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サイコパス

小説の連載も終盤ということで、少し治部大輔のイメージについて語ってみようと思います。

地元の郷土史家は、為氏と治部大輔の攻防について、「地方豪族同士の勢力争いだったのではないか?」とも述べているのですが、私が抱いた印象は、「サイコパスVS普通の人々」。
その根拠となるのは、史料から浮かび上がる、次のような姿です。

  • 平気で嘘をつきまくる
    →3年待っても須賀川城を為氏に引き渡さなかった

  • 自己保身に長けている

  • 弁舌が巧み
    →民部大輔が丸め込まれた

  • 「治部大輔のためなら」と遠くから人を集める能力も有している
    →多珂八郎などは、九州松浦から駆けつけたらしい💦

  • 娘の行列を襲撃させることも厭わない
    自分の目的達成のためならば、何でもやる

正直、かなり怖いです。

サイコパスを相手にした時は、「情緒的共感」を期待してはならないとされています。
普通の人にとっては、相手が人間として当たり前に持っていると思う「情緒的共感性」を持ち合わせていないのがサイコパス。
これらのイメージから、治部大輔像を作り上げてみました。

こういう男の娘だった三千代姫が、不憫でなりません。おまけに、「為氏」持ち上げのためでしょうかね。藤葉栄衰記では、三千代姫については「歌道に通じていた美人」と伝えられているくらいで、あまり触れられていないのです。
それで、○○(今後のネタバレを含むので伏せ字)になるって、藤葉栄衰記の作者には、文句の一つでも言いたくなろうというもの。いや、もう少し三千代姫についても書こうよ。
そんなわけで、三千代姫の生前の姿を伝えるエピソードとして、多少史実も加えながら、「花の宴」~「破綻」までのストーリーを作ってみました。

※原作の藤葉栄衰記では、為氏が家臣らに「女にうつつを抜かしているとは何事か」と詰め寄られて、しぶしぶ離縁する流れのみ💦

彼女が悲劇的な最期を迎えるにしても、そこに至るまでの明白な動機がないと、だたの「女の逆恨みの怪談」になってしまうというのは、あんまりだと思ふ……。

本題に戻って、サイコパスは、見抜くのが難しいと思います。多くの人が、共感性や親愛の情を持ち合わせており、普段の行動は、そうした感情に基づくものが多いでしょうからね。それについては何ら責められるべきものではないですし。

ですが、常習的に「人の気持ちなんて分かるわけがない」と平然と宣う人は、やはり要注意ではないでしょうか。

子供ならともかく、ある程度の大人になれば、何らかの社会に属してコミュニケーションを図る経験を有しているもの。また、それらの経験則から「こういうことを言えば、人を傷つける」「こういうことをしてはいけない」というのを、学ぶはずです。
社会におけるその手のコミュニケーションが取れないというのは、そもそもの気質が多くの人々とずれているか、自分の事しか見えていないか、いずれかです。

サイコパスの行動特性については、専門家の知見もどうぞ!

そんなわけで、サイコパスと思われる治部大輔の狂気っぷりが、どのようなものであったか。
多分、当面私の作品にはこの手の悪人は登場しないと思うのですが(書く方も、メンタルを病みかねない^^;)、ホント怖いです……。

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