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白トラ『超』番外2 『エフワン』

「子供の頃、おじいちゃんおばあちゃんのうちで食べていたモノと味が違うということは私、わかってたんですよ」
と、語るのは仕事先で最近知り合った50代半ばの女性である。仮にNさん。

 知り合って間もない白へびとNさんとでこんな会話をした。
「白へびさんは普段何をしている人なの?」
「何をしているというより『何をしようとしている、どんな志(こころざし)を持っている』という観点でお話させてもらった方が今は話が早いです」
 と、ことわりをいれて白へびは話し始める。

日本列島にお住いの方々のお心を開かせる、つまり真の人生観に目覚めていただく。又はその種を植え付けることをまず目指してます。
 『真の人生観』は恐らくひとによって答えが少しずつ違ってくると思います。人それぞれに答えを出してもらうこと
、‥ですね」

 白へびは続ける
「それと‥、将来使う暇もないほど沢山お金が入ってきたら(又はそれに相当する資源とか)、子ども食堂をやる
 それは地域の人が、見るに見かねてみんなで持ち寄って『何とかしましょう』というのではなくて、本物を食べさせる食堂です
「本物?っていうのはどういう‥」
「ここでいう『本物』は‥、『F1』ってご存じですか?『F1種』とか言ったりするみたいですけど」
「エフワン‥、レーシングカーのことですか?」
「微笑)ここでいうF1は種のことです。お野菜の種のことです。食べ物でF1というと大抵お野菜のことを指して表現されてます。
 『お野菜』と『F1』でピンとくることはありませんか?」

 ピンと来ていない様子なので白へびは説明を続けた。いや、くるはずないか‥。

「スーパーで普段お買い物をされてますよね?そこでお野菜を買ったりしてますよね?
 今やスーパーとかで売られている7割以上、それも10年くらい前の情報なので今はもっと高い割合でしょう‥、殆どのお野菜が遺伝子組み換え作物なんです」

 まだ今一つ話が呑み込めない様子のNさん。

品種改良というような美しい表現では済まされないモノを僕たちは食べているんです。
 次の代を正しく作ることが出来ないモノを食べてるんです。より正確には、次の次の代が作れないみたいです。
 まぁまぁショックでしょ?

つづく