見出し画像

社会人4年目デザイナーが人生の迷子から抜け出すきっかけになった2日間のお話

「はじめまして」と「こんにちは」
ペーペーデザイナーのカナです。

noteの更新を疎かにしていた実感はあったのですが、最後に投稿してから8ヶ月も経っていました。月日の流れが早すぎます。

今回は、仕事する・生きる意味が分からなくなり人生の迷子になってしまった私が、人生の目標が見えたきっかけとなった2日間のお話です。
どんなデザイナーになりたいか、どう生きてきたいかを考え直したい人に読んでもらえたらと思います。

前提

勘違いしてほしくないのですが、決して病んでいたわけではありません。
本業では自分の任せられる範囲が広くなり、やりたいことをやらせていただけて、ありがたい環境です。副業でも本業では経験できない仕事をさせていただき、スキルを磨けています。
プライベートも大切な人と過ごすことができ、日々充実しています。

ただ、現状に満足しすぎて「今日死んでも悔いないな」と思うようになりました。一見とても良いことのように思えますが、「人生の目標がなくなっている、人生でやり遂げたいことがない」とも言えます。
25歳がそう思ってはまずいと気づいた時、自分は今何のために仕事をしているのか、なぜデザイナーの道を進んでいるのか、その先に何があるのか、を改めて考えるべきだと思ったのです。

そこで、2日間自分の「好き」と向き合う時間を作りました。スマホは写真を撮る時とマップを開くだけにし、目の前の環境と自分の感性と対話をすることに専念しました。その2日間で見えてきた「人生の成し遂げたいことの見つけ方」について2日間で起きた出来事とともにこれからお話しします。ただ結論までの前提が長いので、結論だけ知りたい方は目次の「まとめ」から見てください。


1日目:今の自分と向き合う

私は雑貨屋・カフェ・デザインが好きなので、それらと向き合える場所に出向くことに。

最初に訪れたのは、会社の先輩に勧めていただいた「cont」というザックリいうと雑貨屋です。ソイキャンドルブランドsheepがはじめたショップで、お店のコンセプトに惹かれて行くことにしました。

コンセプト
人の手による造形も、モノ作りの背景にある生産者を支える仕組みも、再利用するという考え方も、すべてを「美しいもの」と捉え、国やジャンル、生産規模に拘らずフラットな視点でご紹介します。

https://soycandle-sheep.com/

ここでは「nice things.」という雑誌を買いました。写真のインパクトと「お菓子の詩」という言葉に一目惚れしました。
この雑誌にはお菓子作りを仕事にする人の人生が書かれています。

昔から料理やお菓子作りが好きで、デザイナーになるか食の道に進むか進路を決める際に悩んでいました。そのため、人生と仕事で悩んでいる今だからこそ、お菓子とそれを作る人の物語を見ることで、何かが見えて来るかもと思ったのです。

雑誌を買った後、次の目的地に向けて出発。
次も会社の上司からオススメしてもらった複合店舗「UNEVEN HUB STORE」へ。

UNEVEN HUB STOREは、「想像を超える、人とモノのハブ体験」をテーマとした小規模ショッピングモールです。
まず初めに、デザインと生活雑貨を取り扱う「Dhal Homes」へ。そこで名古屋市出身の建築家・プロダクトデザイナー黒川雅之さんの作品の急須に出会いました。

話は少しずれますが、私は静岡県出身で実家がお茶農家です。小さい頃から緑茶を飲む習慣があり、今でも急須で緑茶を飲んでいます。
ただ、今の時代は急須で緑茶を飲むという文化が薄れています。茶葉の緑茶が売れず、かつ後継者もおらずで茶業を辞める人が増えています。この状況をどうにかしたいと考えていました。そこで、急須で緑茶を飲む体験価値を変えようと思い、理想の急須を2年ほど探していました。

前置きが長くなりましたが、そんな理想的な急須をずっと探し続けていましたがやっと出会えたのです。それが黒川雅之さんのTea potでした。
こちらのTea potは、急須特有の網や取手がなく無駄を省いだシンプルな作りの急須になっています。茶葉の後処理が面倒という急須の課題を解決する、コップ感覚で洗える急須です。そのため手軽に緑茶を楽しむことができます。
本当はこちらの急須についてもっと語りたいことですが、この記事の本筋とずれてしまうのでまたの機会に。

この急須と黒川雅之さんというデザイナーとの出会いが衝撃的で、Dhal Homesの店員さんとデザインについて1時間近く話していた気がします。デザインについて会社の人以外の方と話す機会がなかったので新鮮でした。

次に自家焙煎コーヒーと焼き菓子の専門店の「awai」へ。そこでカフェラテと木苺のポルボローネを味わいながら、contで購入した雑誌を読みました。

同じお菓子を作っている人でも、それぞれ生き方やお菓子に対する想いは全く異なり、それが面白いと思ったのです。こういう生き方もあるんだな、こういう仕事の仕方もあるんだなと自分の働き方の幅が広がるきっかけとなった1冊でした。

