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シーソーシークワーサー Ⅱ【61 たなびく雲をかけながら 】

【シーソーシークワサーⅠのあらすじ】

 母を亡くし、その孤独感から、全てを捨てて沖縄から出た凡人(ボンド)こと、元のホストの春未(はるみ)。

 一番に連絡をとったのは、東京の出版社に勤める絢だった。

 絢に会うまでの道のり、人々との出会いで得たことは何だったのだろう。島に帰った凡人は、母亡き後の、半年間時が止まっていた空間に佇みながら、生い立ちを振り返っていた。

 生前の凡人の母、那月は凡人を守って生き抜くためにある決断をしていたのだが……


Ⅱ【61 たなびく雲をかけながら 】


 一日が終わる。24時間が濃縮して果汁100パーセントのような日もあれば、ほぼ無味無臭の水のような日もある。

 那月は柔らかいスプリングベッドから天井を眺めていた。真っ白で厚い壁。隙間風が入ってくる板間の、破れた襖をついたてにしていた実家のわずかな勉強机に教科書は全部置いてきた。

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