【詩歌の栞+α】7/5 夏なので「最恐文芸」を。「怖い俳句/倉坂鬼一郎」
雨の音が陰鬱に響く夏の夜のことでございました
草木も眠る丑三つ時、持ち帰り残業をとりあえず切り上げてふらふらとnoteを彷徨っていた私に起こった悲劇。
それは・・・。
本の虫読書録さま 最恐夫婦 見出しの女の子と目が合いました。
絹を裂くよな女の悲鳴(自分の心の中)。
ああ、怖かった。(この女の子を表示したくて、記事の紹介の仕方覚えました)
私は怖い話は苦手です。
たっぷりとひんやりさせてもらった返歌になる話を探したのですが、残念ながら我が本棚には太刀打ちできるものはほとんどありませんでした。
でも、これならいかがでしょう、というのが本書。
怖い俳句 (幻冬舎新書) 倉阪 鬼一郎 (著)
「世界最短の詩文学・俳句は同時に世界最恐の文芸形式でもある。」ということで、ホラー小説家でもあり俳人でもある著者が芭蕉から現代俳句までの中から選びに選んだアンソロジー。
わずか十七音、余白が大きいから、かえって脳の中で色々なものが沸き起こって、ざわざわと怖いです。
今回は、怖い小説(怪奇、幻想、ホラー)になりそうな句。という観点で選んでみます。
怖さ、はその人の感覚によるところが大きいので、自分にとっての怖い句を探してみると良いと思います。
学びたる呪術の初め野鳩の死 沼尻巳津子
呪ふ人は好きな人なり紅芙蓉 長谷川かな女
物の怪のつく時眠し青芒 長谷川かな女
昼寝せるときに魔性のものたかる 山口誓子
春の家闇のどこかで「ママ、起きて」 高澤晶子
壺の中に鬼居て薔薇を開かしむ 内藤吐天
薔薇の家犬が先ず死に老女死す 西東三鬼
戒名を思ひだしたる紫蘇畑 柿本多恵
青い鳥紅い鳥怪しい鳥も渡る 安藤和風
野遊びの児を暗き者擦過する 永田耕衣
稲妻に道きく女はだしかな 泉鏡花
どうでしょう、涼しくなりました?
最後に、こんなあやかしなら良いかもしれません。
書庫暝しゆうべおぼろの書魔あそぶ 竹下しずの女