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【春樹】平成とは、村上春樹が大きくなり続けた時代だった

令和4年。
平成が幕を下ろして3年以上ですか。
早いなあ。

最近、思うんです。
そろそろ、私なりの平成史を
整理しておきたいな、と。

令和一年二年の頃は、
まだ平成を俯瞰する視点が
なかったから、
平成史を書いてみようとは
思わなかったのですが
だんだんと、心の中で、
そろそろ平成を書いても
いいんじゃないか?
距離はちょうどいいんじゃないか?
そう思い始めたんです。

私は二十歳の時に、
平成元年を迎えました。
なんてタイミングの良さか?

二十歳を迎える年の1月に
昭和天皇が崩御して、
世間は飲み会を控えるようになり、
様々なイベントは軒並み、
休止になりました。

昨今の感染病禍での
イベント委縮と
どこか似た空気かもしれません。

平成って、それにしても、
昭和がやりたい放題した
あと片付けの時間、
または、昭和に始まったことが
定置していく時間だったかも
しれないなあ、、、、。

昭和にちらほらと芽生えてた
「オタク」「キャラ」は、
平成では日本人の心の中心的な
在り方になって今に至るのは
皆さんもご存じの通りで…。

オタクカルチャーから
無縁なものなんて、
現代日本には何一つ無いくらい、
もう無くてはならない存在。

逆にいうと、
日本の現代カルチャーから
オタク要素、
キャラ要素を取り除いたら
何が残るんだろう?
もうスカスカでしょうか。

宮崎勤・死刑囚の逮捕、
阪神淡路大震災、
オウム真理教のサリン事件、
インターネットの普及、
スマホやSNSの大流行、
東日本大震災、、、、
なんだか
末恐ろしけなトピックばかりが
あがってくる。

でも、河合隼雄さんによれば、
阪神淡路大震災は、
ボランティア元年でも
あったんですよね。

まあ、ボランティアを
そのまま絶賛、肯定するのは 
できないけれど、、、。

それから、
まだ昭和末期までは
知る人ぞ知る的な作家で
異端児だった村上春樹が
1987年に出した
『ノルウェイの森』の
驚異的な大ヒットによって
日本を代表する作家へと
ジワジワと変貌していくのが
平成期でもありました。

村上春樹がもしも
平成にいなかったら、
私はどんなに寂しい読書人生
だったでしょう。

『ダンス・ダンス・ダンス』
『ねじまき鳥クロニクル』
『スプートニクの恋人』
『アンダーグラウンド』
作品が出るたびに、
ハードカバーであれ、
一冊が2000円以上であれ、
ためらわずに買って、読んで、
圧倒されていました。

こんなケタ違いの作家の歩みを
オンタイムで近くに感じながら
生きてこられたのは至福でした。

できるなら、もう
3年先に生まれていたら?
(笑)

それなら、
村上春樹の三部作の
もっとも優れた
『羊をめぐる冒険』が
世に出たあたりの空気を吸うことが
できたかなあ。

その前の
『風の歌を聴け』
『1973年のピンボール』は
出版時でも、そんなに
騒がれてはいないんですよね。

見る目を持っていた
一部の文学マニアを除けば。
あくまで、異端だったんですよね。

そんなせんの細い作家が
よくぞ、今や現代を代表する
作家になっていくなんて、
一体、誰が思っていただろう?

同時代では、
高橋源一郎、
糸井重里、
よしもとばなな、
佐藤泰志らがいましたか。

こうした作家陣の中から、
春樹だけは、新作を出すたびに
確実にうまくなり、
話題にもなり、
読者がどんどん増えていき、、、

これはもう奇跡ですね。
ちょっとでも、何かが違っていたら、
今の春樹にはなっていないだろう、
そんな気がしてなりません。

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