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初春の俳句

新年の挨拶で「初春」の文字が使われることがあります。
旧暦に基づいての言葉なのは知っていますし、1ヶ月強プラスしてみるのですが、それでも俳句の世界での「初春」の時期は、みちのくはまだまだ冬。

ですが、沙々杯も終盤を迎えて皆様の俳句を鑑賞して回っているうちに、唐突に俳句が詠みたくなり、季節を先取りしてみました(笑)。

そんなわけで、少し季節を先取りした句を三つ、詠んでみます。


薄氷うすらひを踏みし靴先くつさきしずく落つ
【季語】
薄氷

氷も、本当に厳冬期(福島だと、季語は初春なのに実際には厳冬期^^;)という状態になりますが、もう少し季節が進むと、時折張る氷も薄くなってきます。

薄氷になってくると、ついバリバリと割りたくなるのは、私だけでしょうか(笑)。
いえ、フリー素材の写真から推察する限りでは、絶対に同じことをする人がいそうです。

薄氷の下は当然水溜まり。スノーブーツの先から雫が落ちる光景を想像してみました。


く疾くとこま返る草顔見せよ
【季語】
駒返る草

「駒返る草」は、歳時記を調べていて出会った季語です。

「駒返る」は若返ること。冬枯れていた草が、春になって、再び生き生きしてくることをいう。

きごさい歳時記より

この写真もフリー素材から拾ってきたものですが、数ヶ月、雪の世界に閉ざされていた人々は、雪の下に「緑」を見つけるだけで何となく嬉しくなりそうです。

「疾く疾くと」で、春を待ちわびている心情を盛り込んでみました。


堅雪かたゆきいにしえの技連なりぬ
【季語】
堅雪

昭和村の「からむし織」は、奥会津の伝統工芸品のひとつです。
「初春」という言葉からは「雪」を連想しにくいのですが、初春についての季語を調べていたら、「堅雪」に出会いました。

春になって解けかけた雪が夜間の冷えで凍り、堅くなった状態をいう。雪国では「凍み渡り」といって、足を抜かすことなく雪原を歩いたりする。

きごさい歳時記より

「織り」の作業を冬に行う理由ですが、

  • 湿気で繊維が切れない

  • 織物を雪に晒すとオゾン効果で漂白され、上質な仕上がりになる

などの理由があるそうです。
そのような情景を、したためてみました。


おまけ

実はこっそり使わせていただいたのが、「はねの あき」さんの「季重なりチェッカー」です。

私は俳句初心者なもので、一応歳時記と首っ引きで調べているのですが、「季重なり」はうっかりやりそうです(苦笑)。

なので、「はねの」さんのご厚意に甘えさせて頂き、noteで公表している分について、全てチェックしてみました。
一応、今のところは全てクリア!
システムを開発してくださった「はねの」さんに、感謝いたします🙏

それにしても。
やはり俳句は奥が深いです。


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