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亡国へのカウントダウン

 教員不足がいよいよ、全国規模でシャレにならない状況になっている。

 5月10日、教員の人材確保に向けて、処遇改善策を議論する自民党の特命委員会(委員長・萩生田光一政調会長)は、公立学校の教員の給与に、残業代の代わりに上乗せする「教職調整額」を、現行の給与月額の4%から10%以上に増額することを柱とした提言をまとめた。(ヤフーニュース)

 「そこじゃないだろ!」
現場の先生方のあきれ顔が目に浮かびます。

 基本給が30万円の先生だと、4パーセント上乗せで1万2千円。
これが10パーセント上乗せだと3万円。1万8千円の給料増額です。

 「やったー!やる気MAXやん!これでガンガン残業!ガンガン持ち帰り仕事やるぞー!」
 って、誰も思わないでしょ。

 私が教員になりたての頃は、「サラリーマン教師」というのは、子供たちに真っ向から向き合うことをしない「ぬるーい教師」の事を揶揄した呼び名で、「俺はサラリーマン教師じゃないからな」という心に秘めたプライドのようなものがありました。

 ところが今は、いわゆる熱血教師は職場では煙たがられ、「教員も真っ当にサラリーマン扱いしますから、みんな教員になってください」という風潮。

 実はあの教育界史上最悪の「教員免許更新制度」が、今、現場の先生が足らなくなってしまった元凶だった、と私は感じているのですが、あれを強行した張本人A様はすでに暗殺されてこの世にいないし、済んでしまったことはもう取り戻せません。

 それよか、「テスト自動採点機」とか、もう少子千万、いや笑止千万なアイデアをぶち上げて「やってるふりごっこ」するのはもうやめませんか。

 現場の先生の気持ちはただひとつ。
「この仕事はやりがいがある。だけれど、時間にゆとりが欲しい。授業の準備、教材研究、保護者対応、生徒との面談。」

 そうすると、なぜか「部活動が諸悪の根源だ!部活動根絶!」という論理がまかり通っていますが、そこじゃないんですよ。

 「授業科目数と、授業数を減らす」

これでほぼ解決します。

出勤時刻が8時30分、退勤時刻が17時00分。これが教員の基本的な勤務時間です。
 たいていの学校は1時間目が8時45分からスタートします。

もうこの時点で常軌を逸しているわけです。
始業前の朝のショートホームルームに続いて、8時30分に出勤した1時間目の授業担当は、いつ授業の準備をしますか?

 早朝から学校へ来て準備するか、それがいやなら前日午後5時以降に学校に居残って準備する(または自宅へ持ち帰る)しかないじゃないですか。

 教員の勤務が8時30分なら、1時間目の開始は9時30分からにすべきです。
 午前中は3時間授業。1時間の昼休みをはさんで、午後は4時間目が13時30分から14時20分まで。終礼があって、14時30分に放課(用事の無い生徒は帰ってもいい、ということ)。
 
 14時30分から17時までの時間で、職員会議、学年会議、分掌会議とか、生徒の委員会とか、生徒の面談とか、進学講習、成績不振者補講。

 「1日当たり4コマしか授業がないじゃないか。ふざけんなジジイ!」と言われそうですが、これくらい思いきらないと、状況は変わりませんて。

 夏休みと冬休みの日数を大幅に短縮することで、実授業数の減はカバーできるはずです(全教室にエアコン設置は当然)。
 定期考査も年2回でよろしい。新観点成績なんでしょ。

 現場を引退して、外部部活動顧問として公立高校に関わっている立場のジジイの戯言 と言われればそれまで。

 でも教員の仕事は、本当にやりがいあるし、面白いんですよ本来は。
それでもって、本当の意味で面白いのは、授業そのものじゃなくて、それ以外の部分(行事とかクラブ活動とか悩みを聞いてあげることとか)なんですよ。

 まあでも、賛同は得られないわなー。「学力保障ガー!」とか言われて終わる。

 でも30年前にはこんな議論はありませんでしたよね。じゃあ、30年前と比較して、教員の業務に何が新たに追加されてきたのか、それはどんな効果があったのか、ちゃんとひとつひとつ検証してみましょうよ。

 教育をないがしろにする国は亡びますよ。(戯言は続く)

 

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