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【格言】名言集には2種類あって…

名言集、格言集が好きだ。
箴言集や、
アフォリズムとも言いますね。

ただ、誰誰名言集という本は
片っ端から好きかというと、
そうでもありません。
たったひとつ、条件があります。

それは、
その名言集は、
著者自らが名言集を出そうとして
書いたものであること、です。

その著者の研究者たちが
まあ、名言集BOTみたいに
後世に編まれたものは、
ちょっと残念な気がするんです。

三島由紀夫や夏目漱石、川端康成には、
そうした格言集はない。
生前そうした本を出そうとは
しなかったのでしょう。

開高健にも、ありません。
あんなに格言や箴言を好んで
味わい倒していた開高も
自らは箴言集を出していない。
彼の盟友の谷沢永一氏が、
開高の作品から
名言を詰まみだして、
編み出した格言集は何冊もありますが、
開高の意図ではないんですよね。

もちろん、味わい深い名言は、
本人が自ら書いたか?
後世に誰かが編んだか?
そこはこだわらなくても
いいのではないか?
という気もするんですが、
やはり著者の作とは言えない
モヤモヤした気が…。

結果的には、
他人が冷静に編んだ方が
より素晴らしい箴言集が
できるかもしれません。
でもなあ……(汗)。

それでは、
著者が生前に自分で書いた名言集って
どんなものがあるのでしょうか?

有名どころでは、
芥川龍之介『侏儒の言葉』
寺山修司『ポケットに名言を』
寺田寅彦『柿の種』
パスカル『パンセ』
ラ・ロシュフコー『箴言集』
モンテーニュ『エセー』
マルクスアウレリウス『自省録』
といったところでしょうか?

でも、待てよ。
自分で、自分の力で、
「名言」を書くんだというのは
相当な覚悟というか、
相当な自信がないと書けないですね。
下手したら、ただの名言もどき集になる。

それを見事に書いて、
達成しているのだから、
芥川や寺山はやっぱり凄いんだな。

芥川の『侏儒の言葉』で
印象深いのは、なんといっても
有名なマッチに喩えた格言ですね。

「人生は一箱のマッチに似ている。
重大に扱うのは莫迦莫迦しい。
重大に扱わねば危険である」。

たしかに、その通りです。
でも、マッチはそれだけでもない。
まだライターのない時代なら、
マッチがなければ
どんだけ不便だったか?
それを反映させ、無謀にも
私なりに格言を考えてみたい(汗)。

「人生はマッチに似ている。
マッチの゙発明で、
人類は簡単に火を手に入れた。
でも、様々な発明のすえ、
マッチより便利なライターが
発明されてからは、 
マッチは時代の隅に追いやられた」

う~ん、
これで私は何を言いたいなのか?
ちっとも名言じゃあないし!(汗)。
便利さを追いかけたら、
切りがない、ということか?
それは無理がある。
何より中身が余りに薄い!(笑)。

ああ、さすがは、芥川龍之介だ。
こいやって自分でトライして
改めて文豪の凄さを感じました。

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