外国語を学ぶ価値
習慣とは恐ろしいものだ。
今日は祝日ということで久々に朝寝坊でもしようと思った。
朝は仕事の関係上早起きなもので、いつも4時に起きては自分のことをしている。いわゆる自分時間で、たまたま朝にその時間をとっているわけだが、この習慣が身についてどれだけの時が過ぎただろうか。
今朝は6時にでも目が覚めればいいと思っていたのだが、なんと4時半に目が覚めてしまった。それも、いつもより目覚めが良く、もうこれ以上は寝られなさそうである。30分の朝寝坊ということで、これは成功と言えるのかどうなのか。とはいえ、仕事がないという意識だけでも体がより休まっている感じが、人間という生物の体の不思議の一つである。
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そんな話はさておき、疲れ過ぎて死ぬほど眠たかった昨晩、ふとこの英語表現が話題に上がった。
"sleep like a baby"
直訳すると「赤ちゃんのように眠る」という表現だが、これは海外ドラマ『SUITS(スーツ)』の中で、最強弁護士のハーヴィー・スペクターがよく使用していたものである。朝にその日の調子などを聞いた際に"I could slept like a baby"という感じで使っており、日本語字幕では「死んだように眠れた」という訳がなされていた。
いわゆる「よく眠れた」ということを伝える表現である。日本語では「死んだように」という表現のところを、英語では「赤ちゃんのように」という比喩表現で表しているあたりが、独特でおもしろい。そんな言い回しを学び、母語と比較できることが他言語を学ぶ楽しみの一つでもあるが、そんな特有の表現から海外の人たちの視点が垣間見えてくる。
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もう一つ英語の好きな言い回しがあって、それは"on the same page"という表現だ。
"Are we on the same page?"
みたいな感じで使われることが多い。直訳でいえば「私たちって同じページにいますか?」となるが、いわゆる「足並みが揃っているかどうか」「合意しているか」「認識が一致しているか」という意味である。僕ら日本人は「足並み」と体を使った表現なのに対し、英語では「本のページ」になぞって表現している。
どんな過程を経てその言語の表現ができたのかはわからないが、その言語表現ができた背景にはかつての日本語話者や英語話者の特徴が見えてくる。
僕が多文化理解において言語の習得は欠かせないと思うのはそれが理由で、言語からわかる他国に住む人たちの姿がたくさんあるのだ。
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もっとおもしろい表現が、"Have a toast"というものだ。
Toastと聞くとパンのトーストを思い浮かべるが、この"Have a toast"とは「乾杯をする」という意味である。
どうして"toast"が乾杯の意味になるかというと、それはワインに本当にトーストを入れてきた歴史があるからだ。事実、ワインの香りをより良くして楽しむために、16世紀頃のヨーロッパではワインにトーストを入れてきたらしい。パンの文化が根深い土地らしい表現であるが、そんな歴史背景を知るだけでも、英語という言語から学ぶ知識や感覚は多い。
そんな感じで、僕は他言語を学ぶ意味というのがこの辺にあるように感じる。
ただただ言語を使えるようになるだけではなく、その言語特有の表現からその土地の人たちの性格や考えを読み取る。それは「感じる」というすごく曖昧なことから始まるものだが、その他言語の感覚を理解することを通じて多文化理解の深み生まれてくるのではないだろか。
AI時代において、言語の翻訳は機械がたくさんしてくれるものの一つになった。DeeplやChatGPTの存在を見ていると、近い将来英語や他言語を勉強しなくても海外の人と意思疎通できるようになるのではないかと、心の底から感じている。だが、そんな未来がきたとしても、他言語を学ぶ価値というのは変わらないのではないと思う。便利を超えた先に豊かさがあり、そういう意味での言語学習から、その人のおもしろみが2倍も3倍も変わってくるはずだ。
そう考えると、僕も改めて英語を学び直してもいいのではないかと思う。
確かに英語で話せるには話せるが、そういう表現の豊かさという部分ではまだまだだ。「学び直し」とはいっても、英検のような試験勉強ではなく、ネイティブが使っているところを体験するという学びである。現地に行けたら最高ではあるが、幸い、僕らの生きている時代にはインターネットやYouTubeやAmazon primeのようなツールがたくさんある。これらを生かさない手はないだろう。
中高生の英語学習も、そんな幅を効かせておもしろく学んでもらえたらと思う、今日は祝日の朝であった。
2023.03.21
書きかけの手帖
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