さて、ここが重要なのですが、読み進めて行くうちに、自分が心に響く・目に留まる単語があることに気づいたのです。それは、私の場合は「繋がり」「記憶」「思い出」でした。なぜかこの3つの単語に惹かれる自分がいました。なぜ惹かれたのかは後ほど「深掘り」で触れます。

最後に「uneven」という特定のスタイルやターゲットを絞り込まず、モード・ストリート・カジュアル・ヴィンテージが交錯する、フレッシュな掛け合いがコンセプトとなるファッション専門店へ。

そちらの店員さんとお話をしていくうちにECサイト運営の話になり、「どうやったらECサイトでお客さんが商品を買ってくれるのか」の議題となり、自分もECサイトを運営している身としてスイッチが入ってしまい閉店間際にも関わらず分析・施策を考え始めてしまいました。同い歳ということもあり話が盛り上がりInstagramのアカウントを交換するほどの仲になったのは衝撃的です。今の時代、オンラインで誰とも繋がることができます。ただこういった思いがけない繋がりは、リアルならではだと思います。この出来事はのちの「自分の人生の目標」に繋がるきっかけになりました。

2日目:過去の自分と向き合う

この日は名古屋市美術館で開催されていた「マリー・ローランサンとモード」の展示会へ。
小学生の頃、淡いピンクを使った作品と「死んだ女より哀れなのは忘れられた女です」という言葉が衝撃的で、そこからマリー・ローランサンが好きになりました。今思うとどんな小学生だよって感じですが笑

こういった背景もあり、昔から好きだったマリー・ローランサンの作品を見たら過去の自分と向き合うきっかけになりそうと思い美術館へ行くことに。

女性ながら、自分の想いを表現するために絵画に留まらず洋服や舞台美術といった空間構築まで手がける姿が、非常にカッコよく美しかったです。女性が弱い立場だった時代にここまで強く生きていたマリー・ローランサンは本当に尊敬します。

マリー・ローランサンで「私を夢中にさせてくれたのは絵しかなかった。だから悩まされたのよ。」という言葉があります。この言葉の解釈は人それぞれだと思いますが、私はきっと「絵」を仕事にしたいと思っていなかったのではないかと思っています。夢中になれた唯一のものが「絵」であって、自分の想いを伝える手段も「絵」しかなかったのだと思います。そのため「絵」はメッセージを伝える手段に過ぎなかったのだろうと私は感じ取りました。

美術館を後にし、この日も焼き菓子を売っている近くのカフェへ。焼き菓子が大好きなんですよね笑
そこで2日間の出来事を踏まえて、次は文字にして自分と向き合うことに。

深掘り

まずは自分がずっと続けている趣味を上げていきます。私の場合は、「デザイン」と「料理」です。それぞれなぜ続けていられるかを深掘りします。
料理は年中の時から毎週土曜日に家族分の夕飯を作っており、料理歴21年とベテランになってしまいました。料理を作ることになったきっかけはあまり覚えていないですが、家族みんなから「美味しい」と喜んでもらえるのが嬉しかったから続けて来れたのは確かです。また、家族から毎週ご飯を期待されることもモチベーションになっていました。お菓子作りも昔から大好きで、特にバレンタインは気合が入っていました。みんなよりも凄いものを作るぞ、喜んでもらうぞといった気持ちで、5種類以上は作ってひとりひとり箱に詰めて渡していました。箱に詰める際は設計図さえ描いていました笑

デザイン、当時は絵ですかね。小さい頃から絵を描くことが好きで賞もたくさん取ってきました。小学生や中学生の時は「このキャラクターの絵描いて〜!」「イラストをプレゼントして欲しい」といったリクエストをもらうことが多かったです。絵は自分の存在意義でもあり、武器でもありました。

そして、この2つの趣味を深掘りしていくと、小中高の記憶が蘇ってきました。クラスのリーダーをよくやっていたり、福祉委員長になって全校生徒を巻き込む企画を考えたり、全校生徒の前でファッションショーでドレスをきてランウェイしたり、と積極的に前に出る活動をしてきたことを思い出したのです。
そこであることに気づきました。それは、「自分って意外と目立ちたがり屋だったんだな」です。
みんなよりも凄いものを作ってちやほやされたい、みんなからイラストを頼まれるのが嬉しい、大きなことを成し遂げたい、みんなに見られたい、といったこと欲望があったのではないか。

そこで、「目立ちたがり屋だった理由」も深掘りすることに。
なんでこんなに目立ちたがり屋だったのだろうか、そう考えた時「自分を忘れないでほしい、自分も誰も孤独にさせたくない」という気持ちが根本にあるのではと思ったのです。

雑誌で「繋がり」「記憶」「思い出」といった単語が目に止まったり、ショップの店員さんとリアルで繋がることに楽しさを感じたり、小さい頃マリー・ローランサンの「死んだ女より哀れなのは忘れられた女です」の名言に惹かれていたり。この2日間で見えてきた、キーワードや感情から、「自分を忘れないでほしい、自分も誰も孤独にさせたくない」と思い生きている自分がいることに気づきました。

