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映画「MOTHER マザー」

 親からの愛が時には狂気になる


 今回、大森立嗣監督の映画「MOTHER」を視聴させて頂きました。

今作を一言で言うと”狂愛”。
家族の愛を表した作品は星の数ほどあります。ですが今作は、普通の家族の愛とは異なった愛の形。子を愛し、自分を愛した結末がなんとも言えない一作。


①【内容】
 だらしなく男性と関係を持ち、男性に依存している母(長澤まさみさん)。誰にも心を開くことを許されず、母のみを信じ生きてきた息子(奥平大兼さん)。

ある日、母はゲームセンターで出会った男と出かけ、1ヶ月家を留守にした。
その1ヶ月間、息子・周平は家で1人孤独な生活をしていた。

母が家に帰るや否や、見知らぬ男との3人での生活が始まった。

だが、その生活も束の間。
母と周平は2人となり、転々し、日々の生活に尽力していた。

妹も生まれ家族は3人になる。

そんなある日、父親と名乗るあの見知らぬ男が突然押しかけ、再び地獄のような生活に戻される。

行く当てもなく放浪していた。
歩いている最中、母から思わぬ一言が飛ぶ。


②【長澤まさみの怪演】
 皆さんは役者として尊敬する人物はいますか?
自分は、映画「世界の中心で愛を叫ぶ」で長澤まさみさんの演技を見てから、長澤まさみさんという役者に目が離せなくなった。
 近年では、「コンフィデンスマン」や「キングダム」など注目作品に出ており、様々な役に挑戦している姿が見受けられるが、今作の長澤まさみさんはまさに大女優と確信させる演技をしている。
特に注目して欲しいのが、息子役の奥平さんを見る”あの目”が素晴らしい。
是非注目して見ていただきたい。

オファーが殺到する理由が今作から読み取れると思います。

③【依存】
 人は何かに依存する。
人間、物、環境。依存の対象は様々だが、今作のテーマは人間(母と息子)への依存。
 
 今作のモデルとなった川口市祖父母殺害事件。この事件を取材した毎日新聞の山寺さんが書いた本「誰も僕のことを見ていない」が原作。

 脚本がいかに素晴らしく且つ忠実に実話を再現しているのか、役者さんたちの演技を見れば伺える。

 “母親しか世界を知らない”

これは、映画「room」に類似した環境だと感じた。母親しか知らず母親が世界の全てだったことから今作との共通点が多い。

互い(母と息子)の存在に依存している。
端的に言うと「room」では明るく、今作は暗く人間への依存が表されている。

④【まとめ】
 皆さんは何かに依存しますか。
自分は映画に依存しています。寂しかった幼少期を映画に支えてもらい、今こうやって映画の感想を書くにまで至りました。
 最近では、”推し”という言葉をよく聞きます。推しもある種の依存なのではないかと自分は思います。
今回の芥川賞を受賞した、宇佐美りんさんの「推し、燃ゆ」も裏のテーマが依存なのかもしれない。ただ推しと称しているだけで。
 たしかに依存とは、人間の精神を保たせる物なのかもしれない。宗教的観念に近い自分の精神を持続的に保たせることのできる依存対象。
 
 日本という国の国民の宗教的観念はあまりなく、”世間体”という言葉で宗教的思想を片付けることが多い。
例を出すと『世間体が悪いからやめなさい』など。

 結果、依存はいいことなのかもしれない。
だか、依存しすぎも時には毒になりうるということ。

是非、見ていただきたい一作。

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