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都会の砂漠に寝ころんで (『砂漠と異人たち』感想)

宇野常寛さんの「砂漠と異人たち」を読んだ。 読み終えた直後の率直な感想は『なるほど、分からん!』だった。 前半はまだついていけたが、後半の村上春樹さん作品を『社会における男性性』の視点から分析していくところは振り落とされた。 それでも、いくつか気が付いた点はある。 『この本という砂漠に触れて私が見たこと、感じたこと、起きた変化』について、書いておきたい。 著者及び『遅いインターネット』についてこの本の著者の宇野常寛さんは、SNSの普及による『速すぎる』情報により、人々が

    • 倫理上、他人の意識・判断にどこまで介入・干渉することが許されるか

      最近考えていること。 結論は出ていないのだけれど、一度ここに纏めておきたい。 考えるきっかけとなった事例①過誤記憶(「起こっていないことを実際にあったかのように感じる記憶」) 『会社からの「過誤記憶」と「洗脳」について|楓 (note.com)』の記事でも書いたが、「悪について誰もが知るべき10の事実」(著者:ジュリア・ショウ)を読み、『アルコール依存症の治療中に「原因のひとつは子供時代の性的虐待歴だ」とセラピスト等から繰り返し吹き込まれた男性が、実際にその記憶を抱いてし

      • メンターに相談したことは、あなたの『不足点』として会社に筒抜けかもしれない(特にメンターが評価に携わる場合)

        これは私の実体験であると同時に、ごく当たり前に起きうることであるため、noteに記載する。 前提うちの会社は、社員1人につき1人、上司以外にメンターが付く。(正確には社内では『メンター』という呼び方はされていないが、この記事では一般名称の方を使用する) メンターは『弊社でのキャリアについての良き相談者』として対象者の相談に乗ることになっている。 コンサルティング業務の性質上、PJごとに上司が変わるため、年次の評価は、メンターが上司に評価を聞き、本人とも面談の上、年次の評価を

        • 問う力を失っていく外資系コンサル企業について

          外資系コンサルで働いている方も、そうでない方も、『whyを繰り返す』等を一度は耳にしたことがあるのではないかと思う。本屋に多数並んでいる外資系コンサルのノウハウ本にも書かれていると思う。 私が入社した時(数年前)も繰り返し言われた。 『whyとhowを繰り返せ』。そして上司や先輩であっても『ストレート』に発言し、ディスカッションしろと。 一方で今、外資系コンサルティング企業から『問う力』が失われていっているのではと感じでいる。 それは、以下の事例などからの推察である。

        都会の砂漠に寝ころんで (『砂漠と異人たち』感想)

        • 倫理上、他人の意識・判断にどこまで介入・干渉することが許されるか

        • メンターに相談したことは、あなたの『不足点』として会社に筒抜けかもしれない(特にメンターが評価に携わる場合)

        • 問う力を失っていく外資系コンサル企業について

          業務(パワハラ・退職勧奨)による休職を会社・産業医が『労働災害(業務上の疾病)』と扱わず『私傷病(業務外の疾病)』で処理する件について

          前提(制度)前提として、弊社の就業規則には以下の2つの傷病休暇・休職がある。 (就業規則上は、”従業員に配慮”しているのではないかと思う) 私傷病休暇(有給)/私傷病休職(無給)  対象:私傷病(※「私傷病」で検索したところ、『仕事以外の理由の怪我や病気』を指すのが一般的)  休職期間:3年以上の勤務社員は1年6カ月まで(復職出来ない場合は退職有)  休職期間中の手当:健康保険(健保組合)から賃金の6割(1つの疾病につき通算1年6カ月まで。転職しても前職までの取得期間と通

          業務(パワハラ・退職勧奨)による休職を会社・産業医が『労働災害(業務上の疾病)』と扱わず『私傷病(業務外の疾病)』で処理する件について

          「うつ病の原因となった過去を過去と割り切ること、起きることをネガティブに受け止めすぎないようにする」治療法は「労働者に認められる正当な権利の範疇を超えるもの」なのか

          タイトルを見て、理論が飛躍していると感じられた方がいらっしゃるかもしれない。事実、私もそう思っている。だが、会社からの回答を要約したらこうなるのだ。 これについて考えていることを、以下に記載していく。 背景前回の休職からの復職時、私は主治医の指導のもと、「うつ病の原因となった過去を過去と割り切り思い出さない、起きることに対してネガティブに反応しすぎない」(長いので、以下『反応しすぎない練習』という)を心掛け、薬を服用していれば症状が出ないところまで改善し、復職リハビリを経て

          「うつ病の原因となった過去を過去と割り切ること、起きることをネガティブに受け止めすぎないようにする」治療法は「労働者に認められる正当な権利の範疇を超えるもの」なのか

          【診断書ビジネス】オンライン診療での診断書と守るべきものについて

          前置き この記事を書くかどうか非常に悩んだ。 というのも、以前書いた記事↓の反応で、産業医の方々の中には、従業員の安全やメンタル維持のために尽力してくださっている方もいると分かり(そして私が産業医に言われた「何社も産業医をやっているがどこの会社も同様」ではなかったことが分かり)、本当にほっとしたのと、涙が出る程に嬉しかったからだ。 そのため、『診断書ビジネス』への対応・懸念について、従業員の治療の観点等から産業医・精神科医の先生方が述べていらっしゃるのも一人の従業員として

