見出し画像

アジサイの鉢に現れたネジバナ

家の周りに生えてくる雑草が今年はいつもと少し違う。ネジバナ、ツユクサ、ヨモギ。ヨモギは少し歩けば道端に生えているけれど、ネジバナとツユクサはもう何年も見かけていないと思う。
 
ある日アジサイの鉢に、ピーンと1本のネジバナが現れた。どこからか種がやってきて芽を出し、ぐんぐん伸びて花をつけたにちがいないのに、その過程にはまったく気づかなかった。この1株を見つけるまで、何年も目にしていないことにすら気づいていなかった。
 
子どものころは通学路や近所の空き地でふつうに見られ、好きな花のひとつだった。すらりと伸びた細い茎の上に小さなピンクの花が、らせん状についたかわいらしい姿はよく見ると不思議な感じもして、いつまでも見ていられる。
 
アジサイのそばに根を下ろしたネジバナを観察していると、その華奢なようすとは裏腹に風が吹いても大雨が降っても折れることなく立ち続けていた。花が枯れて茎が茶色くなってもなお(うつむき加減ではあるが)立っている。いつのまにか株元には新芽がひっそりと生えていた。
 
植物の世話をするようになって私の見え方が変わったのか、それとも実際に周りに生える雑草が変化しているのか。それは分からないけれど、アジサイの鉢に見つけたあと、舗装された通路の端にもたくましく生えるネジバナを見つけた。
 
ネジバナは雑草と呼ばれる一方で、取り扱う園芸店もあり、好んで栽培する人もいるラン科の多年草ということが調べてみて分かった。ただし、いざ育てようとするとへそを曲げることもあるようで、育つ環境にはこだわりをみせる。

土らしい土もないようなところでも気に入って根を下ろす強さがあるのに、大事に植えられると必ずしもうまくいくわけではない。気難しいというのか、繊細というのか。植物を扱うのは簡単ではないと再認識。
 
かわいらしい姿のその花が、うちの庭で増えてくれたらいいなと思う。けれどもこちらが世話を焼いて絶えてしまったら悲しいから、自然に任せることにして、来年また花が咲いてくれるか待ってみよう。

秋 アジサイ鉢の中のネジバナの新芽


この記事が参加している募集

最近の学び

今こんな気分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?