国立能楽堂の鏡餅2019

新春の言祝ぎ、雪間の若菜。【正月/二十四節気・小寒】

新年、明けましておめでとうございます。謹んで新春の言祝ぎを申し上げると共に、皆様のご多幸を心より祈念いたします。

本年もお香と香道の魅力を体験できる様々な機会を作りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

画像: 国立能楽堂の鏡餅(平成丗壱年)

写真だと分かりづらいのですが、実はこの鏡餅、とてもとても大きなもので、床から扇のてっぺんまでは目測180cmくらいでしょうか、大人の身長と同じかそれ以上の高さが有り、何とも迫力あるお餅でした。

さて、昨年12/22の冬至を過ぎて、本年1/6からは小寒を迎えます。

小寒とは?

二十四節気の「小寒(しょうかん)」とは、冬至から数えて15日目頃に当たる期間です。少しずつ寒さが本格化してくる「寒の入り」と呼ばれる時節です。
ちなみに、立春を迎えると「寒の明け」と呼ばれ、気温はまだまだ寒くとも、暦の上では春の到来です。

小寒の内の七十二候

芹乃栄(せりすなわちさかう) 1/6〜1/9
芹(せり)は「春の七草」の一つ。「若菜摘み」は新春の季語であり、百人一首にも採られた以下の和歌などもよく知られています。

 君がため 春の野に出でて 若菜摘む
     我が衣手に 雪は降りつつ (光孝天皇『古今集』)

緑の少ない季節において、「春の若菜」は寒い冬の貴重なビタミン源でもあります。当時はビタミンという言葉こそ無くとも、栄養があり体に良いことが経験的に知られていたのか、或いは、雪間の鮮やかな緑に、小さくとも確かな生命力を感じたのかもしれません。

「早春の野にある若草を食べることで、邪気を祓い、長寿健康が叶う」という考えから、健康を願って大切な人に春の若菜を摘んで贈ることもしばしばでした。お香(香道)でも、この若菜摘みをテーマにした「若菜香」という組香があります。

元々は一月七日と決まっていたわけではないようですが、平安時代頃には七日に若菜摘みが行われるようになり、清少納言の『枕草子』にも「(正月)七日、雪間の若菜摘み、青やかにて……」という記述が見られます。当時のお正月は旧暦なので、現代では2月上旬頃にあたりますが、現代の一月七日に七草粥を頂く風習は、この若菜摘みの行事が変化して残ったものです。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)1/10〜1/14
冬至を過ぎて次第に春へと向かう中で、地上はまだまだ冬らしい寒さの日々ながら、地下では凍った水が溶けて動き始める頃とされています。
雉始雊(きじはじめてなく)1/15〜1/19
雉(きじ)は日本の固有種で、日本の国鳥とされています。日本の国鳥と言われると、何となく"Nipponia nippon"の学名を持ち、メディアでも頻繁に見かける鴇(トキ)がそれっぽいのですが、実は雉です。
古くから食用として天皇や貴族に好まれてきた背景もあり、雉子酒(おきじ/きじざけ)は、新年に天皇の祝膳である「御祝先付」として用意される(所謂おせち料理にあたるものですが中身は全然違う御膳)ほか、新年に宮中に参賀した人々が賜る祝いの品でもありました。

*日付は2019年のものです。

2019年の小寒は1/6から、次の大寒は1/20からです。

寒さの厳しき折、暖かくして、お体どうぞ大切に。

madoka 拝

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