海

お洒落な人への途方もない憧れ

今日はどんな人に会いましたか?街には本当にたくさんの人が楽しそうなことに心温まり、でもまだまださらに貪欲に楽しさを欲している横顔に少し怯え、その度に「本当に色んな人がいるな。知ってたけどやっぱ色んな人いるわ。」なんて考えていました。

お洒落で「良い」生活へのあこがれ

世の中には、プロフィールまるごとお洒落な人がいて、私はその人たちの「いい暮らし」に途方もない憧れを抱いてしまう。読んでる本からお洒落だし、そんなん誰も見てないでしょ(笑)みたいな、部分、例えば彼らの家に置いてあるハンドソープはきっとナチュラル育ちのオーガニックなんちゃら、みたいなお洒落の仕方をしてくる。そういう「全身お洒落人間たち」は、発する言葉さえもきっとお洒落。

ふらっと立ち寄った小汚い居酒屋は、お洒落人間たちにとって、「N.のヘアオイルが良く似合うショートカットに、よく似合う大振りのシルバーピアスなんかして、それでも小汚い居酒屋でレモンサワーを飲む」という行動を含めたお洒落をするインスタ映えスポットらしい。ふと周りを見渡すと、お洒落!!お洒落!!お洒落!!!!

隣のカップルの会話を聞いていると、最近レコードプレイヤーを買ったらしく、今日は中古のレコード屋さんでお買い物をしていたらしい。なんだそのお洒落デートプラン!!!

誰の暮らしが良くて悪いの

そこにいる誰もが私よりも良い人生を送っている気がした。今ここに休日があったとしたら、あの人たちは美術館に出かけるだろう。どこかはしらないけど、「良い」喫茶店にいって、いつもより「良い」服を着て。そして良い休日を過ごし、良い眠りにつく。次の日、休日の土産話をもって仕事に出かける。最高の人生だ。お前ら!最高だぜ!うぉ~!!

クラッシュに聞いてみたらなんと答えるだろう。「どうしたらお洒落な人生を歩めますか?」150歳のカメはどんな答えをくれるだろう。「海藻を首に巻いてみたらどうだ?」

ほんならちょっと、そこにある海藻を巻いてみてっと、ヒトデを頭にでも、、、と思うけれどやめる。わたしは首に海藻を巻きたくない。

ダサいけど好きな自分

わたしはカラコンはしない。自分の黒目が小さいなとは思うけれど、アニメみたいなキラキラの目はちょっと性に合わない。親からもらったせっかくのいい視力を無駄にしたくないしね。

たまにはハンサムショートカットにヘアオイルをつけて、大きなピアスが似合ったらいいなあ、なんて憧れる日もあるけれど、私は今の長く伸ばした髪の毛が好き。いくら他の人にすごい髪色だね?!とびっくりされても、私は赤毛のアンみたいにしてください!と美容師さんに恥ずかしいお願いをかなえてもらった、よく赤く染まった自分の髪色が良く似合うと思う。

ふわふわのブラウスにひざ丈のタイトスカートなんて履いて、丸の内OLみたいなモテ服を着て、商社マンと合コンでキャピキャピした週末があったらそれはそれで楽しいだろうなと思うけど、私はおばあちゃんからもらったBarborみたいな、黒いジャンパーを着て、ロシア帽子をかぶりたい。それがかわいいなと思うから。

お洒落に翻弄されて、必要のないものに生活を乗っ取られたらバカみたいだってことを、私はすぐに忘れそうになる。形だけではダメなのだ。形だけのお洒落ほど虚しい気持ちになるものはないんだから。

お洒落雑誌のお洒落部屋特集に絶対に参加できない自分の家を見渡して、私はとても安心する。散らかった部屋の中には私に必要なものがぎゅうぎゅうに詰まっていて、この部屋が好きだなと思う。

このダサい部屋を作った私自身のことも、最近では前より好きだなと思う。モテとかお洒落とか、憧れとか、そんなものは置いておいて、自分のことを好きでいれることを身にまとう方が人生はちょっぴり豊かだ。


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