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悪口や誹謗中傷の行動原理と解決法について(前編)

先に発表させて頂いた「振り返りnote」の通り、今年も誹謗中傷に悩まされた人が多かったと感じます。ですが、嘆いてばかりいても仕方がないですよね。
そこで、思い切って「ライターらしい記事」にしてみようと思い立ち、久しぶりにSEO記事風にした誹謗中傷についての記事にしてみました。


「妬み」の感情発生のメカニズム

悪口や誹謗中傷の根底にある感情は、「嫉妬」です。これは誰もが疑う余地のないところでしょう。では、嫉妬の感情が湧き上がるのは、どのようなときでしょうか。
よくあるパターンとしては、次のようなものです。

• 自分にはないものを相手が持っている
• 自分だけが取り残される
• 欲しいと思っていたものが手に入らなかった

これらの場面の遭遇したときに、人によっては「怒り」「悲しみ」「不安」などを感じます。それらの感情をうまく処理できないと、他人を妬み誹謗中傷をやめられなくなるのです。

また、「妬み」の感情は、相手が自分よりほんの少し「上回っている」ときに起こるのも、大きな特徴。
例えば、学校の成績で誰かに競争心を抱いた時に、ライバルは自分の身近な人物ですよね。テストの点数が同じくらいか、やや上の相手が「嫉妬」の対象となります。対して、全国模試1位の人物に嫉妬することは、まずないでしょう。

誹謗中傷をするのは、自分の人生が満ち足りていないことを認めるようなもの。ですが、残念ながら誹謗中傷をしている人はその事実に気付くことがありません。
さらに恐ろしいのが、妬みや誹謗中傷は次第に「快楽」へと変化していき、その事自体に幸福を感じるようになっていくという事実です。また、それに同調する人も、別種の妬みの感情を強く持っている人が多く、発生源の人の「正義感」に油を注ぐことになります。

ですがこのような人は、たとえ表向きは「人から同情」「賛美」されていたとしても、やがては人が離れていきます。結局、誹謗中傷は自分自身を不幸にするだけなのです。

脳科学視点から分析する「妬み」の感情

ところで、なぜ誹謗中傷は後を絶たないのでしょうか。
脳科学者として有名な「中野信子」氏によると、糾弾・バッシングに至るまでは、以下のような感情のプロセスを経るとのことです。

以下、嫉妬とシャーデンフロイデのプロセスについて見ていきます。

1.嫉妬

嫉妬は、上方比較から派生する感情です。先に述べたように、ここには自分と同じ位置まで憧れの対象を引きずり下ろしたいという本音が隠されています。相手が比較対象にならないほど優れている場合には、引きずり下ろすまで多大な労力を有するので、対象外になるというわけです。
図解すると、下図のようになります。


2.シャーデンフロイデ

シャーデンフロイデは、他者が失敗や不幸に見舞われ悲惨な状況にいることを喜ぶ感情を指します。下方比較の感情の一種ですが、中野信子氏によると、ネットスラングの「メシウマ」が一番ぴったり来るとのこと。確かに人の不幸を喜ぶ人というのは、一定数存在しますよね。

先に挙げた「嫉妬」は、されて喜ぶ人は稀です。当然、嫉妬の対象にされた人は、嫌な気分を味わうことになります。その状況を誹謗中傷者が確認して、「喜び」「メシウマ」の感情に転じているのが、シャーデンフロイデというわけです。

図解すると、下図のようになります。

逆説的に捉えれば、1の「嫉妬」の段階で、「比較対象と思っているのは誹謗中傷者だけだった」「全く相手にされない」と感じさせれば、シャーデンフロイデ・誹謗中傷などのプロセスに進むことはないというわけです。

原因は「オキシトシン」の暴走?

ここで、興味深い説があります。中野氏によると、「妬み」の感情が引き起こされるのは「オキシトシン」が一因ではないかというのです。

オキシトシンとは、脳下垂体後葉ホルモンの一種であり、別名「幸せホルモン」とも呼ばれます。安心感・信頼感など気持ちの働きを高める効果があるホルモンで、基本的には良い働きを与えてくれるはずのホルモンです。
オキシトシンの本質的な働きは、人とのつながりを強めようとするものであり、誰かとの間に特別な絆を感じる際に、オキシトシンが回路形成に役立っていると考えられます。

ところが、何らかの要因により、人と人とのつながりが切れてしまいそうになることがあります。そのときに、人によっては次のような感情が生まれてくるのではないでしょうか。

• 私から離れてないでほしい
• 私との絆を断ち切ろうとするのは、許さない

すると、オキシトシンは生存本能に従って、相手との関係性が切れるのを阻止しようとします。これが、「嫉妬」の感情の発生のメカニズムだというのです。

自分だけが取り残される恐怖心

このオキシトシンがそもそもの原因だとすると、いわゆる「荒らし」の行動もある程度説明がつきます。

もう一つ、私が気になった研究結果が「ブラジル・パライバ連邦大学」による調査です。

研究の詳細は、2023年6月10日付で学術誌『Psychological Reports』に掲載されているとのこと。

Low self-esteem and high FOMO are psychological mechanisms that play an important role in trolling, study suggests https://www.psypost.org/2023/08/low-self-esteem-and-high-fomo-are-psychological-mechanisms-that-play-an-important-role-in-trolling-study-suggests-167847
Low Self-Esteem, High FOMO? The Other Side of the Internet Troll https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00332941231183136

残念ながら論文を読めるほどの英語力を持ち合わせていないので、孫引きになってしまうのですが、海沼氏の紹介によると、「自尊心が低く周囲に取り残される恐怖心が強い人ほど、ネット荒らしをする傾向が強い」とのこと。
さらに、「荒らし」には以下の可能性があるそうです。

• 攻撃を外面化することで、自らの言動を肯定的に感じているかもしれない
• ネット荒らしによって他人から注目されることで、劣等感から解放されているかもしれない

<参考元> https://nazology.net/archives/131859

参考元では指摘されていませんが、これも、「オキシトシン」による生存本能と捉えると、ある程度説明がつくのではないでしょうか。

フォロワーが「誹謗中傷者」に転じるとき

私が経験してきた中では、最初から「誹謗中傷者」だったというケースは、案外稀です。大抵は途中までは「友好関係」を築いていたはずが、ある日突然「誹謗中傷者」に転じるケースが非常に多い。

ですが、これも「オキシトシン」の働きにより、相手方が「生存本能」に走ったと理解すると、突然の掌返しも説明がつく気がします。
特に、この2年余り悩まされている「誹謗中傷者」の場合は、「嫉妬」の原因に幾つも心当たりがあるだけに、納得の行くものでした。
もっとも、その「嫉妬」の原因として考えられる数々の事象は、本来は当人の「生存本能」と全く無関係の事象です。にも関わらず、相手はその認識が出来ていない。だからこそ迷惑極まりない存在なのですが……。

誹謗中傷に効く妙手はEQの向上

では、誹謗中傷は本当に解決方法がないものでしょうか。
個人的には、最終手段としては「法廷」に持ち込むしかないと考えてはいますが、そうなる前に解決できれば、被害者・加害者双方に取って越したことはありません。

私見になりますが、加害者も本当は、「誹謗中傷を繰り返す自分が嫌い」でたまらないのだと思うのです。ですが、脳の仕組みも相まって、どうしてもやめられない。

ならば、その脳の仕組みをうまく利用して、発想の転換をすればいいのではないでしょうか。
そのような手法として私が注目しているのは、EQ(Emotional Intelligence Quotient)です。

長くなってきたので、EQについては後日「後編」で述べたいと思います。
後編はこちら。

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