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【読書】なぜ本を読むのが脳に良いのか?~小説と漫画の比較から~

文章の力。
文章のポテンシャル。
そのイマジネーション。
昔。まだ漫画の編集をしていた時、
何度か、小説を原作にさせて
もらったことがありました。

「その時、花火師の勇は、江戸の夜空に
花火を打ちあげた。」
小説家はこう書けば、
約25文字で済みます。

これを漫画にする時は、
まず、花火師の男を引きで描く。
→花火を上げようとする真顔のアップ
→筒に火を入れる。
→引きの絵柄。まだ空は真っ暗。
→次のコマで、細く花火がたなびく。
→花火が丸く開く。花火アップ。
→それを見上げる花火師アップ。
顔が花火で少し明るくなる。

こうして、小説ではたった1行の
内容も、漫画にするとすると、
7コマ、必要になります。
途中、いくつかは大きなコマに
するでしょうから、
1ページでは厳しい。
クライマックスなら
2ページは必要になりますね。

文字は凄いですよね?
漫画家が2ページで書くビジュアルを
私たち読者は、
たった1行の文章から読み取り、
イメージを広げていくのですから。

読書してる時の人間の、
イメージ展開の力について
改めて感心させられました。

ちなみに、小説で20ページ位の
短い話を漫画にしようとしたら、
まともに展開したら、
60ページは最低限、
必要になります。
それくらい、文字を読む時は
想像と創造を重ねているのですね。

漫画の編集をやっていた頃は、
文章を仕事にしてる人は楽でいいな、
なんて思ってました。
江戸時代の花火が
どんな形をしていたか?
高さは技術的に何メートル上がるか?
当時は花火の色は何色あったか?
まあ、絵にする以上は
具体的にあれこれ調べながら、
漫画にしていくのですが、
文章はビシッと1行で済む。

本を読んでいく私たちは
ふだん、文章から
上に書いたようにイメージを
膨らませて、映像を展開させて
いるんですねえ。

俗に「読書がいい」と
言われているのは、
こうした映像展開力を
知らず知らずに実践してる
からでしょうね。

漫画編集者時代は、
文字の世界は楽でいいなあ、
こっちは小さな事実も絵にしなきゃ
いけないから大変なんだよ!
と、妬んでましたが(笑)。

その点、映画や動画、ゲームは
見た映像をそのまま映像として
受けとっている訳ですから、
そんなに造作ありません。

文字を読むと脳にいいのは、
こうしたことを指している?
なんだか、そんな気がしてきました。



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