本当の自分に出会えた気がします。

私は、人と人を繋げること。出会えた人のことを忘れないように記憶に残すこと。その日の感情を思い出せるようにすること。これらによって、誰かの頭の中に誰かが生きつづけ、誰も孤独にさせない状態を作ることを人生の目標にしたいと思ったのです。
自分が忘れ去られるのも悲しいけど、自分が誰かを忘れることはもっと悲しい。誰かの頭の中に居続けることができれば、その人は生き続けていられると私は思っています。

そしてその目標を達成させる武器が「モノづくり=デザイン」だと思ったのです。料理も言わばデザインです。私は結局のところ「何かを作るのが好きで、それが武器なんだ」と思い知らされました。

まとめ

話が長くなってしまいましたが、私の考える「人生の成し遂げたいことの見つけ方」「多方面から今と過去の自分を見ること」です。

  1. 今の自分の好き(ハマっていること)に向き合う旅へ出て、どんな瞬間に自分の情緒が動くのかを見つける

  2. ずっと続けている趣味を洗い出し、なぜ続けているのか深掘りする。続いている趣味がなければ一度でもハマった趣味でも良いです。

  3. 昔の記憶を掘り起こし、自分が今までどんなことをして来たのか振り返る。「こういうこと積極的にやってたな〜、こういうこと好きだったな〜」と懐かしむ程度で良いです。

  4. 今の自分、過去の自分を色々な角度で見ることで、似たような単語が1.2.3のそれぞれから出るはずです。もしくは繋がるはずです。

  5. それが自分が生きている上で大切にしていること・成し遂げたいことのキーになる言葉です。その言葉を忘れないでください。

すごく抽象的になってしまいましたが、あくまでも私の見つけた方です。
ただこれで私はずっとモヤモヤしていた感情がなくなり、スッキリしました。今は、今日死んだら後悔しかないと思うようになりました。

さいごに

最後に私の夢を語って終わろうと思います。
私は、出会いを「繋ぎ」「記憶し」「思い出す」ことで「自分も誰も孤独にしない」ためにデザインをしようと思います。

ずっと、私は何者かにならないといけないと思っていました。それはUXデザイナーや、WEBデザイナーといったものです。
ここ最近の私はこれらを語るのにモヤモヤしていました。私はUXデザイナーになるのが目標ではないのではないかと。

デザインは私の目標を達成させるための手段に過ぎない。別に私は何者になる必要はないのかと分かった瞬間、スッキリしました。

最終的には地元静岡でカフェ兼デザイン事務所を作りたいです。
そこには私の描いた油絵も沢山飾りたいです。友達の絵を飾るのも良いですね。私は、デザイナーもカフェの夢もどっちかではなく、どっちも叶えたいと思ったのです。

クライアントさん、お客さんと、自分の作ったお菓子と、実家で作った緑茶を嗜みながら、絵画を眺めて、打ち合わせをし、1つのものを作るのが夢です。

お菓子を食べたことで娘が昔作ってくれたクッキーの味を思い出すかもしれない。緑茶の香りから祖母の背中を思い出すかもしれない。五感を通して少しでも誰かを思い出すきっかけになれたらと。

また、クライアントやお客さんと同じ景色を見て、同じものを食べて、同じものを飲み、同じ目標に向かって語る、五感を通して繋がり、打ち合わせの瞬間も思い出として記憶に残したいのです。1つでもその人の中の思い出が増やせるように。

だいぶ欲張りな夢になりましたが、人生一度きりしかないので。これくらいやりたいなと。

こういったことを考えている中、目標に向かって一個プロダクトを作ってみました。
それは「手紙入れ」です。

私は昔から手紙を書くのが好きで、小さい頃から手紙の交換をして来ました。今でも年に6回ほど手紙を書く機会があります。
ただ、もらった手紙はお菓子の容器などに入れて奥底に収納しがちです。今までの手紙を振り返る機会ってもっと沢山あって良いと思うのです。

手紙は自分がどんな人と繋がり、その日の記憶を思い出すきっかけになります。

いつでも振り返れるための手紙入れを作ってしまおうと、設計図を書いて父に協力してもらって作りました。

それがこちらです。

「手紙入れ」の上に思い出の品を並べると素敵。
色とりどりの手紙が良いですね。真ん中に仕切りをつけてたくさん収納しやすいように設計。できるだけ部屋に溶け込むように扉とのつなぎの金具は中に。
何回も読み直したいと思ってもらうために、つい開きたくなるような取っ手をつけました。



商品化するつもりはないですが、この想いに共感して一緒に作ってくださる方がいたらぜひ連絡ください、もしくは紹介してください笑
または欲しいよって方がいらっしゃいましたら、時間はかかりますが作ります。

さてさて凄い長文になってしまいました。
ここまで読んでくださった方がいたら凄いです。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
少しでも皆さんの心を動かすきっかけになれたらと思います。
それでは、ペーペーデザイナーのカナでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?