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【作家】昔の作家は、親炙した外国文学から栄養を採っていた。

今日、さっき新聞を観たら
訃報欄で、武田花さんが死去した
という記事が出ていた。

戦後作家・武田泰淳と、
エッセイストの武田百合子の
娘さんだ。

武田百合子のエッセイや日記には
武田花ちゃんはたびたび登場する。
子供として登場するから、
ずっと子供のイメージで
さっき新聞で、72歳と知り、
またそうした年齢のお写真を見て、
なんだか、困惑してしまった。

ところで、
そんな武田花さんの父親の
武田泰淳は、
もともとは、中国文学の研究者だった。

戦後日本文学の重鎮だった。

彼の小説が今、
読まれにくいとしたら、
彼の小説が近代中国文学の影響を 
受け過ぎたからかもしれない。

思い返せば、
戦中や戦後に活躍した作家の多くは、
中国文学の研究者が多かった。

竹内好もそうだった。
魯迅の作品を訳した人として
今も竹内さんの名前は 
知られているかもしれない。
 
ちょっと時代がズレるけど、
高橋和巳というインテリ作家も
中国文学の研究者だった。
 
それから暫くは、
中国文学が
チカラを失いましたが、
また近年は盛り返して来た。
現代中国文学の研究や影響から
新しい日本の文学者が
出来てくるかもしれない。

思えば、村上春樹や村上龍、
山田詠美らは
明らかに、アメリカ文学の
影響を大きく受けた作家だ。 
裏を返せば、
アメリカ文学がとても輝いて
いた時代だったんですね。

でも、近年は、アメリカ文学も
ひと昔のような勢いがなくなった。

だからか、今は、
作家それぞれが、
好きな外国文学にハマったり、
研究してる感じですね。

ドイツ文学を研究していた
古井由吉はやはり
ドイツ文学らしく
自己と世界の関係について
緻密に距離をはかっている。

フランス文学に親炙した
大江健三郎には、
ナイーブで粘着質な文体で、
あまりにフランス文学的だ。

本にハマるからには
それくらい影響を受けるまで
とことん掘り下げたいですよね。

私はちっとも外国文学を
きちんと正面から
親しんではこなかった。 
村上春樹が訳したものを 
有り難く読んできたに過ぎない。
もう少し勉強家になればよかった。

今からするとなれば、
最近、勢いのある韓国文学に
ハマってみたいな。
今からやるには、
ちょっと遅い気もするけれど、
まあ、やらないよりはマシか。

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