見出し画像

#2 M-1グランプリに見るブランドとして強い“ジャルジャル” | JARU JARU as a brand

“ジャルジャルらしい漫才やな!”
“ジャルジャルといえばやっぱりあのスタイルやな!”


ここ数年でジャルジャルはこう言われるようになってきている。これは年末の風物詩であるM-1グランプリで2015, 2017, 2018と決勝に進出し、強烈な印象を与えたことによるものが大きいと思うが、こういうコメントを見ると、「ジャルジャルブランド」は年々強くなっていると感じる。


2015 M-1グランプリ
※ジャルジャルの漫才は50:40〜と2:00:15〜の2本


2017 M-1グランプリ(予選)


2018 M-1グランプリ(1本目)



ブランディングの観点でいうと、自分たちのブランドの商品(ネタ)を通して届けたいと思っている「らしさ」が、同じように顧客(観客や視聴者)にまでしっかりと伝わると、それは強いブランドであると言える。


個人的にはジャルジャルのブランドとしての強さは、彼らのお笑いの「一貫性」「差別性」「コミットメント」にあると思っている。つまり、ジャルジャルは漫才やコント問わず、自分たちのネタに一貫性があり、それらは他の漫才師やコント師とは一線を画すものがあり、自分たちのスタイルを信じているということである。


2015年あたりから、ジャルジャルへの世間的な評価は変わってきているのではないかと思っているが、ジャルジャル自体(スタイル自体)は2015年あたりから変わったわけではなく、デビュー当初からずっと変わらず一貫していると感じる。
関西に住んでいるお笑い好きの人であれば覚えている人もいると思うが、12年前の2006年のオールザッツ漫才で準優勝した時から、ジャルジャルのスタイルの一貫性や差別性、そのスタイルに対するコミットメントは何も変わっていない感じる。もし、その当時のジャルジャルを知らない人は、これを見てほしい!


ジャルジャルをずっと応援し、見続けていて感じることは、「ジャルジャルとは何者であるか (Who JARU JARU is) 」、「ジャルジャルとは何を意味しているのか (What JARU JARU stands for) 」という点が、彼らの中でとてもクリアに定まっているのではないかと強く感じる。
また、彼らはお笑い芸人としての生き方やネタ作りなどにおいて、ライバルや他のお笑い芸人のことを意識していないのではないかとも感じる。それは、賞レースにおけるネタ作りにおいてもそうなのではないかと思っている。


例えば、「M-1グランプリは審査員がこの人達がいて、会場にいる客層はこういう感じだから、このネタにしよう、このボケを入れよう」みたいなことはあまり考えていないように思う。少なくとも決勝に出た10組の中では一番その点を意識していないコンビであると思う。
ジャルジャルは、「このネタを“自分たちが”納得できる最高のレベルにまで磨き上げる」ということだけを考えてM-1グランプリに臨んでいるように思う。


自分たちが何者であるかがクリアで、それをブレることなく実践しているジャルジャルブランドは、大袈裟に言うとAppleやNIKEといった最強のブランド力を持つブランドと通ずるものがあると感じる。
自分が思う「強いブランド」の共通点は、「自分たちがどうありたいかを常に考え続けている」ということである。そのようなブランドは、周りと比較しないし、他を意識することがない。
AppleはMicrosoftを意識しているだろうか?NIKEはAdidasやNew Balanceと比較しているだろうか?そうは思わない。逆に、MicrosoftはAppleをすごく意識している。
ジャルジャルは他の芸人を意識しているとは思わないし、他の芸人はジャルジャルを意識や比較しようとしてもできないのではないかと思う。


また、ジャルジャルからは、彼らの外見やネタの内容とは違う、「男気」「潔さ」「誠実さ」といったイメージも抱く。不器用だけど一本の筋が通っている「昭和の男」的な要素を個人的にはすごく感じている。


ジャルジャルはもともとコント中心で、漫才を本格的にやり出したのは3, 4年前ぐらいからだと認識しているが、コントにおいても漫才においても自分たちの「らしさ」を信じ、一貫して笑いを生み出し続けているジャルジャルが大好きだし、カッコいいし、尊敬している。


最後になるが、YouTubeの公式チャンネルで毎日配信しているジャルジャルの「ネタのタネ」を見ることが日課となっている。同じような人も結構いるのではないだろうか。今後、ジャルジャル「らしさ」を維持しつつ、どのような進化をしていくのかが純粋に楽しみである。


毎日笑いを届けてくれて、ほんまにありがとう。
そして、お笑いは尊いと改めて思う。それは、音楽やスポーツと同じように。


あとがき
#2は 「ブランドとブランディング」をテーマに元々は書こうとしていたが、M-1グランプリの決勝が最近あったことと、M-1後の騒動で盛り上がっていることから、このタイミングで今回のテーマを書こうと思い、「ブランドとブランディング」を後回しにして書きました。


「お笑い x ブランディング」は前から書いてみたいと思っており、特にジャルジャルはブランド力の高いお笑い芸人だと個人的に思っていた。今後も「お笑い x ブランディング」をテーマに何か書ければいいなと思う。


最後に、今年のM-1の1本目「国名わけっこ」のネタが大会規定のネタ時間「4分」ぴったしで終えていることを今知り、感動している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?