正月もすっかり明けて忙しい日々を過ごしていた時、
母と共通の知り合いの方からメッセージが。

「お母様、ちょっと大変みたいなの」

変だな、うちには何も連絡来てないな。

あわてて母のラインや父からのメッセージや
電話履歴を確認したけど何もない。

改めて、様子をその方に伺うと、

「インフルエンザで大変で、そのあと声が出なくなったらしいの。
　あなたにSOSを出したかったみたいだけど声も出ないしと。
　お父様は何も理解してくれないと嘆いてたわよ」

というお返事・・。

あぁ・・・なるほどねとちょっとため息が出た。

父74歳、母71歳。
この2人は昔からあまり意思疎通がうまくいっていない。
子供の頃からそれはずーっとで、別に今に始まったことじゃない。
あーもう色々想像できすぎてヤダなぁと思いつつ、　

「声が出てても意思疎通うまくいってないんですけどねあの2人は」

と笑ったマークを送って電話しときますと
メッセージをいただいた方にはお礼を言った。
何かまだ言いたそうだったけど、
「家族のことにあまり立ち入っては失礼だから、、、」
ときて、その一言は確かにイラっとする感じもあった。

正直本当に何かあればちゃんと連絡が来る。
母に何かあれば父が連絡するだろうし、
声が出なくたってラインでスタンプでもメッセージでも
送ることができるはずなのだ。　
母も恐らくいろいろその人に聞いてもらいたかっただけだろう。
あわよくば私にそれが伝わって連絡でも来たらいいなとか。

あーなんかやだなーめんどくさいなー。

実家を離れてもう10年近い。
実家から車で5分のところに兄夫婦が住んでいるが、
子供が小さいのでインフルなんて聞いたら絶対寄り付かないだろう。
もともと寄り付いてないので。

ほとぼり冷めたら連絡するかぁ・・。

そう思って1週間くらい経ってまずは父に連絡してみた。
なんとなく母の愚痴と不満から始まる電話を
聞きたくなかったから。

するとどうだろう。
なんと父がこれまた色々不満げで話をしてきた。

「お母さんのせいで風邪ひいて大変だよ。
　病院はすごい人だし待つのもうつりそうで嫌だしな」

まぁ仲がよろしいことでとか冗談言える感じでもなかったけど、
へぇとか大変でしたねとか、そうなんだとかふんふんと聞き流し、
だいたいの様子と経過を知ることができた。

奥で母が何やら大声で言っている。
どうせ私に電話代わってとかなんとか言っているのだろう。
父は「えええ？？なんだって？？？」と相変わらずよく聞こえず、
母が不満げに押し黙る様子が手に取るようにわかった。

そして父との電話をまぁお大事にねと切った後、
そのまますぐ母の電話にかけ直した。

前置きなしにいきなり、
「私死ぬところだったのよ！！」
と超絶不満げな母。

だいたいの様子は聞いてたので、インフルだったんだってねとか、
のどが腫れて声が出なかったらしいねとか。
言うたびに、「そうよ！」とどんなに自分が大変で
死にそうだったかを伝えてくる母。

しかも極めつけは、熱発後食欲がなく、
のどが痛くて呑み込めないのに父が、

「寿司でも買ってきてやろうか」

と言ったことで母は頭にきてしまったという。

寿司いいよなぁ、、と思って聞いていたが、
母としてはもっと食べやすくてのどに優しくて、
元気の出るものがよかったらしいけど、

それってじゃあなんなのよ？
って話だが、それを何一つ父に伝えてない母も母だなと
思いつつ、へぇ～とか大変ですね～とか聞いていた。　

実は母はほとんど熱など出したことがない。
何も慣れてないのだ。子供の頃から寝込んだとこなど
見たことがないし風邪っぽいすらなかったように思う。　

話を聞いてるうちに落ち着いてきたが、
内容的にはそんなに死にそうな話ではなかったし、
何より今こうして聞いてる声は咳もなく順調に回復してるようだった。

考えてみると父も母が病気なんて慣れてない。
70過ぎて2人とも初めての経験だったのではないだろうか。

お互いに役に立たないと思いながら過ごしてたようだけど、
まぁ仕方ないよねそれが夫婦ってもんだよ、男ってもんだよと
よくわからないアドバイスのような慰めのような言葉を母にかけ、
ようやく電話を切った時には1時間半くらいしゃべってた。　

こりゃ母が入院とか介護が必要になったりしたら、
えらいことだなぁ、、不満だらけになりそう・・・。

あーヤダヤダと思いながら、その時はまたその時！
もう夫婦のことは夫婦でがんばってーと思いながら
話を聞いた1日でした。　

そのうち兄にもどこまで介護とかするつもりでいるのか
聞いておかないといけないなぁ。
離れてる分話くらいは聞くけど、いきなりこっち来てとか
あれこれ文句ばかりじゃたまらない。

今回はインフルで済んだけど、ふとそんなことを考えた
出来事でした。　

ゆみこ44歳（仮名）

介護Webマガジンでは、体験をお寄せ頂ける方を募集しております。
まずは、お気軽にご相談下さい。