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【コラム】入社1ヶ月の退職ラッシュ

GWが終わり、いつもの日常が戻りました。
長いと10連休だった方もいらっしゃる今年のGW。
当然それだけ休んでしまうと、「日常復帰」が気だるくなりますよね。

私もそんな経験が何度もあります。
長期連休に入る前は「休みまであと何日!」と指折り数え、その数日が永く感じるのに、連休後半になると時間の流れが加速したように感じ、あっという間に休みが終わってしまう。

同じ24時間のはずなのに…本当に不思議ですよね。笑

そんなGWを終えたこの数日、とあるサービスが大忙しな状況を迎えているようで…
それは「退職代行サービス」です。

最近、本当によくニュースで聞くようになりましたよね!
今や、退職するのも「代行サービス」を利用する時代へと変化。
良いか悪いかの議論は一旦置いておいて、シンプルに驚きが先に来るのは、私だけでしょうか。

「退職代行サービス」を利用するということは、自分の言葉で「辞めます」と言えない人が多くいるということ。

「それくらいは本人が伝えるのが礼儀だろ!」と思う方も一定数いるかとも思いますが…
まぁ、職場環境が良かったり、自分の話をしっかりと聞いてもらえるような人間関係が存在するのなら、そもそも「退職」という判断にもならないでしょうから、冷静に考えるとそのサービスを利用する方の気持ちも納得できます。

ニュースによると、今年の4月に入社した「新入社員」の退職依頼が非常に多いとのこと。

様々な研修を受け終えて、この長期連休が始まり、家族や友人たちとゆっくり話す機会の中で、「本当にこの仕事でいいのかな?」と考えた結果、退職を決断。

または、全く希望しない部署への配属を言い渡される、通称「配属ガチャ」により退職を決断。

就活の時は良いことばかり言ってきた企業側が、入社したら一変し、実際は言われていたような環境ではない「ギャップ」を感じ、退職を決断。

その他だと…
勤務状況がブラック過ぎる。
パワハラ・モラハラがひどい。
コミュニケーションが全く取れない。

ということも理由に挙げられます。

これらの理由だけを見ると、さほど真新しさは感じません。

学生から社会人になり、その全てが一変した状況の中で、「これで良いのかな?」と考えてしまうのは、至極当然のこと。

それに、「専門職」として入社していないのであれば、どんな部署に配属されるかは…上司のみぞ知るわけですからね…
蓋を開けてみたら、当初伝えていた「希望部署」とは全く違うところに配属されることも多いでしょうね。
そこに嫌気をさすことも…まぁ、ありますよね。

入社したら言われていたことと全然違った。
はい…当然ですよね。笑
入社されるまでは、たとえ内定者であっても「お客様」や「見込み客」ですので、無下な対応はもちろんのこと、少しでも魅力的に自社を伝えることは当然のこと。

これらは全て、私が新入社員だった15年前とも同じです。
真新しさがない。
だったら、対策のしようが十分にあると思うのです。

なぜ「対策」という言葉を使うのか?
それは、この状況は企業側も退職する社員側も、デメリットやリスクが多い状況だと思うからです。

退職することが悪いことだとは思いません。
しかし、入社して1ヶ月で退職となると、次の就職活動が難しい状況になり、それこそ「希望する職業」に就けない可能性が高いですし、そのような方の採用を渋る企業側の気持ちも理解できます。

企業にとっても、多少なりとも費用をかけて研修を実施した分が無駄になり、新規採用をするのも、再び研修をするのも、全て費用的負担が増すのは、非常に大きなリスクになります。

このような状況を避けるためにも、就活時や入社前にその中身をより詳しく知ってもらう工夫が必要なのではないでしょうか。

私も学生の就活サポートをしているので、よく企業説明会の内容を聞きますが…
事業内容や業務内容、社員の雰囲気など…
全くリアリティがない「フィクション」ばかりが目立ちます。

「え?実際はそんなわけないよね???」と驚くような、まさに「良い話」ばっかり。笑

業務における苦労や、繁忙期のスタッフ負担、どのような勉強がどれくらい必要で、ステップアップするための技量、育成制度や育成スキームはどうなっているのか?をより詳しくお伝えする必要があると思います。

また、内定者に向けた「インターンシップ」も積極的に実施すると良いでしょう。

大学・専門・高校と対応方法は異なりますが、卒業前に「ビジネスマナー研修」などを積極的に実施し、社会人に必要な基本的なマナーに加えて、心の許容量を広げるような講座・セミナーを受講させるのも効果的です。
そこでは、私のような企業での実務経験が豊富な講師を外注することがポイントで、とにかく「リアリティ」をお伝えすることが大切です。
※自分の事業PRのようになってしまいすいません😅笑

しかし、現代はなんでも「リアリティ」の時代。
ドラマやバラエティ番組ではなく、「恋愛リアリティ番組」をサブスクやSNSで見る時代ですからね!

そうすると…
志望者自体が減るのでは?
入社前に辞めてしまう人が出るのでは?

そうだと思います。
特に今は、「超売り手市場」ですからね。

けれど、入社後研修までお金をかけて育てたのに、それが終わった瞬間に辞められてしまうより、そちらの方が断然良くないですか?

「人材不足」に悩む企業様、業種は非常に多く、志望者を1名確保するのも大変な状況を抱えるところも多くあります。
けれど、それを解消するために「飴を吊るす」ことだけに特化させた採用活動は、中長期的視点で見ると効果的とは言えません。

その状況を逆手に取り、本当に優れた人材の確保や、雇用条件や給与水準の見直しなどの「メス」を入れるきっかけにすることも必要だと思います。

どのような人であれ、新人の頃の気持ちはどこかで薄れて、「今年の新人はまじであり得ない」と口にし始めるものです。
その方も同じように新人の頃は言われていたにも関わらず…

「退職代行サービス」がこの先もっと普及するのか、はたまた先細りするのかはまだ分かりません。
ですが、この状況を通して考えるべき別の問題は、企業側にも学生側や学校側にもあると感じます。

人材は人財。
どのような企業も、「人の無駄遣い」はできない状況に変わりありませんからね。

入社1ヶ月での退職。
「初任給」の使い道が「退職代行サービス」なのは、ちょっと悲しい。
せっかくその1ヶ月で大変な研修やストレスを受けたのなら、もっと自分へのご褒美になるような使い道にした方が、「乗り切ったぞーー」感が増すのでは?笑

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