでしょうね。

でも、戦争を舞台にする
作家は無くならない。
やはり、戦争という非常事態下の
社会は、人間性を暴露するのに
向いているんですね。

今朝の新聞で
「からゆきさん」を世に出して
戦前時代の最底辺女子を
ルポルタージュで迫った
森崎和江さんの訃報を読んだ。

からゆきさん、
それは日本から海外の
娼婦館に売られていった女子たちの
呼び名でした。

貧困な家庭に生まれ、
家を助けるために、
遠い異国に500円や700円で
売られて行った少女たち。

からゆきさん自体は
戦争とは一見、関係ないですが、
海外に派兵された日本人を
相手とすることが多かったのは
間違いない。
と考えると、
戦争がなかったら、
からゆきさんという存在も
なかったかもしれない。

戦争が生んだ哀しい歴史のひとつ。

さあ、今日は、
戦争文学を読もうか?
『からゆきさん』を読もうか?
うーん、読者好きとしては
大いに悩むところです。

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