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「下北沢国際人形劇祭」のアナーキズムを子どもと体感した日記 

 最近仕事で「子どもと観劇」についてやや深めに考える機会があり、この催しについても忘れずにおきたく、noteする。1週間もあった祭のうち有料1演目・無料1演目しか目撃してないので、全体を語る資格はないのだが、いち観客の感想の備忘録とゆことでご容赦くださひ。

とにかくめちゃんこよかった〜!!!!!人形劇がアナーキーだとは。

 まず、人形劇といっても、いわゆる「お人形さんが童話的なものを伝える牧歌的なやつ」ではないのだ。そうとも言える部分もあったかもだけど、それすら、アナーキーな人形劇人の生き方のある一つのバリエ・・にも見えてくる凄みとストロングなスタンスがこのフェスティバルにはあった。

 この「人形劇」といっても「オブジェクトシアター」と定義づけられてるらしいジャンルを私もお恥ずかしながらこの度初めて認識したのでありますが、ヤバい。物と人間が等価、あるいは人間が物の下僕なのではと感じる、そのうすら怖さが真骨頂である。

 そして、俺と茶碗、とか、俺と棒切れ、とか、テーブルと俺、とか、そういう単位でもうそこに「劇場」が生み出され、なににも頼らず、自信の身体と物=オブジェクトがそこにあれば、物語を召喚してしたり言論のアッピールを可能にしてしまう力と、眉間に皺寄せたりしないんだけど、いつだって軽々やってやれるぜ的信念こそが、そのアナーキズムたる所以であり、自分的にはいきなり結論、一番のポイントだったと感じておるですが、いや、もうなんか、お金も仕事も国家もなんにもなくても、生きてればなんとかなる気がしてきたさ。ならないかもだけど。でもどうせ、人なんて棒切れレベルないしそれ以下だし。的な。

ちなみにわたしがみた演目は、これとこれのダブルビルで、組み合わせも超良かった!

家族3人の心をガチづかみ

 6歳児の息子(未就学)と夫(演劇人ではない会社員・すこし社会派?)とみにいったのですが、1つ目のは「民衆人形遣いの熟練芸を生かしつつも、主題と演出はあくまで現代的。」とフェスティバルの解説文にもあるが、手法としてはオーセンティックな人形劇で、子どもも笑える、超要約すると育児にまつわるドタバタ劇。終演後は舞台にあがって、実際のパペットや舞台機構を間近で見せていただける「バックステージ拝見タイム」もあって、親的にも子ども的にもかなり満足度高し! 

ステージにあがって横からみた、人形劇の舞台上のセッティング。カーテンのようなものがピンク色の垂木にかかっている。何人かの人が見ている。劇場の舞台の上に人形劇用の小舞台があったような格好です。
木づちや木尺のようなもの、布切れと箱などの小道具が並んでいる。花ふぶきの散った後も見てとれる。「こうなってたんだ!」感
カラフルなたくさんの人形(あかちゃん、ドクロの顔の死神、ワンピースの女性、ピンクの服の男性など)がステージ裏(ピンク色の木の台)に横たわっている。多くの観客がそれを間近に取り囲んで観覧したり、ケータイで写真に撮ったりしている。

 二つ目の演目は、後で聞いたらオブジェクトシアター界では奇才で著名な方だということらしいのだが、ご自身の右手とご自身(どっちも「ご自身」ですけど)と靴箱くらいのボックス、のみで演じ切る攻めた作品。
一つ目で子どもの心をつかみ、二つ目で夫の心もつかみ(多分)、わたしの心はセットでがっつりつかんでいただいた。
 ちなみに、二つ目の作品の終演後には質疑応答的お時間もあり、息子は堂々と質問さえしていた。「そのXXは、何でできてるんですかッ!?」とかなんとか。

芝居は「観るもの」でもあるけど「つくるもの」

 いや、つくづく思うのですが、舞台は観るもんでもあるけど、「つくる」というところの面白さに子どもの頃から気づくと、全然みんな興味のもちかた俄然変わってくると思う。
 翌日、別件というか、マームとジプシーの「equal」という作品(大人向けの現代劇)をこれもダメもとで親子でチャレンジしたんですが、無理かな〜と思ったけど最後まで子どもと見れて、しかも終演後には舞台装置をみにいく!といって、いろいろ細かくチェックしてふむふむ!とか言っておもしろがってたんですよね。多分前日のこの人形劇祭の体験があったからだと思う。これで、彼は「舞台の見方」「面白がり方」を一つまた知ったんだろう。この辺についてはまたいづれ・・・

前説・ディレクターのあいさつもチャーミングかつ独立系

 あと、最後にメモですが、フェスティバルディレクターの、3名のうち山口遥子氏と、安藤僚子氏による、前説というのか、ご挨拶も非常に印象的でした。演目が始まる前に、どんな思いでこの作品を選定したか、とか、見どころとかが、ライブ感溢れるトークで語られるのですが、客席に海外勢もいるから、山口さんはどんどん英語にもしてくれて、これまた通訳が訳すのではなくて、とにかくなんだか、お手づからの同時通訳で完結!させる独立系という極み!で。これにまた客席も大いにわいて、拍手喝采でのスタートと相成り「わー、フェスティバルにきちゃった!」という温度を見る前からアゲにアゲてくれました。さいこー。

舞台上に二人の女性がいてマイクを手に離している。山口遥子氏(左)と、安藤僚子氏(右)その後ろには、人形劇の舞台装置がセットされている。

 なんか「スダンダップコメディ」という、マイク1本で一人突っ立って笑いをとるという風刺okなアナーキーなお笑いスタイルがありますが、まさに、「スダンダップ前説」というか「スタンダップ・フェスティバルディレクター」であった。かっこいいっス! まじりすぺくと。

 あと、トラベルムジカの『Re:本田祐也の移動広告テント』というのも野外でみた(聞いた)のですが、このプロジェクトは他人事ではなすぎてサクッとは言及しづらいのでいまはしないのですが、とにかく、こちらもこのフェスティバルで拝見できて本当にうれしかったです。

楽隊(たいこ、ピアニカ、サキソフォンなど)が野外演奏している。後ろには渦巻きのようなしましまもようのすこし透けるテントをかかげている人たちがいる。

 プログラムでは他にも噂の「棒人間」も見たかったし、音楽ライブも行きたかったし、あと、招聘しているアーティストとかがプレゼンとかする「朝ごはんの会」みたいなやつも近所だったらいきたかった。いろいろ言えばきりはないが、まずはちょっとでも息吹感じられて良かった。

大人も刺激を受けるものだって、子どもも関心をもてるスロープがあれば一緒に楽しめる

 ですよ。子どもは、「子ども向け」みたいなものでなくても理解するし関心を持つ。大人も、子どもあわせで子どもっぽいものばっかり一緒にみているだけでなく、自分も刺激を受けるもの、自分も関心がある世界、を親子で一緒に楽しめるときもあったほうが、一緒に充実できるからテンションが双方であがり、「あわせてあげてる」感じではなくて、イイ。というのが、先頃のわたしの持論だが、このお祭でもその認識を再確認できてうれしかった!

また次のお祭をたのしみにしている〜!!!

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