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[善と悪のパラドックス-ヒトの進化と自己家畜化の歴史-/リチャード・ランガム]の感想とレビュー

[善と悪のパラドックス-ヒトの進化と自己家畜化の歴史-/リチャード・ランガム]を読了!

ーーー・・・以下書籍レビュー・・・ーーー

➤面白さ
★★★★★+MAX

➤知識量
★★★★★

➤難解度
★★★☆☆

➤オススメ度
★★★★★

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なぜ人類は最善であり最悪なのか?

まず人類は、反応的攻撃性は低下し、能動的攻撃性は向上するよう進化論的に適応したと主張するところから始まります。

反応的攻撃性が淘汰される過程を自己家畜化とする生物学的で生理学的な説明は、とてもエレガントで納得のいく内容です。

また自己家畜化するように促す淘汰圧を、乱暴でルールに従わない異端児を連合によって処刑してきたことに依るとする考え(処刑仮説)には少しゾッとしましたね。

そして、そこから生まれたのが、最も人間的な特徴とされる良心(道徳心)であり、社会から期待されることを強く意識するよう手にした感情(恥、気まずさ、罪悪感、無視されることへの拒絶など)なのだそう。

つまり良心や協調や過度な自己犠牲は、処刑されることへの適応から、人類にのみ進化した特徴だということ。
(この考えだと集団選択(群淘汰)を持ち出さなくても良い)

最終的には昨今よく議論されている2つの人類進化の概念、すなわち、ルソー派(人類はそもそも善良であり文化によって邪悪に堕ちた説)と、ホッブス派(人類はそもそも邪悪であり、文化によって手懐けなければならない派)の折衷案と言えそうです。

個人的にはこれまで僕が読んできた人類進化論系の科学書を、まとめて統合し、新たなコンセプトで補完したような、非常に優れた図書だと思いました。

かなりオススメです😎

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