          【診断書ビジネス】オンライン診療での診断書と守るべきものについて

          【認知バイアス例】あなたの上司がどうであったかはどうでもいい。上手くコミュニケーション取れないのはあなた自身に問題があるからだという役員の指摘

          認知バイアスの本を読んでいると、思い浮かぶ場面が多々ある。 多くは昨年のパワハラ・PIP・退職勧奨に関する出来事だ。 勿論、私自身も認知バイアスにかかっていると思っている。 例えば、『確証バイアス』(自分の仮説や信念と一致する情報ばかりに注目し、それ以外の情報を無視しやすい)だ。 上述の『認知バイアスの本を読んでいて、思い浮かぶ場面』というのも、私の仮説や感情に都合がよいものを選んでいることは否定できない。 その上で。 私は、認知バイアスについて考えたことを記していきたい

          【認知バイアス例】あなたの上司がどうであったかはどうでもいい。上手くコミュニケーション取れないのはあなた自身に問題があるからだという役員の指摘

          うつの症状を伝えた際に『そんなはずはない』と上司から否定された件について

          図書館で借りた雑誌『Newton』2024年2月号の『メンタルの取扱』特集を読んでいたら、以下の記載があった。 ・うつ病の多くの患者の脳では、弱い炎症が起きていることが知られている ・ストレスを長期に受けたうつ病の患者では、脳の前頭前野の一部分や、記憶に関わる『海馬』の神経が委縮 私はうつ症状が悪化した際、直前まで会話していた内容が思い出せなくなるということがある。(上司のレビューを聞き終えた後に、「すみません、今聞いていた筈のご指示内容が思い出せず……」ともう一度尋ねたこ

          うつの症状を伝えた際に『そんなはずはない』と上司から否定された件について

          雑記(chatGPTを活用して労災申請等の精神的負荷を減らせないものか)

          ※期待いただかないように先に結果をお伝えすると、上手い方法は見つかっていない。この記事を読んでいただいても恐らく収穫もオチもない。 今日は先月分の休業補償の申請等で労基署に行った。 相変わらず会社からは事業主証明拒否。 それについて思うこともあるが、 今日は疲れたので、気分を変えるためにchatGPT等を弄ってみた。 (労災申請以前に)初めて労働局に相談に行った時や、弁護士さんに相談に行った時から感じていることだが、資料準備の精神的負荷が大きい。 スクリーンショットやメー

          雑記(chatGPTを活用して労災申請等の精神的負荷を減らせないものか)

          会社からの「過誤記憶」と「洗脳」について

          ハンナアーレントの映画を観ていたら、挿入されているアイヒマンの裁判映像と、PIP・退職勧奨を進める役員や人事に消極的加担をし続けていた直属上司やメンターの姿勢があまりに重なって見えてしまい、理解に役立ちそうな本を2冊借りてきた。 そのうちの1冊目「悪について誰もが知るべき10の事実」(著者:ジュリア・ショウ)を読み始めた。 まだ、「はじめに」の11ページしか読んでいないが、付箋だらけだ。 率直な心境を言うと「読んでいてぞくぞくする」。 ”これまでにしでかした最悪のことを思

          会社からの「過誤記憶」と「洗脳」について

          産業医が「産業医が配慮するのは業務量(残業時間等)のみ。業務内容による精神的負荷は把握・配慮外。これが労働安全衛生法に基づく対応である」と断言したことについて

          誤解のないように最初に補足をすると、 東京労働局(労働安全衛生法を担当する健康課)及び労働基準監督署(労働安全衛生法担当部署)に見解を確認したところ ・労働安全衛生法上、産業医の配慮は「量(時間外勤務)」に対してのみとは言っていない。これはこの産業医の独自解釈。 ・産業医の役割は、従業員の健康保全のため、業務量や業務内容に関する情報を会社からももらい、医学的見地からのアドバイスを会社に対して行うというもの。そのために必要な権限を法的に与えられている。 とのことであった。 こ

          産業医が「産業医が配慮するのは業務量(残業時間等)のみ。業務内容による精神的負荷は把握・配慮外。これが労働安全衛生法に基づく対応である」と断言したことについて

          『退職勧奨を前向きに受け入れない』のは『上司の指示に従わないという従業員の不足点』というロジックについて

          退職勧奨の際、会議の最初の方で『私を会社に残すことは出来ないのはすでに会社内で既定』である旨を告げられ、役員から『退職勧奨を受け入れるか』と問われ続け、私からは『退職には同意できない・退職勧奨には応じられない』旨を返し続ける流れとなった。 その中で、私に同意をさせるために役員は様々な発言をし、時には憤慨した。それらについて、退職強要・パワーハラスメント的な問題は無論あるが、ここではコンサルティングに携わる者として悲しかったことを記載したい。 それが、『あなたの最大の不足点

          『退職勧奨を前向きに受け入れない』のは『上司の指示に従わないという従業員の不足点』というロジックについて

          グレーゾーン企業はコンプラ遵守企業か

          #結論から言うと「そもそもコンプライアンス遵守とは?」という更なる問に繋がったため私の中での結論は出せていません。 背景このことを考えるようになったきっかけは、会社からのPIP及び退職勧奨だった。 うちの会社は「コンプライアンスを遵守している」と対外的に示しており、社内でも「コンプライアンスを遵守するように」と言われていたため、 私は「うちの会社はコンプライアンスを遵守している企業である」と思っていた。 そのため、最初PIPが始まった時にも、「会社は前年度の上司の理不尽さ

          グレーゾーン企業はコンプラ遵守企業か

          はじめた理由

          大手外資系コンサルでパワハラ・PIP・退職強要等々があり現在休職中。 下記経緯により復職出来ず、時間だけはある状況のため、これまで仕事ばかりで読めていなかった本を読んだり出来ている。 このnoteで今回の件やその他考えたことを書いていきたい。 <経緯> 2021年~2022年 上司からのパワハラ等々で鬱になり、心療内科に通院しながら勤務。 2022年12月~2023年3月 休職 2023年4月 (薬は必要だが)症状がでないところまで回復し、リハビリ期間を経て復職 →前年

          はじめた理由