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【読書セラピー】河合隼雄のカウンセリングが受けられる夢のブックガイド

河合隼雄。
心理療法家、心理カウンセラーの
先駆者として活躍した河合隼雄先生。
1928~2007年。
先生の言葉は、読む人に、
深い部分で優しく、時に厳しく
寄り添ってくれます。
『こころの処方箋』(新潮社)は
今もまだずっと新潮文庫の100冊に
入り続ける永遠のベストセラー。
そんな河合先生の本でユニークな
取り組みをしたものがあります。

本を患者(正確にはクライエント)と
一緒に読んでいくことで、
心の問題、自分の問題を
考えなおしたり、
何かをみつめるヒントにしたり、
そんないわば「読書セラピー」的な
講義の本があります。
『こころの読書教室』新潮文庫。

この中には、講義を受ける人に
これとこれとこれを読んできてください、
という課題本が出されます。

それらの本を読みながら
河合先生の解説の本文も読むことで
先生の読書セラピーを受けることが
今でもできるんです。
私も一度は実際に先生の心理療法を
受けて言葉を享けたかったですが、
それに近いことが出来るんです。
これはやらない手はありません。
さあ、先生の課題本を今から
紹介していきますね。

●第1章「私と«それ»」
(課題本)
山田太一『遠くの声を捜して』
ドストエフスキー『二重人格』
カフカ『変身』
フィリパ・ピアス
『トムは真夜中の庭で』
オイゲン・ヘリゲル『日本の弓術』
(もっと掘り下げたい人へ)
桑原知子『もう一人の私』
フローラ・シュライバー
『シビル 私の中の16人』
岩宮恵子『生きにくい子どもたち』
バーネット『秘密の花園』
シャーロット・ゾロトウ
『あたらしいぼく』

●第2章「心の深み」
(課題本)
村上春樹『アフターダーク』
遠藤周作『スキャンダル』
山口昌男『道化の民俗学』
吉本ばなな『ハゴロモ』
ハンス・リヒター
『あのころはフリードリヒがいた』
(もっと掘り下げたい人へ)
モーリス・センダック
『かいじゅうたちのいるところ』
吉本ばなな『アムリタ』
エリ・ヴィーゼル『夜』
井筒俊彦『イスラーム哲学の原像』
カニグズバーグ『ジョコンダ夫人の肖像』

●第3章「内なる異性」
(課題本)
ポール・ギャリコ『七つの人形の恋物語』
ルーマー・ゴッデン『ねずみ女房』
夏目漱石『それから』
シェイクスピア『ロミオとジュリエット』
桑原博史『とりかへばや物語』
(もっと掘り下げたい人へ)
エマ・ユング
『内なる異性 アニムスとアニマ』
デイヴィット・ガーネット
『狐になった夫人』
ヘルマン・ヘッセ『荒野の狼』
村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』
阿部公房『砂の女』

●第4章「心 己を超えるもの」
(課題本)
ホワイト『シャーロットのおくりもの』
ユング『ユング自伝』
大江健三郎『人生の親戚』
ルドルフ・オットー『聖なるもの』
上田閑照『十牛図 自己の現象学』
(もっと掘り下げたい人へ)
白洲正子『明恵上人』
ノーバート・ヒル・ジュニア編
『俺の心は大地とひとつだ』
中沢新一『対称性人類学』
茂木健一郎『脳と仮想』

ちょっと長いリストになりましたが、
河合先生の熱心な思いを少しでも、
これを読んでくれている皆さんに
お伝えできるといいなあと。

自分について。私とは何か。
心の深さ。心の無限性。
内的なジェンダー論。自分の中の分身。
自分より大きな存在について。

こうした非常に重要なテーマについて、
それぞれの課題本を読んだり、
また、さらに掘り下げたい本も
余裕があれば手を伸ばして、
河合先生がなぜ、これらの本を
読んで欲しいといったのかを
しっかり考えるだけでも、
とても面白い体験が出来ると思います。

しかも、答え合わせをするかように、
『こころの読書教室』を読むと
色々なことが腑に落ちるでしょう。
もちろん、先生の解説とは違う発見も
きっといっぱいできるはずです。

それから、いきなりこの
河合隼雄先生の本を読むのも
全然アリですよね?
ちょっとカンニングかなあ(笑)。
私も課題本読まずにいきなり
先生の本文を読んだくちです。
汗。

心とは何なのか?
一生かかって取り組みたい謎。
この本は、別に、
うつ病になったとか、
メンタルが弱いとか、
そんなことは関係なく、
健常な方にも読んで欲しい1冊です。

河合隼雄がセレクトした39冊の
魅力的な本を読みながら、
「心への旅」をしてみませんか?

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