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愛しき下手くそよ|散文

おとなになんて成りたくなかった……

生きてきた時間が長くなればなるほど
手放す勇気がなくなっていくな、と

まだ空が近くに感じていた、あの頃
手にしたいと思った物のためであれば
楽しいはずの時間も、家族すらも捨てて
身ひとつで飛び込むことを厭わなかった

それは決して簡単に、ではなかった
知恵の浅いこどもながら本気で考えて
ときには涙をこらえて覚悟をきめていた

おとなになるに連れて選択肢は絞られる
守られていたからこそ選べていたのだと
そう考えられるようになっていった……

守りたいものを見つけてしまった
守らなければ、なんとしてでも
そんな責任感が色々なことを諦めさせる

出来ないことに対しての言い訳だろう
そう言ってしまえば、それまで
確かに口実につかってしまう事実もある
しかしそう言わざるを得ない現実もある

真面目かっ……、と
バカ真面目で要領が悪いと言われもする
中途半端な意識で何やってんだと
自問自答する夜とて少なくはない……
後ろめたさ、恥ずかしさ、情けなさ
そんな感情に逃げ出したくなる日もある

きみは、今のままでいいんだよ……

そんな言葉に励まされ支えられる日々
こうしてぶちまける時点で詩人ではなく
やはり自分は雑多垢なのだと自覚する
かといって書くことをは、辞められない

日常雑多垢ときどき散文たまに詩人……
そう、きっと僕は書くことが好きなんだ
好きなことを好きなときに好きなように
ただ、それだけでもいいんじゃないか
そんな理由で此処にいたっていいんだと

下手くそなおとなに成ってしまった……

そんな下手くそな自分のことを、せめて
自分くらいは許し、愛してやらねば、と
それはくちで言うほど簡単ではなくて
もしかしたら何よりも難しい事なのかも

それでも、
そんなダメ駄目な自分に、……胸を張れ。

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