【リーキーガット症候群から読み解く】腸内環境とダイエットの関係性を深掘り解説
現在、腸内環境に目を向けずにダイエットを成功させることは不可能だと思われるほど、両者の深い関係性が示され始めています。
そこには一つのワードが鍵を握るようです。
すなわち[リーキーガット症候群]。
ここではダイエットと腸内環境の関係性を、リーキーガット症候群という症状から詳しく解説していきたいと思います。
腸内環境とダイエット①|双子の研究
まずは、腸内環境が悪い人の方がダイエットに成功しにくいという事実についての根拠を2つ示していきます。
一つ目は、20代女性の双子で肥満に対して不一致な4組を対象に、腸内環境を観察した研究から。
その結果がこちら。
痩せた方:
ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が豊富
太った方:
炎症性の細菌が多く、また細菌の多様性も低い
さらにその後、これら8人の便を無菌マウスにランダムに移植したところ、太った方の便を移植されたマウスは短期間に約16%太り、特に炎症性の内臓脂肪が増えたそうです。
(Ridaura, V.K., Science(6 Sep 2013) Gut microbiota from twins discordant for obesity modulate metabolism in mice.)
腸内環境とダイエット②|MetaHITの研究
2つ目は、MetaHITという腸内環境について研究している機関が発表している研究から。
この研究では、低カロリー(1200kcal)、高タンパク(35%)のダイエット食を実践した被験者の効果を調査しています。
結果はとても興味深いものに…
全ての被験者に一定の効果が見られたのですが、細菌コミュニティの多様性が最も低い被験者は、減量の幅が最も少ないことが示されました。
またそうした被験者は、ダイエット前の体重にリバウンドするのも1番早かったそうです。
(Le Chatelier,E.,Nature(29 Aug 2013) Richness of human gut microbiome correlates with metabolic markers.)
過程とメカニズム|炎症
では腸内環境の良し悪しが、いかにして私たちのダイエット成功を阻むのでしょうか?
ここで重要なのが「炎症」です。
太った人の場合、次の2つのような結果が観察されています。
・マクロファージが脂肪細胞の約50%を占める
(通常の脂肪細胞は約5%程度)
・リポ多糖(=内毒素)の血中濃度が通常の2~3倍
これらの観察結果は、体内で軽度の炎症を慢性的に引き起こしていることを裏付ける証拠と言えるでしょう。
では腸内環境は、どのうようにして炎症の原因となるのでしょうか?
軽度慢性炎症の原因|リーキーガット症候群
答えは[リーキーガット症候群]。
リーキーガット症候群とは、腸壁を構成する細胞同士の間隔が通常よりも広がってしまう現象を指します。
かつては代替医療が裏付けのない謳い文句として使用していた用語のため、エセ科学的との見解が主流でしたが、最近では膨大な科学的根拠によって、このような見方は時代遅れとなりつつあります。
で、ここでの話しは単純明快。
通常通り堅固な腸壁であれば侵入できないリポ多糖が、リーキーガットの状態であると容易に間隙をすり抜けてしまうのは想像に難くないでしょう。
これで[腸内環境ー炎症ーダイエット]の関係性は理解できましたね⁉
リーキーガット症候群|メカニズム
リーキーガット症候群とは、大腸壁の細胞間の隙間が広がってしまうこと、そしてそのせいで引き起こされる症状全般のコトでしたね。
そのメカニズムは次の通り。
広がった間隙を異物(リポ多糖など)が通過
→免疫系が刺激される
→体内が軽度慢性炎症状態に
もし体内で炎症が続けば、痩せられないどころか、広範囲の健康問題に悪影響を与えるのは想像に難くないはずです。
リーキーガット症候群|原因
ではなぜ私たちの腸壁は、間隔が広がってしまうのでしょうか?
その原因の一つが[短鎖脂肪酸]。
様々な科学的な観察によって、短鎖脂肪酸(中でも特に酪酸)は、大腸内壁の細胞の間隔を密にする役目があると考えられています。
でもどうやるのでしょうか?
腸の細胞を結合させているタンパク質の発現を決めている遺伝子のコントロールは、腸内細菌の影響を強く受けています。
酪酸はそのメッセージを細菌に伝えますだから、酪酸が産生されるほど腸壁は堅固になるんです。
リーキーガット症候群|改善方法
ということで最後に、リーキーガット症候群を改善する方法、すなわち腸壁を堅固にするにはどういった方法があるのか紹介していきましょう。
①酪酸を産生する細菌(ビフィズス菌、ラクトバチルス菌など)を摂取すること
※ビフィズス菌とラクトバチルス菌は、肥満の人に少ないことが分かっています
②そういった細菌の餌となる食物繊維をたくさん食べること
(同時に単純糖質を減らす)
以上、簡単ですね⁉
もちろんこれだけで万事が上手くいく保証はありませんが、とっかかりとしては有効な指針だと言えますよ。
まとめ&ラストメッセージ
いかがでしたでしょう?
(もし質問や相談などがあれば気軽にコメ欄に打ち込んで下さい😏)
[リーキーガット]という概念は、実は新しいものではありません。
しかし、代替医療業界が推奨している“いかがわしい概念”として浸透した過去があり、未だに非科学的だと虐げる医者もいるようです。
ですが、もし私の目の前に『本気で痩せたい!』と望む人がいれば、“腸内に目を向けなさい!”とアドバイスするでしょう。
私がそうアドバイスするのは、腸内細菌をチェックするキットやプロバイオティクスのサプリメントを売りたいからではなく(そもそも私のスタジオで物販は一切していない)、エビデンスに裏付けされた情報と理論的なメカニズムを理解しているからです。
ということで、まずはできるところからコツコツと。
皆さんの健闘を祈っております!
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