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映画『主戦場』を薦める理由②

日本軍「慰安婦」に関することだと、最近では、慰安婦像の設置に対する反対や日韓合意及び韓国側による破棄への動きなどの印象が強いかと思います。それ以前だと、日本政府が謝罪と補償をする必要があるかが主な争点だったのではないでしょうか。
そのため、自分も含めた多くの日本人にとって、日本軍「慰安婦」問題とは国家間の問題であって、また、戦争という過去の話だという意識もあり、ほとんど他人事のようだったと思います。

しかし、ややネタバレすると、「慰安婦」問題に関する様々な争点を扱っているこの映画『主戦場』では、終始、「慰安婦問題は、人権(蹂躙)の問題である」ということを訴え続けています。

自ら志願する場合もありましたが、多くの女性が、騙されたり、人身売買で売られたり、時には暴力によって、「自分の意思に反して(=強制され)」日本軍の関与する施設にに集められ、自由に辞めたり帰ったりすることもできず、連日多くの兵士の相手をさせられたこの日本軍「慰安婦」制度というのは、現代の日本の感覚では、彼女らの人権を無視した残酷なものであるということは、ほとんどの人が認めることではないでしょうか。

なんか当たり前のことを言っているみたいな感じもしますが…。
でも、この映画は、これまでなんだか国家間の問題だと思えていたものが、実は人権問題であるという、基本的なことに改めて気づかせる作品なんです。
そして、その裏には女性蔑視、人種・民族差別といったものがあり、当時の差別意識が現在まで引き継がれているということを、単に言葉で説明するだけでなく、映像の力で我々の意識の内に直接かつ強烈に刷り込んでくるのです。

ここに、単なる情報としてではなく、映画としてこの作品を観る意味があると思います。

もう一度繰り返します。

日本軍「慰安婦」問題は、決して過去の問題でも国家間だけの問題でもなく、我々全ての者が有する人権の問題である。

まあ、こうして文章にしてもなかなか伝わらないでしょうし、そもそも、言葉や文で表現しきれないからこそ映画を作るんですよね。

映像の力を、是非映画館で体感してください

映画『主戦場』公式サイト
http://www.shusenjo.jp/

次回は、このことに関連して自分が一番重要だと思ったテーマ、皆さんに是非知ってほしいことについて書こうと思います。

2019年4月30日 ミキ・デザキ監督ティーチインにて(渋谷 シアター・イメージフォーラム)

※おまけ
慰安婦関連のドキュメンタリーなどを観たり、慰安婦について考えるということは、人権、女性差別、人種・民族差別について考えることに繋がるから、女性の活躍が一層注目され、また、外国人労働者が大勢流入してくるであろうこれからの時代にきっと役に立つだろう。

国の政策と合致するのだから、政府は『主戦場』を推奨したら良いのではなかろうか。