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連載「足元」みそぎの暮らしごと

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里山で紡がれる日常の中で、 この地の人々の足元にあるもの。 ーーー 「足元」では、みそぎ地区の人たちへの取材を通して土壌にある文化や歴史、自然の移ろいを記録します。 このメデ… もっと読む
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植物に触れ、紙作りに向き合うために

植物に触れ、紙作りに向き合うために

とてつもなく手間がかかる。
その割にお金にならない。
それでも、本当に大切な芯はそこにこそ存在している気がして、わたしはそれを残したいと思う。

木の皮から紙を作ること。
初めて紙に心惹かれた時から、何度も体験したり自分が体験を企画する側に回ったりした。よく聞く「紙漉き体験」ーー漉き桁で紙の原料を掬いとり、1枚の紙を作る体験ーーのあの漉き枠の中には掬いとれない何かが、木を紙の原料にするまでの工程に

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そこらのものに宿る 記憶と希望|連載「足元」vol.1 季羽敏江さん

そこらのものに宿る 記憶と希望|連載「足元」vol.1 季羽敏江さん

「銭にならんことぎりよ。でも、なんとか生きとるけんな。」
里山で暮らす知恵や生い立ちをたっぷりと聞かせてもらった後、敏江さんが朗らかに言う。
「ちっとも金持ちにはならなんだが、食うては行けた。難儀なことでも自分がやろう思ってやるんじゃけんの。誰ちゃやれとも言わん、やるなとも言わん。」

御祓(みそぎ)地区の人たちへのインタビューを行う連載「足元」の編集部が最初に訪ねたのは、カボチャ農家の敏江さん。

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連載「足元」|里山の土壌を作ってきた人たちの暮らしごとを記録する

連載「足元」|里山の土壌を作ってきた人たちの暮らしごとを記録する

最後に暮らす場所は、ここがいい。
移住先を探す中で この土地と出会いました。

愛媛県内子町の街なかから山道を車で走ること10分。「御祓(みそぎ)地区」は人口230名、高齢化率50%を越える集落です。

なんてことない、と地域の人が言うこの里山には棚田があり、閉校になった後も大切に守られてきた小学校があり、かつて紙の原料を収穫していた歴史があり、今の生きた風景が続いていくことを願う人たちがいます。

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