妄想:イランにしてみれば

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イスラエルは余計なことをしてくれたな、ということ。イラン国内にいる不満分子に火をつけることをしてくれた。だとすれば、政府が怒りに燃えてイスラエルと対峙するよりほかはなし。

想定外は必ず起こる。それが、ちょっとした武力反発でも。だから、今回は要注意なのだ。どんなことでも、被害を受けた側の主観で如何様にでも情勢は変わっていく。だから、バイデンさんは「やめろ!」という。今回は、どうにもならないほどのカオスを生む可能性が高いのだ。

例えば、ロシアとの関係。イランとロシアは歩調を合わせることが多い。だが、一皮むけば「宗教(イスラム)を排除する側」と「自主自立を守る側」の立場で諍いが起こる。依存関係はあるものの、ちょっとした "出来事" でバランスは崩れる。

中東は複雑だ。背景には、ロシア・アメリカ合衆国・欧州(イギリス・フランス・ドイツ)・宗教・エネルギー供給と需要・中国・・・・これらは、イスラエルにとっては自国を優位に導く外交材料である。だが、材料の混合を間違えば、大爆発となる。

ここをネタニアフさんは、ご承知か?もちろん、そのバランス感覚を持ち合わせている。だが、国内の支持率低迷と被告となっている案件などがあって、それを国民が忘れる出来事を望んでいる。それを望みすぎてガザ地区との泥試合を止められなくなっている。レバノンやシリアに対しても。そして、イラン。ありえない。これは「狂気」といっていい。

ネタニアフさんの兄が、この狂気の背景にあるのか。幼いころからの彼の英雄であった兄。その背中を負い、兄に認められることに喜びと人生の指針をみつけた彼。

イスラエルエリート軍人であった兄は、テロリストのハイジャック事件の対応で命を落とす。ネタニアフさんは、ここで絶対に揺るがない "軸" を持つことになる。英雄である兄を奪った出来事。その "悪" に徹底して対峙すること。それが、軸となる。

その "悪" の匂いをかぎ分ける仲間(極右)と手を組みつつ、だが、違和感をもって全体を見通す。ただ、ネタニアフさんは弱かった。"悪" の匂いをかぎ分ける力が弱ったのだ。最早、彼の軸はグラグラに揺れ始めている。独楽が回転を終わろうとするかのように。

もう一度、ネタニアフさんの軸をまわす出来事は起こるのか。彼の "悪" を嗅ぎ分ける嗅覚を鋭くするほどの回転を促す出来事は起こるのか。ゆるぎない彼の "悪" はどこに存在するのか。

どうやら、それは、神のみぞ知る世界となった。

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#日経COMEMO #NIKKEI

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