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雑記 4/14(日) 音楽譚

音楽の嗜好性はその時々の生活環境やライフスタイルに影響を受けて変化すると思っています。

学生時代、特に義務教育〜高等教育課程では、これといって社会や学校への不満があったわけでも無いがやたらとヘビメタやパンクを聴いていた。
今となっては偶に聴く程度のジャンルで聴いたとしてももはや懐メロ領域で聴いている。

社会人になり、無知ゆえの万能感が社会の厳しさによりごっそり削り取られてからはもうけたたましい音楽を聴く気力が無くなり、次第にシティポップやポストロックのような力を使わない音楽ばかりを好んで聴くようになったのだが、とりわけ嵌まり込んで胸打たれた曲とグループを紹介したい。

Spangle call Lilli line
『Spangle call Lilli line』の清涼感と気だるげな疾走感がとても好きで今もよく聴くのだけれども、中でも以下の曲は特にリピート率が高い。
・E
・cast a spell on her
このバンドの特徴でもあるのだが、歌詞に文章的な意味があまりなく一貫して脈絡の無いメッセージが飛んでくる。それがまた良いんでありますが、好みが分かれるところでもあると思う。
『E』に関しては夕方の1番夕陽が眩しい時間帯を連想させるような終息感と、しかし依然として先が目の前に続いているような力強さを感じられる曲で、憂鬱なときに聴くとサザエさんを見終えた後の日曜の夜のような気持ちになる。

・cast a spell on her
この曲に関しては、このバンドには珍しく何やら前向きそうな疾走感があり聴いていると"とろ火"のようなちらちらとした元気が出てくる気がする。
実際のところは活力が湧くような類の歌ではなく、しっとりと聴き入るタイプの曲なのだが、何故か自分は初めて聴いたときから一貫してそう感じ取っている。

閑話。
Spangle call Lilli lineといえば、かつて筋骨隆々で精悍な出で立ちの知人に「そんななよっちぃ歌ばかり聞いているからナヨナヨした人間になるんだぞ」と言われ、そうなのかもなと合点がいった折、ではナヨナヨな歌の対極にある歌とはなんぞと考えたことがあった。紆余曲折を経て結論それは『軍歌』である、と着地したのだが、想像してみると軍歌を聴くナヨナヨしたもやし男の像が連想され、よりヤバさが増強された自分の姿に戦慄して結局軍歌を聴くには至らなかった、という思い出がある。
※余談…紆余曲折の"余"の辺りで一度長渕剛を経由したがあれはあれで剛健の中の軟派な気がして避けた。

空気公団
もう1つ、ポップロックの領域から取り上げたいバンドがこの『空気公団』でございます。
Spangle call Lilli line同様、基本的にしっとりとしたメロディで進行する曲が多く両者のファンには親和性があると勝手に思っており自分自身がその実証だと思っている。
このバンドの曲『見えないままにしないで』は明確に夜の始まりを想像させる。日が沈みきる直前のほんの僅かな時間にのみ見ることができる淡い紫の空がしっかりと脳裏に浮かび上がる。10代の頃言語化出来ないが確かにこんなことを思っていたな〜という懐かしさを感じられる曲なのだが、三十路直前の今だからこそある種の郷愁の念で聴くことができる曲で、実際10代の頃に聴いていたら何か深い胸の内を抉られた可能性が高く狂ったように聴いていたかもしれない。

他にもまだあれば書き足していくので皆もおすすめを教えてほしい。聴かないかもしれないし聴くかもしれない。

これを書きながら今日は旧友と10年ぶりに遊んだのだが、会話の中に出てくる思い出とともに当時聴いた曲が付随するように思い返された。
しかしやはり、あの頃の記憶にある曲はどれもけたたましく煩いものばかりで、若かったなぁ、ハハハと笑いつつ、やや耳鳴りのように頭の奥で、かつての音が鳴り響いていた。


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