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スパゲッテイ都市 日本の都市はなぜ醜いのか

数日前に、フィリピン・ダバオ市の日本食レストラン「タダクマ」について書きました。


それを書くとき、ダバオ市の動画や写真を見るうちに、「あれ?」と思うことがあったんですね。

アジアでよく見る風景、なんだけど、何か違和感がある。

以下は最近のダバオ市中心部の写真ですが、違和感の正体がわかるでしょうか。



なんか、すごくスッキリしてる。

そう、電柱がなく、電線がないのです。


(上掲写真の出所)

Davao city becoming wireless! Share your uniquely Davao experience! 📸 Dum Jeffrey

Posted by Uniquely Davao on Monday, September 20, 2021




ダバオ市では、2015年ごろから、電線の地下化、「ワイヤレス・シティ」政策を進めている。

もちろん、ダバオ市全体から見れば、無線化されているのはまだ一部です。

しかしダバオが、街の美化に、特に力を入れてきたことは事実です。

ダバオは、マニラ首都圏、セブーに次ぐフィリピン第3の都市ですが、高層ビルはあまり立っていない。しかし、都市の景観の美しさは、フィリピン随一と言われます。ワイヤレス化だけでなく、ゴミの追放や、歩道の整備など、街の美化にすごく力を入れ、その点ではセブーはまったくかなわない、という評価を見ました。

「街の美観と歩きやすさ」でダバオを評価する動画より


で、そのダバオ市の市長が誰だったかというと、2016年まで20年以上、ドゥテルテが務めていました。あのフィリピン大統領(2016ー2022)になったドゥテルテです。

ドゥテルテはご承知のとおり、毀誉褒貶ある人物でした。悪人を自ら手を下して殺している、という噂があり、「処刑人」と呼ばれて、人権団体から警戒されていた。

が、強権でダバオの治安をよくしたことは確かで、それでフィリピン人の信認を得ました。同じく強権で、景観美化にも取り組んだことは、あまり知られていないでしょう。現在は、ドゥテルテの息子がダバオ市長を務めています。

(ちなみに、マニラはご承知のとおり、地盤沈下とともに都市が汚くなりすぎて、近々首都機能を移転する予定です)


アジアといえば、何十本もからまって垂れ下がった電線がトレードマークだったりします。

かつては、タイのバンコクや、カンボジアのプノンペンなんかのそれが有名でした。急速な経済発展に、インターネット化などもあいまって、インフラ整備が追いついていなかった。

ああいう、からまって垂れ下がった電線を「スパゲッティ・ワイヤ spagetti wire」とか「スパゲッティ・ケーブル」と言います。


しかしアジアでも、上のダバオのように、ワイヤレス化を積極的に進める地域がある。

「空のスパゲッティ」で悪名高いタイも、その解消に取り組み始めた、という記事がありました。


ひるがえって、日本はどうかと言えば、外国人からはやはり「スパゲッティ・ワイヤ」のままだと見られています。

少し前の動画ですが、「スパゲッティ・ケーブルズ・イン・ジャパン」というYouTube動画がありました。

Spaghetti Cables in Japan! (TheJapanChannelDcom)


日本には、美しい風景がたくさんある。

そうかもしれないけど、それを写真に収めようとすると、いたるところで電線が写り込む。

私同様、それが非常に気になる人は、多いんではないでしょうか。



なぜ日本で「ワイヤレス化」、無電柱化が進まないのか。

国土交通省も問題として取り上げています。



ロンドン・パリなどのヨーロッパの主要都市や香港・シンガポールなどのアジアの主要都市では無電柱化が概成しているのに対して、日本の無電柱化率は東京23区で8%、大阪市で6%と立ち遅れています。
(国土交通省HP)

【欧米やアジアの主要都市と日本の無電柱化の現状】国土交通省HPより



「日本はなぜ無電柱化が進まない?」という記事も、ネットで見つけて読みました。


日本ではなぜ無電柱化が進まない?(HATCH)


でも、この記事を読んでも、理由がよくわからない。

日本は無電柱化のコストが高い、と書かれているけど、それは、政治的に何を優先させるか、という問題な気がするんですね。

都市の景観に関して、日本人は、あまりに意識が低すぎたのではないでしょうか。

日本は、カネがあるうちに、無電柱化を進めるべきだったと思う。

これからますますカネがなくなって、日本の都市は、アジアの中でも「醜い都市」と言われるようになるのか、と思うと悲しいね。

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