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長男と次男 14

受験生の仲間入り

休みがちになってしまった長男。
ぽつりと一言言った。
「とうとう自分が人生の主役になるのが怖い」

高3になって、周りが受験に向かっていく。
これまでは自分の気持ちを隠して
日陰に身を潜めるようにしてきた長男。
卒業する⇒大学受験という方程式が
当たり前のように用意されている学校であり
自分も「そうしなければならない」と感じていた時
体調も崩し、自分の学力も目の当たりにして、
一気に不安が押し寄せたようだった。

自分の不安な気持ちをちゃんと口に出してくれた。
これだけでも大きなことだと私は感じた。
そこから時々ふたりで話す時間を持つようにした。

長男にわかって欲しかったのは、
大学に進学するもしないも
どちらを選ぶこともできるということだった。
選んだ時点で正解か不正解かは決まっておらず、
悩んだ過程と、その後の「自分次第」
正解にも不正解にもできる。

長男はもっと人生を楽しんでいいはずなんだ。
ここまでさんざん苦しんできた。
だから、自分が興味あることや楽しめそうなことを
いろいろやってみたらいいんだよと、強く強く思う。
自分が人生の主役にならないでどうするの。
しかも高校生で、そんなこと言わないでよ。
・・・心の中で泣きたくなった。

でも、それくらい長男は自分の心を見ないように、
消し去るようにして、生活していたのかもしれない。
長男の自己肯定感の低さがあまりにも顕著で、
私自身のメンタルも持っていかれそうになったが
ここで私が落ちたら元も子もない。
私はできるだけ冷静に、フラットに接するようにした。

長男は本格的な秋になった頃、
「受験に舵を切っているから、できるだけやってみる」
と覚悟を決めた。
担任のN先生とも直接話したようで、
まずは1つ公募推薦を受験してみることに決まった。
これまでの出席の不安定さ等を考えると
とてもじゃないが指定校推薦なんて無理で(当たり前)
私からすると「公募推薦」なるものすら
まさか受けられるなんて思っていなかったので、
練習の機会をいただけた感覚で出願することになった。
この時やっと、長男は受験生の仲間入りをしたのだ。


次男の診断

倒れてからの次男は、本人は気付いていないようだったが
明らかに学校等に出向けなくなっていた。
以前から目星をつけていた小児科は、
脳神経等にも精通しており、メンタル系にも強かった。

次男を連れて小児科に行った。
先生は次男の問診、眼球の動き、平衡感覚等を確認、
念のため血液検査も実施された。
学校になかなか行けていないことや
この半年で急激に身長が伸びたこと等お話しした。
問診での本人の受け答えの後、先生は私の方を見て小さく
「ASD傾向があるね」
と仰った。

あ、やっぱりそっか。
私は全然驚くこともなく、どこか納得していた。
先生は続けて次男にこう言われた。

暗いところとか、何が出てくるかわからないと
君は怖いって言ってたよね?
たぶん君は、確定していないもの、中途半端なもの、
何が起こるかわからないものが怖いんだろうね。
0か100、○か✕でないと不安なのかもしれないね。
でもね、世の中には「第3の選択肢」っていうのもあって
それを選んでも構わないんだよね。
「どちらか」を必ず選ばなければ!と思い詰めず、
他にも方法があるのかも?と、思ってごらん?
そういう経験に慣れてきたら、君の気持ちも楽になるよ。

ゆっくり次男に向けて語ってくださいました。

次男は先生の目をじっと見て、話を聞いていた。
血液検査の結果を次回聞きにくるということで、
いったんその日は帰宅した。
次男は
「第3の選択肢か・・・」
と、自分に言い聞かすように繰り返していた。

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