〖短編小説〗1月21日は「料理番組の日」

この短編は986文字、約2分30秒で読めます。あなたの2分半を頂ければ幸いです。

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いやなにせ手先が器用ではないもので、一昨日見た料理の番組ね。名前なんて言ったなーはじめて見たから忘れちゃったんだけど、その番組で紹介されていた料理がおいしそうだから、ちょっと作ってみようかなと思って。

まず、手を洗う。いまのご時世大事よね。いや、うちの洗面台高くてこまるのよー。ちょっと主人に言って直してもらいたいくらい。

えーっと、まずカツオ節これは削るのはあたし出来ないから、削ってあるのがどこかにないかしら~あ、あった。それから、ご飯は昨日残ってるのを見た。主人が残していたのを冷凍してたっけ。

あとは、お醤油。料理しないあたしでもさすがに分かるわ。それからチーズね。テレビでは何とかいう聞いたことないチーズ使っていたけども、きっとあの商店街にできた新しい高級スーパーには売ってるんでしょうね。うちは近くのスーパーの切れてるチーズで十分。

まず、カツオ節を、、、あら、この袋開けずらいねーまったく、メーカーにクレームだよ。それで、ご飯にのせるっと、あーこれごはんチンしなきゃなのかーちょっとその辺に置いておいて、解凍すればいいか。電化製品は苦手なのあたし。ボタンが全部同じに見える。

それで、ご飯にカツオ節のせーの、お醤油かけーの、あらまだご飯冷たい。まぁ、少しくらい冷たくてもあたしが食べるんだもん問題ないない♪

さーて、最後に切れてるチーズをのせてっと。なるほどーご飯が温かくないからまったく解けないと。そういうことか~まぁいいでしょ。ここからが本番です。あたしのオリジナルレシピ発動!

あたしが大大大好きだから、棚の上のほうに主人が隠してあるのを知ってまーす。ゴソゴソ…ほら!発見。

うーん、こちらも中々封が切れないーよし、切れた。そして中身をおりゃーっとかける前にちょっと味見…

***

「ただいまー」

うわ!なんだこりゃ。

部屋中に散らばり、宙に浮いているカツオ節。

いつものお椀に載っている、カチコチに凍ったご飯。

カーペットの上に北海道のようなシミを作った醤油。

まるで、ダイイング・メッセージのように、なぞの文字を作って落ちている切れてるチーズ。

そのとき、主人は全てを悟り、台所でなにやらごそごそ動くものに近づき、そして声をかけた!!

「こらーミケ!こんなに散らかしちゃダメだろ!それになんで勝手に、ちゃおちゅ〜る食べてんだ!」

「ミャーミャー、ミャーオ」

1月21日は「料理番組の日」




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