見出し画像

演劇『恭しき娼婦』感想

2022年6月8日(水)新宿の紀伊国屋ホール、ソワレで鑑賞。

チケット料金が高いのでめったに行くことはないのですが、会社帰りに演劇を観に行きました。
新宿の紀伊国屋ホールで上演された『恭しき娼婦』です。哲学で有名なジャン=ポール・サルトルが書いた戯曲です。

以下、少しだけあらすじ。
人種差別を扱った作品です。何もやっていない黒人が、白人の面子のために、犯罪者に仕立て上げられます。
(白人の)娼婦は黒人が何もやっていないことを知っていますが、真実を証言しようとしても、他の白人から圧力をかけられたり、言いくるめられたりします。
(被害者の)黒人男性とエリート層の白人達の板挟みになった娼婦は...。(ここまで)

人種差別が大きな潮流ですが、女性の娼婦という立場や、白人はエリート層であることも含め、保守・伝統と革新の対立や社会の分断についても考えさせられました。

娼婦リズィー役の奈緒さんを、私は初めて知ったのですが、熱演されていました。具体的には、真実を話すべきなのにどうしようと、髪をかき乱しながら迷い、破裂しそうになり、すごかったです。(←上手く表現できなくて、すみません。)
他方で、あんまり作り過ぎたり、大袈裟な感じはしなくて、魂が入っている感じがしました。

娼婦の葛藤を通して、正義や人間の尊厳にも触れられ、観終わったあと、なんで「恭しき」なのか何となく分かりました。
そして、「娼婦のお前なんかが!」「黒人なんかが!」といったやり取りの中で、言われる立場の方に気持ちが入りました。
いつか文章で戯曲も読んでみようと思います。

その他追記
・登場人物が少ないのですが、その分、一人一人が際立っていました。上院議員の表情や震える黒人など。
・ジャニーズの風間俊介さんが出演されていたので、女性の観客が多いのかと思いましたが、(会社帰りの?)男性の方も多かったです。
・奈緒さんには、これから注目して行きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?