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映画『主戦場』を薦める理由①

ちょっと前までは、全国でたった4館でしかやってなかった映画『主戦場』が、上映予定館を含めて40館を越えたようです。(個人的にはまだまだ少ないと思っていますが。)
この作品では、慰安婦問題に関して右派左派とか言われる人たちの主張が展開されているのですが、そういう左右の思想などとは関係ない大多数の人たち、特に若い世代に観てもらいたいと自分は思っているのです。

そこで、そのような人たちに向けて、自分が映画『主戦場』を薦める理由を3回に分けて書いていこうと思います。

理由①
まず第一に、単純に面白いから。

社会問題を訴えるようなこの手のドキュメンタリー映画は、たいてい重く堅苦しいものになりがちで、特に慰安婦関連作品となると、彼女らの悲痛な証言などが入り、それに拍車がかかります。
しかし、この作品は慰安婦問題に関わる様々な人にインタビューを試みているにもかかわらず、肝心の元慰安婦にはインタビューしていません。(過去の映像としては出てきますが。)
なので、そういった湿っぽさが、ゼロとは言わないまでも少ないんです。

場内爆笑となるような笑えるシーンもありますし、そうは言っても悲しかったり、怒りを感じたり、えっと驚いたり、時には顔をしかめるようなシーンもあり、観る者の感情を大きく揺さぶるエンターテイメント性があります。
テンポも早くて観る者を飽きさせず、また、多くの人が様々な、しかも互いに相反するような意見を言っているので、どれが正しいのか考えさせられ、まるで、謎解きミステリーやサスペンスを観る時のようなハラハラドキドキもあります。
このように、ふだんドキュメンタリー映画なんか観ない人にも取っつきやすい作品だと思います。

そうやって楽しみながら、慰安婦とその問題について多面的に学べちゃうのです。(慰安婦のことをよく知らなくても、いろんな人がいろんな角度から教えてくれます。)

ただし、かなりの量の情報が錯綜するので、何が正しい(と納得できる)のか、何が自分にとって有用な情報なのか、それを見極め取捨選択していくリテラシーが求められます。
また、ドキュメンタリーと言っても、そこに監督の主観がある限り、全ての意見を公平に並べることはできません。また、映画の中で監督は自分なりの結論を導きだしています。
ただし、監督はトークショーで、自分が出した結論にそれほど意味は無いと言っていました。もしかしたら、先々変わる可能性もあるとも。自分の意見にこだわることなく、観客がそれぞれの答えを探して欲しいそうです。

さて、自分のオススメの観方としては、まずは作品のエンターテイメント性を大いに楽しんでもらいたい

そして、大いに楽しんで観終わったあとは、じっくり思い返して欲しい。先ほどあんなに笑ったことは、果たしてそんなに笑えることだったのか。
もしかしたら、その先に恐怖があるかもしれないし、怒りが沸いてくるかもしれないし、絶望の暗闇に立ちすくむことになるかもしれない。

是非それを受け止めて、いろいろと考えて欲しいと思っています。興味が沸けばいろいろと調べてみるのも良いでしょう。
(もちろん、エンターテイメントととして楽しむだけでも十分だけど。)

映画『主戦場』の主張は多岐に渡っているので、観る人によって様々な見方が出来ると思いますが、次回は、自分が映画の中でこれが大事だと受けとめたことについて書いていこうと思います。

公式サイト http://www.shusenjo.jp/