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【推薦図書】巨人の文章作法は意外に地味なコツコツ系?

小島信夫『小説作法』。
中公文庫。1200円プラス税。

小説家をめざす人は
ぜひ、読んでおいた方がいい。
「内向の世代」の巨人が
残した貴重な小説作法だから。

小島信夫は天才だから、
この『小説作法』も、
あまりホスピタリティはない。
正直、身も蓋もない指摘がズバズバ。 
でも、浅くない。軽くない。

それでは、早速、
紹介させてください。

まずは冒頭から。
「一言にいって、
私は文章というものを
非常に簡単に考えている。
つまり、言いたいことが十分に
いえているかどうかということだ。
というより、
いいたいことがあるかどうか、
ということだ。
いいたいことが 
大したことでなければ、
十分にいわれたとしても、
つまらないのだから、
けっきょくいいたいことが
ほんとうにあり、 
そのいいたいことが、
いうに値することであるかどうか
ということが問題になってくる。」

すごい指摘だ。
まずは、言いたいことがあるか?
次に、それが平凡なレベルでなく、
それなりに、
言うに値することかどうか?だと
指摘してくる。
なんだか、身も蓋もない。
厳しい親戚のおじさんから
手ほどきを受けているようだ。

noteで記事を書こうとして、
スマホでテキストを打ちだし、
3分過ぎた辺りで、
「あ、これはわざわざ書くには
値しないなあ、つまらないぞ」
と判断して、書くのを
止めてしまう時があります。

不思議なのは、
それを書き出す前は、
書くに値すると思ってるのですが、
書きだして3分くらいして、
どうも書くに値するかしないかが、
わかってくるんですね。

そうやってボツにした記事は
今では900本くらいあります(笑)。

しかし、上記に引用した
小島信夫の文章作法は
クールというか、
シニカルというか、
返す言葉が見つからない。

まさにその通り!!
と両手をあげるしかない。

人に伝えるに値する中身を
毎回、持っていないなら、
文章書きなんて、やめたまえ?と
叱られているようにすら
聞こえてくる(汗)。

小島信夫の作法には、
文章に関する外見的な
決まりごとやルールはない。
あくまで抽象的な話だ。 

言いたいことが
本当にあるか?どうか?。
それが、即ち、
良い文章かどうかだ。

そこだけを見極めればいい、
と戦後作家の巨人は
言ってのけていている。

言うに値する文章とは
なんだろう??

たまにですが、
言うに値するかどうか?
まだわからないまま書いていて、
スコップでザクっと
鉱脈にぶち当たるように、
書くに値するポイントを
見つけることがある。
やったあ、と叫びたくなる。

と書いていたら、
小島信夫の文章作法には
こんな手法が書いてある。

面白く書けるかどうか
モヤモヤしながら書いている時は
接続詞を、
敢えて反対の接続詞にしてみたら
出口に出られる場合がある、
そう小島信夫は書いている。

通常なら、
「だから」とつなげるところを、
「でも」や「しかし」と
書いてみると、時々、
出口が見つかることがあるそうだ。

なるほど。
自分のマンネリ化した論理のクセを
あえて、接続詞を逆にすることで
マンネリを打破するということか。
なるほど。
それは地道なコツですね。

戦後作家の巨人ですら、
そんな地味な手法で
一歩一歩、歩いていたんですね。

やはり、恐るべし、小島信夫。
私はもう少し、この
厳しい親戚のおじさんのような、
身も蓋もない指摘をしてくれる
作家の本を大事にコツコツ
読んで行こうと更に確認しました。

皆さんもいかがですか?
小島信夫?
小説家志望でなくても
面白い作家だし、文章作法てすよ。

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