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【ネガティブ?ポジティブ?】青年青女よ、悩みを抱け!?

「悩むな、考えろ!」

これは、平成時代に活躍した
女性哲学者、池田晶子さんの本の
オビに大書していたフレーズです。

もう10年くらい前でしょうか、
その帯を見て、
即決で買いました(笑)。
そのフレーズにやられたクチです。

池田晶子さんの本は、 
『14歳からの哲学』や
『14歳の君へ』などは
今もなお書店ではロングセラーだ。

そんな池田晶子さんの名言を
集めて一冊にした本が、
オビに「悩むな、考えろ」でした。

今なら、自己啓発本で、
誰もが書いてるくらい、
なじんだ言葉でしょう。

悩むのは、意味を産まず、 
ネガティブな行為とみなされている。
相場として。
一方で、考えるのは、
成果を生むポジティブな行為と
見なされている。
だから、このコピーは
今を生産的に生きようとする
若い人には魅力的なのだろう。

でも、
果たしてそうでしょうか? 
今の54歳の私には、
抵抗したくなる。

去年、あるリアル知人に
LINEかなにかで、 
ブログを毎日買い続けてる。
実に根気と集中力が必要で、
「孤独に潰される夜もあったよ」  
的なことを書いたら、
孤独という言葉に
相手は引っかかったのか、
「そんな時は連絡してこいよ」
と言われた。
 
どうも、リアル充実人間にとって、
孤独に潰されるよう日とは
ネガティブに響くらしい。

でも私には、孤独な夜こそ
読書にはもってこいな時間で、
そんな夜は誰にも連絡等せず、
どっぷり読書してたいんだけどなあ
(笑)。

孤独をネガティブにみなしてしまう
センスは私にはない。
 
と同様に、
「悩む」という言葉もまた、
一般的には、ネガティブな
響きに聞こえるんだろうなあ。

迷わないことが良いと
思っている人には、
悪いことだと響くためか、
たまに、◯◯で悩んでるんだ、
なんて書いていると、
悩むなよ、というお叱りや
アドバイスを受ける場合がある。

悩みという言葉には、
未成熟とか、
気持ちが弱いとか、
相場としてネガティブな扱いを
受けてしまうんだろう。

でも、悩むことも、
人間らしい行為の一つだ。
笑ったり、泣いたり、
悔しがったりする、
そんな行為と同等なもので、
悩むこと自体は悪くはない。

ならば、人はどうして
悩むことをネガティブな行為として
見なすのでしょうか。

きっと深く深く悩んだことが
ないからではないかしら?

どん底まで悩み抜いたら、
そこで一条の光が
見えてくる瞬間の
あの得も言われぬ体験は、
悩み切った人にしか味わえない。
悩みぬいた人なら
この、通俗な例え話も、
リアリティをもって 
信じてもらえるに違いない。

こればかりは、
論理的に説明しても、
あまり伝わらない話かもしれない。

孤独をポジティブに捉え、
悩むことをもポジティブに
捉えてしまうのは、
私が根っからのへそ曲がりだからか。

青春時代、
吉野弘だったか
吉増剛造さんだったかの詩に、
うしろ向きに歩いてしまう、
うしろ向きが好きなのが
自分の性に合っている、
とかいうようなフレーズがあり、
今は何の詩集だったか、
思い出せないのですが、
私は、ああここに私の先輩がいた、
私もあなたと同じく、
みんなが前に進むなか、
自分は一人だけ、
うしろ向きに歩いていたいんだと
感極まった体験があります。

日本人、いや、アジア人、
いや全世界の人がみんな
前向きに歩いたって
私くらい、うしろ向きで歩いたって
いいじゃないですか?ね?(笑)。


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