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食べるも使うもミニマルに。暮らしの理想に近づく器を作った話

器から考える料理のこと

スープ作家として活動している私ですが、提案したいのはレシピ以上に、わたしたちの生活そのものです。おいしさと心地よさを感じられるためには、キッチンとか、道具とか、買い物とか。そうした作る人の周辺にあるもの全てが、食の幸せに関わっていると感じています。

毎日の食器も大事です。うつわは趣味の世界ともいえて、こだわりだすとキリがありませんが、それでも、

・洗いものがラクになるといいな
・食洗機で洗える器だと助かる
・器をおしゃれにコーディネートできたら
・落としても割れにくい丈夫な器だとありがたい
・収納が足りないので器の数を減らしたい

こうした悩みを解決する器、みなさんも欲しくありませんか?

オリジナルの器を作っては、というお声がけをいただくこともあったのですが、これはというものを作れるイメージがずっと持てずにいました。

そんな中出会ったのが、RIN&CO.の漆器です。
軽く、美しく、使いやすく、そして汎用性の高いこの器を、ただ自分で使うだけではなく、多くの方にご紹介したいと思いました。

今あるものでも十分素晴らしいのですが、さらに現代的な食卓に合うよう、ライトなカラーリングで作ってもらい「有賀薫×RIN&CO. 毎日使える一汁一菜セット」としてこのたび限定販売することになりました。

このnoteではどんな器なのかという紹介と、この商品ができるまでのいきさつをお話させてください。

有賀薫×RIN&CO.  
毎日使える一汁一菜セット

RIN&CO.との出会い

北陸・越前地方は、日本最古の漆器の産地。RIN&CO.は、2020年に立ち上がった、北陸のものづくりを発信するブランドです。

この越前で創業230年漆器を手掛けてきた漆琳堂が長年にわたって磨いてきた職人の技を、福井県・福井大学との産学官連携によって、堅い塗膜を持った「越前硬漆(かたうるし)」として結晶化させました。

そしてこれを現代の食卓に合うデザインの器に施したのが、RIN&CO.のラインナップです。硬漆を使っているため食洗機の使用が可能で、傷にも強いという特長があります。(レンジは不可です)

RIN&CO.の器は最初、仕事で紹介するためにしばらくお預かりして使っていました。使ってみると、軽くて扱いやすくて、とにかく楽。形も、通常のお椀や小鉢とは違う軽やかなデザインだから、洋風の料理も似合うのです。それでいて塗りや形の美しさを感じられます。気づけば出番が自然に増えていました。

ただ、ひとつわがままを言うなら、赤、ピンク、ブルーなどの華やかな色は、私のふだんの食卓にはちょっとカラフル過ぎる気がしました。
それで、黒の平椀と小鉢を自分で買い足したのです。うちのミングルはテーブルトップがグレーなので、とてもいい感じ。

カラフルな器は食卓の差し色になります
真塗りの黒、なかなかスタイリッシュです。手持ちの器ともぴったり

日本の伝統工芸である漆器は、もともと日用の器としてきわめて機能的です。「軽く」「取り回しがよく」「熱い汁を入れても手が熱くならない」「口に当たる感触がやわらかく」「落としてもせとものみたいには壊れにくい」と、長所だらけ。小さな子どもに持たせても安心です。だからこそ、今も多くの人に使われているのだと思います。

毎日の暮らしに合う器ができた!

使っているうちにさらにこう思ったのです。

ブラックは品もあるし、漆器らしくもある。でも、普通の白木のテーブルを使っている家の食卓の場合、黒い器だとちょっと浮いちゃうかも。朝や昼に使うにもやや重たいし、もう少し明るくてカジュアルなコーディネートができるような色ができないかな…たとえばパンやサラダにも合うような。

それで昨年、福井に出かけたとき鯖江まで足をのばして、漆琳堂を訪ねました。工房を見学させていただいた後で、八代目当主の内田さんにもう少し軽めのベーシックカラーで作れないかと頼んだら、白は難しいけれど、ベージュならできるというではありませんか。
そこで器の型や仕様はそのままに、ベージュのオリジナルカラーで塗ってもらうことにしました。

数か月たって、できあがってきたのが、こちらです!

