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  • 愛の供養

    むかしの下書きを少しずつ公開していきます。世に出すことで供養する、わたしの愛のすべて。

最近の記事

新生活、二人は三人に

2月22日、両家顔合わせをしたあとで入籍し、はじめて会った日に訪れたおでん屋さんに行った。はじめて会った日というのは、たったの三ヶ月前の話だ。 はじめて会った日は、各所で何度かそう表現している通り、わたしにとっては「答え合わせの日」だった。マッチングアプリで出会った彼のことを、涙が出るほどに愛していると気がついてから、実際に彼に会ったときにわたしの気持ちに「恋」が芽生えるかどうかはとっても重要な問題だった。わたしは『日常と、その先の未来』という記事で、最後を「だから、どうか

    • 贈り物は突然届く

      28歳で結婚し、29歳で家を買って、30歳で妊娠し、31歳で転職して、32歳で離婚に至った。 わたしはいま33歳で、16歳のころ好きだったバンドの曲を聴きながら人生に迷っているような気がする。子どもはいない。心拍の確認はできたけど、その後流れた。 ずっと大人になんてなりたくないと思っていた。大人になることは悲しいことのような気がしたから。だけど、今は大人になった自分が楽しくて仕方がない。自分の時間もお金もすべて思うままに使える。そして若いころよりもそれらはずっと余裕がある

      • 冷蔵庫を自分たちで買った

        「お祝いは一生残るものがいい」 それが何かは今もまだわからないけれど、強くそう思った。来週から新婚生活をスタートする。 一度目の結婚では、引越しを機に冷蔵庫とドラム式洗濯機をわたしの家族から贈ってもらった。中古マンションをリノベーションし、エアコンを後付けにするため、2台のエアコン(20畳用で高性能なもので高額)も母が買ってくれた。 元々相手がそこそこの大きさの冷蔵庫と縦型の洗濯機を持っていたけれど、新しい生活に浮かれていたわたしはそれをどちらも捨てさせた。その負い目があ

        • 三年目の浮気ごときを大目に見られなかった

          夜の空を見上げたときに、月よりも星が気になったら冬の始まりだ。あのころはまだ月を見つめていた。季節は秋。あれから二度目の秋を迎えているわけだけど、相も変わらず苦しい。止まらない涙は月の引力のせいかもしれない。 浮気はされた時点で負けだ。 唯一無二に返り咲けるはずがない。 浮気された瞬間に不平等条約が締結されて、苦しむのはいつも被害者だ。なのに加害者側は「自己嫌悪」と言って苦しそうにしている。許してもらえないことを嘆く。そして「おまえのせいだ」と言って離婚を希望する。そうで

        新生活、二人は三人に

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        • 愛の供養
          4本

        記事

          世界の正位置

          この二年間のことを思い返しては涙が止まらなくなる。簡単に拭い去ることのできない、錆のようにこびりついたこの悲しみは、正攻法では落とせない。ずっとわたしの心にある錆。見ないふりならいくらでもできる。だからそうしてきた。でも目につく瞬間は必ず訪れて、わたしはその度に泣いてきた。もう疲れた。何度繰り返せばいいのか。 浮気を上手に許せなかったことを少しだけ後悔した。だけど、二年前に戻れたとしても、あの悲しみを、あの苦しみを、なかったことにするような人間になんてならなくていい。 そ

          世界の正位置

          日常と、その先にある未来

          わたしの一日は、ある人の「おはよう」から始まる。ここのところずっとそうだ。だからわたしも「おはよう」と返す。欠かすことなく。 わたしの中でこの人が特別になったのは「おやすみ」と一緒に「また明日」という言葉をもらったときからだ。ごくありふれた言葉なのに、わたしは思わず泣きそうになった。この人の明日にわたしが既にいること、そしてきっと明日もまた「おはよう」から一日を始められることを、たまらなくうれしいと感じた。 なぜだろう。特別なことは何もない。社交辞令でも交わすことのある「

          日常と、その先にある未来

          そう思うことは愚かだろうか

          普段絶対に飲まないウィスキーをバーで3杯も飲んだ。月曜日から、わたしは何をしているのだろう。 先日の雨で、家の金木犀の花は全て散った。きみの家の前の立派な金木犀も、すべて散ってしまったかな。 きみのことを、好きだという気持ちだけが先走る。けれど、わたしはきみがきみの好きな人と幸せになることを望んでいる。自分自身はその世界線に介入しないでいたいと思っている。 なのにどうして、きみから好きになってもらえないことを悲しいと思うのだろう。元夫と離婚したことを寂しいと思うのだろう

          そう思うことは愚かだろうか

          優しいきみが好きだった

          美しい朝に思い出すのは、決まってきみのことだった。朝陽に包まれ微睡んでいた、愛しい時間。 きみは死んだとみんなが口を揃えて言う。 きみの亡霊だけが、ずっとわたしの心にいて、「思い出」という名前でずしんとそこに存在している。それはとても鈍くて重いのだ。 きみはいつも優しかった。 きみが死んだあと、優しくない抜け殻だけが残った。きみと何も変わらない抜け殻の顔を見なければいけないのが嫌だった。抜け殻はいつも死人のような表情をしていたけれど、寝顔はきみと何も変わりがなかったから。

          優しいきみが好きだった

          指先から恋

          ずっと触れたかった。その指に。 やっと叶ったその願いを、それ以上は望まないように、大切に胸にしまった。これでいい。これでいいのだ。 愛しいと思うのはその人の存在ではなく、その人とわたしの間に流れる時間と空気だ。彼そのものを愛しいと思ってしまえば、わたしは不幸せの音を聞くことになる。 どうしてこんな大人になってしまったんだろう。向こう見ずな恋愛はもうできない。かと言って、打算的な恋愛もまたできない。わたしのことを好いてくれる人のことを、わたしは好きにはなれなかった。 祈

          指先から恋

          きみの横でぐっすり眠った

          こんな夜はもう二度と訪れないと思っていた。なぜか少しだけ泣きそうになった。なぜだろう。悲しいかと聞かれれば、悲しいと答える。嬉しいかと聞かれれば、嬉しいと答える。そのどちらもが絶妙な塩梅で共存していた。それはもしかして、とても不幸せなことなのかもしれない。

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          巡るものの中で揺蕩っている

          抗うことが好きではない。 抗うだけのエネルギーが出せないとも言う。 悪い流れにいるときは、それらをすべて受け入れてきた。今はそういうときなんだな、と思うようにしてきた。 なんていい感じにまとめてみたけど、地獄みたいな時間を重ねたことも幾度とあったように思う。 地獄みたいな時間というのは、わたしの過去の言葉で表現するとすれば「優しくなれなくて泣いた夜」 優しくなるという無敵のパワーでいつなんどきも抗える人だったら、きっとわたしは誰かを傷つけたりなんてしない。 反対に常

          巡るものの中で揺蕩っている