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保育シリーズ|親身になって話を聞く。

私は以前、精神的にどん底に陥ったことがあります。
人が好きで、人を信じることを生き甲斐にしていましたが、人間不信になりました。
自分という存在を消したいと常に思っていました。
そして、人と会うことを怖れて、引きこもっていた時期があります。
それからというもの、答えなんて見つかるはずのない、生きている意味を探していました。

そんな私を心配して、親身になって話を聞いてくれた人達がいます。
妻や親友、友人、あまり接点がなかった人でさえ、私の状態を聞きつけ、話を聞いてくれました。
私はナイアガラの滝のようにネガティブな思いを吐き出すのですが、嫌な顔をせず聞いてくれるのです。
今思えば、とても恥ずかしく、赤面するぐらいのことを話していたと思います。
その時に自分が話していた人に久しぶりに再会すると「あの時のshouは笑えるぐらい、ネガティブな話ばっかりだったもんな」と言われます。

精神的に回復してから、一つ決めたことがあります。
私が辛い時期に、親身になって話を聞いてくれた方の一人にお礼をした時のことです。
「私があなたにしたように、子ども達の話をじっくり聞いてあげてほしい」と頼まれました。
そして、恩返しのつもりもあり、そのことを実践しようとして、1日の中でクラスの全員の子どもの話を聞くことにしました。
その当時はクラスに30人の子どもがいて、毎日、意識していないと全員と話せない時があるほどです。
また、保育士はすることがたくさんあり、なかなか子ども達とゆっくり話せる時間がないというのが現状でした。
1日を振り返ると「ああ、今日はあの子と一回も話せなかったな」という日があるので、申し訳ない気持ちでいっぱいになるのです。

私にとっては対30人ですが、子どもにとっては一人の先生なので、一人一人を大切にしたいと考えていました。

親身に話を聞くようになると、しばらくして、変化が感じられました。
子どもが以前よりもたくさん話してくれるようになったのです。
「先生は僕の話を聞いてくれる。僕のことを分かってくれる。」と言っていた子がいました。
また、私が話を親身に聞くと、子ども達も私の話を真剣に聞いてくれました。
その様子を見ていた同僚の保育士からは「子ども達がまるで魔法にかかったみたい」と驚いていたぐらいです。
話を聞くようにと声をかけなくても、私が話し始めると自然と耳を傾け、話を聞くようになったのです。
私の経験上、子ども達の話をよく聞く保育士のクラスは、子ども達も話をよく聞く傾向があると思います。

それからは、人の話を聞くようになった子ども達は真綿のように、いろいろなことを吸収して、成長していきました。
親身になって話を聞くことは簡単なようで、難しいかもしれません。
しかし、子ども達と信頼関係を築けるだけでなく、その後の人生においても役立つことにつながると思うのです。
この記事を見ている方にもぜひ、身近な人の話を親身に聞いてほしいと思います。

いつも最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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