上から、深S(小鉢)、平椀S(平椀)、平M(平皿6寸サイズ)

落ち着いたベージュです。最初見たときは少し沈んでいるかな、と思ったのですが、使っていくうちに色が変化してくると内田さんに教わりました。

形もきれい。平椀や深Sという小鉢は手にしっくりなじみます。

大きさがわかるようにディナースプーンとフォークを添えてみました

この3点を揃えると、和食なら一汁一菜セットになります。手に持っても軽く、口当たりもとても良い感じです。平椀でごはんを食べたことがなかったのですが、これが非常に食べやすい。

私はごはん少なめですが、実際には茶碗1杯ぐらい入ります。
味噌汁椀にした方もやや小ぶり。こちらをごはん茶碗にすることも可能です

そして思ったとおり、パン食にもぴったり。器のポジションを変えても違和感はありません。

フレンチトーストを平皿、サラダを平椀、スープを小鉢に。
並べ替えれば洋風の一汁一菜です

和食も洋食も日常的に取り入れている日本では、器の数がどうしても増えがちです。食器棚がパンパンになっている家も多いのではないでしょうか。この器を使うと、和食、洋食、さまざまな料理がこの器でまかなえるようになります。デザートを盛りつけるにもいいんです。

ふたつ前の写真では味噌汁が入ってました

使い終わったら食洗機へ。浅めの平椀は食洗機にも入れやすい形ですし、通常のお椀にある高台がないので、逆さにして洗っても水がたまりません(あれ、小さなストレスですよね)。刷毛目のせいで水滴の後も気になりにくく、手洗いでも普通にごしごし洗って大丈夫。残念ながらレンジにはかけられません。しかし、これまでの塗りの器のイメージを一新していると思います。

サイズは全体に少し小さめです。それでも平椀にも小鉢の深Sにも茶碗1杯分はしっかり入りますし、平皿Mは6寸サイズなのでキャベツと生姜焼きみたいな盛りつけはゆとりでできます。麺類は焼きそばぐらいはありかな。スパゲッティだとこのサイズだと、ややぎゅうぎゅうかもしれません。

こんな風にして出来上がったものは、わが家で最も出番の多い器になりました。毎日使っています。他の器と組み合わせてもきれいに決まります。

そして、これをもっと多くの人に体験してほしいと、今回、このベージュカラーを、数量限定販売で発売していただくことになりました。(セット売りだけではなくバラでも買えるとのことです)

この機会にぜひ使ってみてください。使い続けるほどに、軽やかに、楽しく、快適になっていくはずです。

さて、ここからは今週末に開かれる、先行販売イベントのお知らせとなります。

【お披露目イベントのおしらせ】11月11日、12日、この器を青山で販売します!

新発売に先駆けて今週末、このRIN&CO.一汁一菜セットを実際に手に取り、気に入ったら買っていただけるポップアップイベントが開かれます。場所は青山の「ふくい南青山291」。

漆琳堂230周年記念のイベントでもあり、内容は盛りだくさん。

画像をクリックすると内容に飛びます

イベント内容はこちら。

①RIN&CO.の器のポップアップショップ

オリジナルカラーを含む、RIN&CO.のラインナップすべてを見ることができ、お気に入りの器をその場で1つから購入できます。私が料理を盛りつけた写真なども何枚か展示いただく予定です。

②11/11(土)11:00~12:00 
「スープうるわす漆のはなし」トークイベント
 有賀薫×内田徹

漆琳堂八代目当主の内田徹さんと私のトークショー。漆塗りを行う職人の視点とスープ作家の視点から、暮らしに溶け込む漆器の魅力や、くらしにフィットするうつわとは?というような内容をお話します。
場所はふくい青山 291イベントスペースで。会場にいらした方、どなたでもお聞きいただけます。

③有賀 薫レシピ  福井の地物スープ「うち豆入りのけんちん汁」

福井ではよく食べられる精進料理、けんちん汁。福井ではよく使われる大豆の「うち豆」を入れたレシピを作りました。これを当日会場内のカフェでお召し上がりいただけます。当日はRIN&CO. の器に盛り付けて提供します。
※数量限定販売

【提供日時】2023年11月11日 (土) – 11月12日(日) 11:00 –
【提供場所】ふくい青山 291 Cultive291

ふくい南青山291は表参道から歩いてすぐ、広々した素敵なスペースです。私もトークイベントのある11日は会場に行く予定です。ぜひ、みなさんもおいでください!お待ちしております。







読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。